今日の気分は? 202400913 No.315
今朝の京都は曇り空です。1日を通しては曇り時々晴れの予報です。午前7時の気温は27℃。日中は35℃予報で、相変わらずの熱帯夜と猛暑日予報です。
今日は13日の金曜日。例の映画のお陰か、すっかり良くない日として広まってしまいましたね。でも、信じる信じないは別として、用心するに越したことはありません。
「わずか三歳で即位した近衛天皇は、十三年ほどの在位で死んじゃうんだ。ここで私の再浮上というか、私の実の息子にチャンスが訪れるんだけど、結局は父の意向で弟の雅仁親王 (後白河天皇) が即位するんだ。理由は、私は一度天皇を経験しているから、この度は別の者にということらしい」
「再登板される天皇が今までなかった訳じゃありませんよね」
「そうなんだけど、私もそんなに天皇がやりたかった訳じゃないし、父にすればしてやったりだったろうな。私の出自は私の責任ではないのに、そこまで疎まなくてもいいと思わないか?」
「お父上に二度続けて嵌められたってことですか?」
「気になる言い方だがそういうことだな」
「不躾ですみません」
「続きいいかな?」
「そうですよね。この程度じゃ怨霊になんかならない。お願いします」
「弟 (後白河天皇) と仲が良くなかったのは事実だ。元々権力欲の強い奴で、そこに藤原、平、源などの思惑が絡んで、ただの兄弟喧嘩が大きくなってしまって、父の死も相まって保元の乱へと発展していくんだ」
「時代が大きく動くんですね」
「当事者としては大きく動いたという意識はないが、弟とは十歳違いだからほとんど接点もないんだ。一緒に遊んだ記憶もないしね。何しろこっちは三歳から天皇だったんだから。ただ、今思えば、弟は自分を強く見せたかったんだろうな。そのためのマトが欲しかっただけなんだと思う。でも標的にされたこちらは溜まったもんじゃない。結果、保元の乱だ。ほうげんの乱だぞ。ほげんの乱じゃないからな」
「そこなぜ言い直しましたか? どんな拘りなんです?」
「誰かが言ってたんだ。学校で習ったのは保元・平治の乱だったってな。あなたはどっちだった?」
「ずいぶん昔のことなので確かではありませんが『ほげん』だったような気がします。保元の乱と平治の乱は、並べて覚えたような気がします。その時言い難かった覚えはないので『ほげん・へいじのらん』じゃないかな? 『ほうげん・へいじのらん』じゃ語呂が良くないですよ。まあ学んだ年代によって呼び方や名前が変わることって、よくあるみたいなので、それなんでしょうね」
「そんなものか。じゃあ続けよう。保元の乱のきっかけは知ってるか?」
「申し訳ないですけれど知りません」
「ここでも私は嵌められたんだよ。随分なお人好しだろ?」
「えっ、また? これで三度目ですよ。三度目の正直ですか? いや三度目も嵌められたんですよね」
「そうなんだ。ちょっと情けないよな」
「ノーコメントです」
「助かる。実は弟の側近で藤原通憲が、同門の藤原頼長を追い落とそうと、デタラメな噂を流したんだ。その噂というのが、私と頼長が何か企んでるというものだったんだ。噂に乗せられたわけじゃないけれど、早く手を打たないと相手は弟とその側近だし、ちょっと追い詰められた気分だったんだろうな。結局は武力を使うしかなくて、しかもあんまり人が集まらなくて、あっけなく負けちゃったんだよ。頼長も死んじゃったしな。この乱で勝てていればまた違っただろうけど、負けてしまった私は、讃岐へと追いやられてしまう。流されただけで済んだのは不幸中の幸いだったんだろうな。さすがに弟は兄の首までとは思わなかったんじゃないのかな」
「やはり一族の情ということですか」
「中央政権から完全に脱落した私だけど、仏教と和歌のお陰で、讃岐では心穏やかに過ごしていたんだ。私に私信はなく、二心がないことを弟に訴え続けたけれど受け入れられず、写経したものを京の寺に納めてもらおうと送ったけど、まさかの受取拒否。讃岐で生を閉じたんだが、死んだ後も都に帰ることは叶わなかった。弟が私に恨まれていると言ってたようだが、恨まれていたのは私の方じゃないのか? これのどこに怨霊の要素がある?」
「ちょっと考えればいくつも思い当たりますよ」
「えっ? そうなの?」
「まず、父上に疎まれていた。次に弟氏と不仲だった。さらに勝負に敗れ讃岐へ流された。オマケに無実を訴えるも聞き届けられず没する。怨霊になる要素満載じゃないですか」
「それは怨霊になるための要素になるのか?」
「それに有名な話があるじゃないですか」
『日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん』
『この経を魔道に回向す』
「これって、私は怨霊になりますって宣言したんですよね。お前たちを民に落とし、民を皇位につけてやるってことですよね。私が記憶している限り、そんな宣言した方って仁様、あなただけですよ。それに爪や髪を伸ばし放題で、夜叉になられたり、生きながらにして天狗になられたりしたんでしょ?」
