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弁天に惚れた

『お前私に惚れてるだろ』

『かもしれない』

『そんな誤魔化しは通用せぬぞ』

『そうだな、お前に惚れてるぞ弁天』

『正直は美徳だな』

『そうだな』

『それで私とどうしたい』

『一度だけ同衾してはくれまいか』

『なんだお前は私と寝たいのか、それも一度だけとな』

『そうだ』

『私となら一度で充分だということか』

『没入するのが怖いんだ』

『それはやってみねば分かるまい』

『一度で充分だと思うか、もう一度と望むか』

『お前何気に失礼だな』

『そうかもしれない弁天』

『まあよい』

『では一度だけ頼めるか』

『ひとつ確かめたいのじゃが、私が二度目を望めばどうする?』

『それは一度目の結果次第だな』

『お前ずいぶんと上から目線じゃな』

『そうなのか?』

『私は水の神であり天界に住まう守護神じゃぞ』

『考えればそうなんじゃな』

『考えんでもそうなんじゃ』

『そんな方と一度でも経験できるのは稀有なことだな』

『ところで聞くが私は木造じゃ、どうする?』

『心配ない。こっちは青銅だ』

(410文字)

参加させていただきます。
たらはかにさま よろしくお願いいたします。

福耳  /  星のかけらを探しに行こう Again

#毎週ショートショートnote #かもしれない弁天 #福耳 #星のかけらを探しに行こう_Again