くノ一
ようやく修行の期間を終え晴れて忍者となった私はチーム唯一のくノ一。
今日初めてチームに出動命令が出た。
行き先は敵対陣営のど真ん中、代官の屋敷だ。早速先輩たちと忍び込んだ。
「しまった、見つかったようだ」
カッ、カッ、カッ、棒手裏剣が飛んできた。その中の1本に何かがついている。
合言葉を求めているのか?
合言葉を合わせることで敵対していても手を組むことができる。
こちらからも合言葉をしたため棒手裏剣を投げる。
ドスッ、ドスッ、ドスッ。
柱の陰から一人の男が現れた。
「合言葉を認めたのか?」
「ええ」
「俺の合言葉は?」
「好きだ」
「それでお前の合言葉が『私も』なのか」
「交渉は成立よね」
「少し詰めが甘かったようだな。俺のをよく見ろ」
「好だ」
「これは女子(おなご)だと読む。さらに『き』がないだろ。つまりお前に気がないということだ」
「私の早とちりか」
「くノ一ラブレターは受け取ったぞ。ついでに命もな」
私のくノ一人生は始まってすぐに終わった。
(409文字)
今週も参加させていただきます。
たらはかに様 よろしくお願いします。
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