インクルージョンは人間の拡張。だからこそ市場の拡大にも繋がるはず。
昨日は、LAMP参加者のうち、「パラスポーツを通じてどうやって、より良い社会を実現できるか?」というミッションに挑戦するチームに同行していました。
まず驚いたのは行動の早さ。駅前で車椅子を使っている方を見つけると、迷わず声をかけ、インタビューを開始しました。この辺りは1回目のLAMPでも本当に驚きました。
こういった小さな一歩が素敵な縁を引き込むもので、今回インタビューした方が車椅子バスケの選手であり、実際の練習風景を拝見、取材させていただくことができました。
目から涙が出そうな学びがあったのですが、それは後日別の記事にするとして、今回は目から鱗だった学びについてご紹介します。
健常者だって車椅子バスケはできる
昨日、練習風景を見ていてLAMP参加者が驚いたのは、選手の中に健常者がいたことです。
ご存知の方もいると思いますが、今年の5月に開催された日本選手権では健常者の参加が初めて認められ、実際に大会に参加された選手もいらっしゃったそうです。
車いすバスケットボールの頂点を決める日本選手権。5月10~12日、東京都内で開かれた今年の大会では健常者の参加が初めて認められた。体の強い健常者と相まみえることで障害者のレベル向上と、競技の裾野拡大を図ろうという狙いだ。
もちろん健常者だけでチームを構成することはできず、障害の度合いによってポイントが割り振られており、どうチームメンバーを構成するかも戦術の一要素になっており、健常者だけでなく障害の重い人たちも試合に参加しやすくなり、競技の幅は広がったといっても良いでしょう。
これによって障害に対する理解がより深まることは間違いありません。でも、私が感じたのはそれだけでなく、ビジネスとしても大きな可能性を秘めていると強く思いました。
インクルーシブは人間の拡張であり顧客の拡大
ここで、Nikeがイスラム教徒の女性向けに開発した新しい水着について少しをご紹介を。
イスラム教徒の女性は人前で顔を見せることが良しとされておらず、「ヒジャブ」と呼ばれるスカーフで顔を覆うのが一般的です。だからこそ水泳は彼女たちにとって遠い存在でしたが、私がよく行くバングラデシュを始め、近年イスラム教徒の女性のアスリート人口が増えているのはご存知ない方も多いでしょう。
ここに新しいチャンスを見出したNikeは、イスラム教徒の女性向けに開発した新しい水着「Nike Victory Swim Collection」をつい先日発表されました(なんというタイミング!)
Youtubeの動画コメントには批判的なものも多いですが、「イスラム教徒の金が目当てだろ!」というコメントを見て、なるほど、(もちろん良い意味で)確かにそうかもしれないなと思いました。
インクルージョンは強い人が弱い人を助けるものではありません。多数が少数を助けるものでもありません。そうではなく、そこにある壁を壊し、新しい当たり前を作ることがインクルージョンだと思うようになり、イスラム教徒の女性を顧客として見た、その行為はとてもインクルーシブだと感じました。
昨日の車椅子バスケの話に戻ると、健常者が参加できるようになったということは、潜在的な競技人口は従来のバスケット選手たちに、車椅子の選手も加わった状態であり、従来よりも更に多くの人たが参加できるようなったと言い換えることもできます。それはスポーツ選手という定義そのものが拡張され、市場が広がったといっても良いのではないでしょうか。
最後に
まだ完全に言語化できたたけではありませんが、健常者の車椅子バスケ参画や、Nikeがイスラム教徒の女性向けに開発した新しい水着は、ただ倫理的に美しいだけではなく、大きなビジネスチャンスでもある気がしてなりません。
私も一人の教育者として、どうやったら教育の中にもインクルージョンを作り出し、人間を拡張し、教育の幅を広げることができるのか、しっかり考えていこうと思います。
よかったら、ぜひご一緒に。
参考
今年の夏頃から色々お世話になっているNPO法人Collable代表の山田さんが、ちょうどNikeの新しい水着について素敵な記事を書かれていましたので、良かったら合わせてご覧ください!