第45回全日本クラブ野球選手権プレビュー(5月28日前夜版)
喋るまとめサイトこと「魅惑の社会人野球」です。
通常ですと社会人野球のビックマッチの前にはイベントを開催してワーワー喋ることをやっているのですが、昨今の状況ではままなりませんのでnoteでネタだしをします。
今回は5月29日からはじまる第45回全日本クラブ野球選手権を楽しむにあたり私なりに調べてみたことをまとめてみました。
まず「全日本クラブ野球選手権」とはなんでしょうか?ここにたどり着いてる皆さんなら先刻承知のことだと思いますが、改めて定義を。
社会人野球と呼ばれるカテゴリーでは企業登録チームとクラブ登録チームの2つにわけられます。簡単に言ってしまうと企業がお金と設備を準備して強化をしている企業登録チームとそれ以外という分け方をしています。
社会人野球最大の大会としてすべての社会人野球チームが参加し日本一を決定する「都市対抗野球大会」があります。
実際に企業登録チームとクラブチームと対戦するのですが、練習環境や入団する選手のレベル差から実力差が大きく、クラブチームが企業チームに勝ってしまうジャイアントキリングも滅多におこることではありません。
このままではクラブチームのモチベーションを維持することができないことから、クラブチームだけの全国トーナメント大会として設立したのが「全日本クラブ野球選手権大会」です。
この大会の魅力的なポイントは、滅多に他地区のチームと対戦することのない各地区のクラブチームのチャンピオン同士の対戦が見られることです。
この大会の優勝チームの特典として、企業チームを中心とした全国大会「社会人野球日本選手権」への参加権が与えられます。
「全日本クラブ野球選手権大会」は北海道・東北・北信越・関東・東海・東近畿・西近畿・中四国・九州の9地区の予選から勝ち上がった16チームによるトーナメント戦で今年は岐阜で開催されます。
それでは各地区の予選勝ち上がり状況を紹介します。
北海道は14チームで1枠を争うトーナメント戦で行われました。
ベスト4までに上位常連チーム3チームが入り、決勝はシードチームの対戦となりました。
結果はウィン北広島が2大会ぶりの全国切符を手にしました。
東北2次予選に青森、宮城、山形から1チーム、秋田・福島から2チーム、開催県岩手から3チームの合計10チーム参加の予定でしたか、コロナの影響により青森代表の弘前アレッズ、秋田第一代表の能代松陵クラブの2チームが参加を辞退。残った8チームが4枚の全国切符を争うことになりました。
その結果宮城代表東北マークス、福島第一代表オールいわきクラブ、岩手第一代表のオール江刺が勝ち上がり、最後の1枠を岩手のワイルドカードから2次予選進出した久慈クラブが滑り込みました。
久慈クラブは16大会ぶりの全国大会ですが、それまでは6大会連続出場を果たしたこともある古豪です。
北信越2次予選には北陸地区から2チーム、長野から2チーム、新潟から4チームの8チームがトーナメント戦に参加しました。代表は長野第一代表の千曲川硬式野球倶楽部が3連勝で決めました。
関東地区からは4チームを選抜するのですが、4つのトーナメントブロックに分けて各ブロックで勝ち上がったチームを代表とする選考を行いました。
関東の代表は千葉第一代表のハナマウイ、東京第一代表TOKYO METS、同じく東京第二代表THINKフィットネス・GOLD‘S GYMベースボールクラブ、そして栃木第一代表全足利クラブと常連チームと新鋭チームそれぞれ2チームずつ全国にコマを伸ばしました。
東海は静岡県、愛知県、そして岐阜・三重地区の3ブロックの代表によるリーグ戦を行いました。
ここから勝ち上がったのが静岡代表浜松ケイ・スポーツBCでした。
京都・滋賀・奈良の各代表3チームによるリーグ戦で代表決定を行い、優勝候補常連の奈良代表大和高田クラブが7大会連続19回目の出場を果たしました。
しかしながら新型コロナウイルス感染者が判明したため出場辞退となりました。
大阪・和歌山・兵庫の西近畿地区ですが、この地区から前回優勝チームを輩出したことから1枠増の2チームが代表に選ばれます。
まず第一代表は前回優勝のマツゲン箕島球友会が順当勝ち、そして第二代表は常に2位と涙を飲んでいた兵庫県警察硬式野球部
県警桃太郎が4大会ぶりの全国大会出場を決めました。
ここは中国地区3チーム、四国1チームによるトーナメント戦を決定します。優勝は中国第三代表のMSH医療専門学校。専門学校のチームも参加するのが社会人野球なのです。
