微生物を救え【毎週ショートショートnote】
優先席といえば電車やバスなど公共交通機関で当たり前のように使われているが、最近では喫茶店や病院の待合室、公園のベンチに至るまで優先席がある。そして新たな疫病の流行とともに優先席を真っ先に消毒することを必須とした。
その惨状を見かねて立ち上がったのが微世界先生その人だった。
「確かに消毒することによって一定の効果はあるかもしれないが、それ以上に死滅する有用な微生物の量が気になるな」
「そうは仰いますが、まずは疫病の進行を止めるのが先だと思います」
「だとすれば答えは一つだな」
「そうですね」
「よし、手の空いている者をできるだけ集めよう。それから世界中の研究者に連絡して世界中で始めてもらおう。私は手勢を率いて日本中を回るから、君連絡を頼む。それから連絡が一カ所に集まるように手配をしてくれ」
こうして世界中で一斉に優先席で死滅する微生物を護るための収拾活動が始まったのであった。
こののち、彼は優先席の微世界先生と呼ばれるに至る。
(410文字)
裏お題にも挑戦してみました。
たらはかに様 よろしくお願いいたします。
最近「毎週ショートショートnote」のお題が難しすぎるというお話しを良く目にします。だからといって簡単なお題ではもはや満足できないだろうとも思います。
頭をフル回転して、知恵や知識を総動員して、それでも書けなくて試行錯誤して、生みの苦しみを何度も味わいながら書き上げることの喜びもあるのだろうと秘かに感じており、楽しんでもいます。
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