大学編入記1-大学に入ったら魔王になった話-
地方国立大学から東京の私立大学に編入した話を書きます。編入学について、そして私の考える大学での学びについて伝えたいです。
大学受験で第一志望の旧帝大学に落ちた私は、浪人せずに地元の国立大学に2年間通い、東京の私立大学に2年次編入しました。
大学を辞めたいと思ったのは入学直後です。ガイダンスで何時間もかけて様々な書類が配布され、同じ動画を何回も見せられる割に本当に分かりづらい。確かに履修や大学生協の仕組みは新入生にとって難しいです。それでも私には、ガイダンスが形式化されすぎていて大学が生徒に分かるように説明をしていないと感じられました。これが「大学に行きたくないなぁ」と強く思い始めたきっかけです。そこで、東京の大学に通う高校時代の先輩に愚痴をこぼしたところ、
「やっぱり東京の方がはるかに色んなことできるよ」「留学でもすれば?」
と言われます。そして、落胆している私に、
「死にたいとか言ってなくて良かったよ」
という言葉をかけてくれました。
〜 1週間後 〜
私「死にたい」
なんということでしょう。私は入学してわずか一週間後に死にたくなってしまったのです。正確に言うと生きる気力が湧かないといった感情です。ここで太宰治の『晩年』から文章を引用します。
「その日その日を引きずられて暮しているだけであった。(中略)何をするにも物憂かった。」
「そんなら自分は、一生涯こんな憂鬱と戦い、そうして死んで行くということに成るんだな。と思えばおのが身がいじらしくもあった。青い稲田がぽっと霞んだ。泣いたのだ。」
まさにこんな気持ちです。大袈裟だと思われるかもしれませんが、一人で街を歩いている時に突然涙が出ることがあったほど当時は病んでいました。大学でやりたいことが見つからず、何をすればよいか分からなかったのです。それでも勉強を頑張りたいという意気込みはあったので、毎日大学には通い続けました。偉いよね。
しかし、大学に行く度に違和感を覚えてしまいます。本当に来たかった大学はここじゃない。本当にやりたいことはここにはない。ずっとこのようなことを考えていると、ストレスで心が荒み、人に厳しくなっていきました。そんなある日、友人にこう言われました。
「魔王になってるよ」
気付けば私は魔王になっていました。触れるものみな傷つけてしまう魔王です。大学の授業や他の生徒の悪いところばかりが目に付き、日に日に不満が溜まっている状態でした。このままでは、大学の悪いところばかりを見て、他の生徒を見下すような、最低な存在になりかねません。
人間の心を完全に失っていなかった魔王は、魔王になってしまった原因、そして人間に戻る解決策を考えることにしました。
次回:魔王、そういえば何でこの大学に入ったんだっけ?
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