福岡から2チーム、そのほかの県からは1チームずつ8チームによりトーナメント戦でおこなわれた九州2次予選。優勝したのは沖縄代表シンバネットワークアーマンズBCが結成2年目にして早くも全国大会出場です。
それでは29日からの1回戦の組み合わせ順に各チームの状況まとめをご紹介します。
長良川球場の第1試合は東北第2代表オールいわきクラブと西近畿第一代表マツゲン箕島硬式野球部です。
オールいわきはこれまで30回・34回・39回・44回各大会に出場し今回は連続出場を果たしました。
今年は鷺宮製作所からバファローズやベイスターズに在籍した赤間謙投手が地元に戻り、コーチ兼任投手としてオールいわきクラブに加入したことが原動力となっている模様です。
2020年からの公式戦実績ですが福島県内では常に上位にいて、東北大会にはコンスタントに勝ちあげるチームです。
対するマツゲン箕島硬式野球部は、和歌山を拠点にしたスーパー松源をスポンサーに有田市で活動しているチームです。
これまで9大会出場し5回の優勝を誇る強豪で2大会連続優勝を狙います。
昨年は大阪・和歌山のクラブチーム同士で戦う都市対抗1次予選でまさかの敗退で大きな話題となりました。負けることがニュースになるレベルのチームの証明ともいえます。
長良川球場第2試合は関東代表の全足利クラブと東北第4代表久慈クラブの一戦です。
全足利クラブは前回44回実施している大会で38回の出場、10回の優勝を誇る名門チームです。
昨年は北関東地区の企業チームも参加する都市対抗2次予選で日立製作所を土俵際まで追い詰めるまでの戦いぶりを見せています。またクラブチームとの対戦では負け知らずという強さを誇っています。
対戦相手の久慈クラブはクラブ選手権の岩手一次予選敗退後、岩手県内の大会で3位に入りワイルドカードで東北2次予選に進出しました。その後最後の4枠目に滑り込む勝負強さが光ります。
16大会ぶりの出場ですが、22回から29回の間に7回出場、26回大会ではベスト4といった実績もあることから古豪復活といえます。
全足利と久慈クラブの過去対戦は第25回大会の2回戦。この時は10対0で全足利の勝利に終わりました。
長良川球場第3試合は東海代表の浜松ケイ・スポーツベースボールクラブと九州代表沖縄のシンバネットワークアーマンズベースボールクラブの対戦です。
浜松ケイ・スポーツベースボールクラブは2002年創設のチームで今回9回目の出場です。静岡ではトップクラスの地位を築いています。
初出場のシンバネットワークアーマンズベースボールクラブは昨年結成し、いきなり都市対抗九州2次予選に駒を進め、日本製鉄大分を破った新進気鋭のチームです。母体が沖縄の物流企業シンバネットワークの企業系クラブチームで、2019年度に解散した同じく企業系クラブチームだったMr.KINJOからの移籍選手をコアメンバーとしています。
長良川球場第4試合は関東代表のハナマウイと中四国代表のMSH医療専門学校の対戦です。
ハナマウイは千葉冨里のデイケア施設を運営する会社のクラブチームです。チーム結成後初参加の千葉県内のクラブチーム大会ではコールド勝ちを連発し注目をされていましたが、いきなり企業チームを破って都市対抗野球大会本選にまで駒を進めたことで一気に知名度は全国区になりました。
今回のクラブ野球選手権大会は初参加ですが当然優勝候補としてマークされていることでしょう。
広島から参加するMSH医療専門学校は文字通り専門学校の学生のチームです。
このチームから西日本地区の社会人野球チームに選手を送り込んでいます。若武者によるチャレンジマッチとなるか。
球場が変わって大垣北公園野球場の第1試合は北信越代表、長野の千曲川硬式野球クラブと東北第一代表、宮城東北マークスの一戦です。
こちらも骨っぽいチーム同士の対戦です。
千曲川は2013年創部で6回目の出場という長野を代表する強豪チームです。昨年も読売ジャイアンツ3軍とのオープン戦が組まれるほどの実力派チームといえます。
東北マークスのルーツは企業チームであったNTT東北で、1999年のNTTのチーム再編に伴いクラブチーム化し、幾たびかのチーム名称変更の末、現在の東北マークスになりました。
全日本クラブ野球選手権にはルールの都合から2007年から参戦し今回で10回目の出場を誇ります。
意外なことに実は本大会では初顔合わせ!