「それが誤解なんだよ。そもそも夜叉にもなってないし、天狗にもなってない。身だしなみにも気を使っていたよ。勿論怨霊にもなってないんだ」
「どういうことですか?」
「弟の仕打ちがあまりに頭にきて腹が立って、近侍のものにこぼすことってないか? そんなに大袈裟になるなんて思わずにさ。誰かがチクったんだよ。それが悔しくってさ。今更だから別に怨霊でもいいよ。でも誤解のまま怨霊でいるのは嫌なんだよ」
「私に近侍はいませんが、第三者にこぼしたくなる気持ちはわかります。それに、話したことに尾鰭がついて大袈裟になってしまうのも分かります。ですが、誤解のまま怨霊でいるのはイヤだと仰られても私にどうせよと? どうにかできる力はそもそもありませんよ。それに誤解が解けたら怨霊でいる必要もないじゃないですか」
「それが一番いいのだろうが、あなたに何かを望んでいるわけじゃないよ。ただ知ってほしかったんだ。歴史は事実でないこともあると。それに私が死んで十二年も経ってから災いが始まるんだよ。十二年って何の時間だ? 恨みが醸成して祟りになるのに、干支がひと回りする時間が掛かるのか? そもそも私は恨んでないってんだよ。都に大火が襲ったり、動乱が起こったり、対立関係にあった奴らが次々と死んだりとか、結局弟が亡くなるまで怪異は続いたというんだけど、そんなの私のせいにするなよ。私は私の知る限り一切何もしてないぞ」
重い言葉だ。しっかり受け止めないと。だけど恨みが醸成して祟りになるという言葉は斬新。
お酒みたい、それも十二年もの。
つづく
◆新規掲載の企画 (今日のみ)
9/16 23:59まで
9/20 20時まで メイン企画のための準備企画です
◆近々最終日を迎える企画
9/14夜まで
9/15まで
9/16 23:59まで
9/20 20時まで メイン企画のための準備企画です
◆最終日までしばらく時間のある企画
9月末日まで
9/30まで
◆最終日までずいぶん時間のある企画
2025/7/5まで
期間は2024年9月1日から9月21日が終わるまでとします。
以下の注意事項をよくお読みください。
「 #ふぉれすとどわあふ 」のタグを必ず付けてください。これが付いていない作品は関連作品とは認めません。
タグがバラバラの様相です。上記の太文字のタグをコピペしてお使いください。
小説、エッセイ、詩、音声、映像、その他諸々、形式は問いません。
作品を書かれた方は次のテーマを最低2つ、多くても3つを設定してください。テーマの内容は問いません。メルヘンやファンタジーである必要もありません。テーマの設定がない場合そこでお話は終わるものとします。
終わった話からの続きはないものとします。
どなたの作品のどのテーマを選ばれたのかを本文のどこかに明示してください。
以下は今回の作品群です。
毎週日曜から始まる Doudoitu de Rennka 100 にご参加いただきありがとうございます。
来週は始まりの日曜が上弦の月、火曜日が中秋の名月となりますので連歌の形式は変更せず、少しだけ難易度を上げて『月縛り』にしたいと考えています。『月という文字が入るか、月をイメージさせる文言がある』が条件です。
月の呼び名は、その形や時期によって様々な呼び名があるようです。そういうのを使っての都々逸もレベルが高そうでカッコイイっすよね。
さらに、おはようよねちゃん(おはよねさん)が一年を掛けて取り組まれている『どどいつのほん』にエントリーすることができるようになりました。
仮定のお話しですが、100作品のすべてが素晴らしい出来であれば、そのまま一括りにしてエントリーもというお話しも出ています。
『月縛り』でお創りいただいた都々逸が、たとえ一部の方の作品でも、来年刊行予定の『どどいつのほん』に掲載されることも夢ではないと思ってください。
ここで一つお約束をお願いします。
Doudoitu de Rennka 100 には参加するが、エントリーはしませんと言う方は事前にお申し出ください。事前にお申し出がない限り、自動的にエントリーに了承したものとします。
また、あくまでエントリーであり、『どどいつのほん』に確実に掲載されるわけではありません。ご了承ください。
9/15~18まで
9/21&9/28
9/22のみ
10/2~10/6
10/10~10/21
1曲目は サンボマスター の 稲妻 。
2曲目は 秦基博 & sumika の ハローサーリアル 。
3曲目は FUNKINDUSTRY & 吉沢梨絵 の Moonlight Serenade 。
4曲目は 持田香織 の Reincarnation 。
お気に入りの曲のリクエストやこういう特集を組んでほしいなどがあればコメ欄にお願いします。ジャンルも問いません。
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