適性検査
頃は11月13日…
教習所で学科がはじまった。
バスで1時間かけて教習所まで通う。その間ずっと英語を聞いて、なんちゃってシャドウィングをしていたらすこし飽きた。聴いていた英語のポッドキャストは、ニキビの話と、睡眠の話と、都市に住むネズミとコロナとの関係についてだった。
教習所は法律を遵守させるための施設なのだと理解した。そこには白と黒しかない。新鮮で面白かった。ずっといたら嫌になりそうだけど。
帰りのバスに乗って、下北沢の道路で降りる。寮まで帰る。こういうことをしないと、夜に下北沢のまちに繰り出すことなんてない。
すこし惨めな気持ちになった。
下北沢のたくさんの人々は友達と、仕事仲間と、楽しそうに談笑していた。みんな自分を実現するような素敵な服を着て歩いていた。
ピザ屋、もんじゃ屋、タイ料理屋、タコス屋、どの店の前を通っても、そういう人でいっぱいだった。
彼らは所属していると思った。そのグループ、その生活に。
それと比べて自分は、ということではなく、まったく違う世界がこんなに近くにあるんだと思った。
わたしはひとりで考えて、ひとりで悩んで、ひとりで笑って、ひとりで頭痛に悩まされている。ひとりで、違う世界に住む人々を観察したり突き放している。
それのなにがいいのだろうか。わたしにはわからない。
(おわり)