大垣北公園野球場の第2試合は関東代表THINKフィットネス・GOLD‘S GYMベースボールクラブと東北第3代表オール江刺の対戦です。
ゴールドジムは5回目の出場で東京の強豪クラブチームとして名前の挙がる企業系クラブチームです。
基礎トレーニングには事欠かない職場環境と元NPB選手の兼任コーチを入れて強化に余念のないチームと言えます。
片やオール江刺は7回目の出場。こちらは群雄割拠の岩手県内で上位に顔を出すもののなかなか都市対抗2次予選に進出できないもどかしさを感じるチームです。岐阜の地で大きく羽ばたけるか。
大垣北公園野球場第3試合は関東代表TOKYO METSと東近畿代表大和高田クラブの予定でした。
しかし大和高田クラブは出場辞退なのでTOKYO METSの不戦勝です。
TOKYO METSは地域クラブチームで16年目で悲願の全国初出場です。都市対抗東京一次予選でも勝ち上がりまであと一歩の時期が長く苦労してきましたが、今回一気に全国に駆け上がりました。
対する東近畿代表奈良の大和高田クラブは横綱クラスの企業系クラブチームで、都市対抗近畿2次予選や社会人野球日本選手権本選でも企業チームを破った実績のある強豪中の強豪でマツゲン箕島硬式野球部と準決勝や決勝で当たるのが当たり前の光景になっています。
勢いに乗るチームと受けて立つチャンピオン級チームの対戦がどうなるか楽しみにしていたのですが、残念なことになりました。
紹介のオーラス、大垣北公園野球場第4試合北海道代表ウイン北広島と西近畿第二代表の兵庫県警察硬式野球部県警桃太郎です。
ウイン北広島も都市対抗2次予選進出しても驚かれないレベルの北海道強豪クラブの一角を担っています。
このチームで印象深い大会は2018年の第43回です。この年は北海道全土が長期間の停電ブラックアウトした北海道胆振東部地震があった年で、大会4日前の出来事でした。
ウイン北広島のナインも被害を受けていて、直前の調整がままならないどころか参加自体も危ぶまれていました。
なんとか大会に参加できたものの厳しい戦いとなるかと思いきやベスト4まで勝ち進む快進撃を見せました。
対する兵庫県警察硬式野球部県警桃太郎はその名の通り兵庫県警の警察官によるクラブチームです。着実に力をつけていて兵庫ナンバー2の地位にいるのですが、なかなかマツゲン箕島硬式の壁や兵庫の企業チームの壁を乗り越えられずにいました。
今回は前回大会で西近畿地区のマツゲン箕島が優勝したことによる1枠増で巡ってきたチャンス。
今大会は無観客試合なのでネットのテキスト速報を追うだけですが、思いを巡らせながら愉しみましょう。