ふぉれすとどわあふ 終わりと始まり
「とうとう囲まれちまったなぁ」
「そうね」
「ミユたちは無事に逃げられたんだろうか」
「言ってなかったっけ? 私たちドワーフとpao星とは常にチャネルが繋がってるの。だから一瞬で飛んでるはずよ。クマさんたちに発見されない限り、当分あの星は大丈夫だと思うわ」
「送り込めたのは7人だっけ? ミユはドワーフだし、エルフもいたな、小人もいたし、人間は何人だった?」
「男女1人ずつね。だからアダムとイブからやり直しよ」
「ハハハ、伊邪那岐と伊邪那美か。それは面白そうだな」
「今度は上手くやってほしいわよね」
「そうだな。なぁマサコ、まぁこの状態だ、焦っても仕方ないから少しだけ話さないか」
「そんな呑気でいいの? 私はいいけど」
「星の欠片だっけ? 宝石の欠片だっけ? あれはどうなったんだ?」
「宝石の欠片を集める掃除機を持つ魔女とミユは友達になったみたいだから何とかなるんじゃない。星の欠片の話は聞いてないわ」
「あとあれだ、バランス栄養食品。あれはミユが作ったんだって?」
「あの子はね昔からそういうのが得意だったのよ」
「何が入ってんだ? この一連の戦闘でもずいぶん役に立ってくれたけど」
「私も知らないんだよね。ミユだけが知ってるんだけど、多分何か書き残し
てるんじゃないかな」
「そうか。もう一度食いたかったな」
「ミユに言えばいいじゃん」
「そうだな。ところで武器は?」
「旧式の拳銃しかない」
「他のは?」
「充電切れだったり、ネットワークがトラブルを起こして使えなかったり、壊れちゃったり」
「それで最後に残ったのが旧式拳銃ってか。で、残りの弾は?」
「私は3発」
「俺は4発だ」
「合わせて7発ではどうしようもないわね」
「俺はさぁマサコに見合う男になりたかったんだ」
「なんなのいきなり。ビルはビルのままで良かったのに」
「俺にも一応プライドがあるんだぜ」
「ハハハ笑っちゃうわね」
「それからさ、昔の映画を思い出したよ」
「どんな映画?」
「詐欺師だったか、銀行強盗だったかの二人組が警察に追い詰められて死を覚悟しながらも突破を試みるってヤツ」
「ボニー&クライドね? 俺たちに明日はない?」
「ん? 明日に向かって撃てだよ。ブッチとサンダンス。俺がレッドフォードだな」
「誰がレッドフォードよ。じゃあ私はキャサリン・ロスね」
「いやいや野郎2人のはずだろ」
「じゃあ私がレッドフォードで、あなたがポール・ニューマンね」
「別にどっちでもいいけどな。それじゃあそろそろ最後の仕上げと行きますか」
「告白された余韻も楽しませてくれないの?」
「そんなものは次の世でゆっくりやればいいさ」
「それもそうだけど、じゃあどうするのよ?」
「中央突破に決まってるだろ」
「そんな無謀な」
「一発必中にしたところで7匹だぜ。敵さんの数はどう見てもそれより多いだろ」
「だからって」
「ここまで来れたんだ、最後は華々しく散ろうぜ」
「それがあなたらしいかもね」
「じゃあいくぜマサコ」
「はい‼︎」
勢いよく飛び出した足音
と
7発の銃声
訪
れ
た
静
寂
地球上に
唯一残ったはずの
命は
華々しく
散
っ
た
はずだった・・・・・・
次元の違う空間で戦っていると一つの個体が消えたからといってすべてが消えてなくなるわけではない。それぞれの個体の数だけ未来もまたあることになる。
この次元の地球上での闘いは終焉を迎えただけに過ぎない。
ラストを書いたつもりが次に続くようになってしまいました。
いずれまたやるかもしれないと含みを持たせながら・・・。