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坊主の煩悩 その後の後

あれからどれほどの日数が過ぎたでしょうか。
厳しい修行に明け暮れた日々を乗り越えた4人の修行僧は、ようやく一人前の僧としてこの寺を旅立つことになったのでした。


これ椿燃ちんねん、皆を集めてくれませぬか。


お主様、如何なされましたか。


お前たちが頑張ったのでな、何か褒美をやろうかと思ってな。
何か望むものはあるか?


褒美など滅相もございません。
お世話になったのは私どもの方、どちらかと言えばこちらから恩返しをしなければならないくらいでございます。


ならば最後に私ともう一戦交えぬか。今度はお前たち二人と私じゃ。


巷で言う3Pというやつでございますか。


どうじゃ、当然じゃが経験はなかろう?


お主様は経験がおありなのですか?


まぁ、それは良い。
ところで、修行が終わって何か人や性に対して感じ方に変化はあったのか? どうじゃ親然しんねん


ご無礼のほどお許しいただきたいのですが、色々考えました末、やはりお主様よりは若い女性と試してみたいと思うようになりました。
どこぞに頃合いの女性をご存じないでしょうか?


私の知り合いにホストクラブ通いの若い女性がおるから紹介してやろう。
何なら私を交えて女二人と男一人の3Pでも良いぞ。


自分の実力を試す機会なのですから、お主様の御助力を賜るのは少し筋が違うかと。ご紹介だけで充分でございます。


そうか、では近いうちに引き合わせてやろう。
次は永燃、どうじゃ変化はあったか?


女性との格闘はもうコリゴリでございます。
ですがお主様より賜りし技をどこかで試してみたいのも確かなこと。
そこで導き出した答えが同性に試してみようかと。
この場合、攻める側と守る側があり、両方を試すことができれば何かが見えてくるのではないかと考えております。


なるほど、ネコとタチの両方を試すと何かが見えてくると考えておるんじゃな。それなら格好の人物を知っておるゆえ、近いうちに紹介してやろう。


有難き幸せ。


では次、椿燃はどうじゃ?


男色の経験はございませんが、お主様から授かった厳しい教えは他人を相手にしてはいけないと考えました。
ですから私は自分一人で完結できるようにいたします。


つまりどういうことじゃ?


一人でも高みへ登れるように修行を続けようかと。


つまり自慰行為ということか?


それで十分でございます。


いや、それは勿体ないぞ。せっかく立派な……いや、そうじゃなくて……では今夜ゆっくり話をするとしよう、食事が終わったら私の部屋へ来なさい。


畏まりました。


では最後に寛然。お前はどうじゃ?


ひとえにお主様の厳しい修行で得られた賜物だと思っておりますが、私は体の結びつきより心の結びつきを大事にしたいと考えるようになりました。
有り体に申せば身体への興味が薄れたと申した方が、いや恐怖が増したと申すべきかもしれませぬ。
ですから、どこかの寺で安穏と過ごすのではなく、諸国を巡り仏の教えを少しでも広められればと考えております。


なるほどそれも一つの生き方であろうな。
それでは諸国へ出立する前に私が契機付けをしてやろう。


お主様とは心の結び付きだけで十分でございます。


そうは言うが、これからどんどん寒くなると人肌が恋しくなることもあるのではないのか? そんな時は連絡を寄越せばよいぞ、電話一本即参上じゃ。


恐らくお手を煩わすことはありませんが、心に留めおきます。
ありがとうございます。


結局のところ、誰一人としてこの婆の相手はできぬということじゃな。


あのような激しい修行は一生に一度で十分でございます。
お主様におかれましてもあのような激しい修行はお身体に悪うございましょうからお控えになられた方がよろしいかと。


私にとっては若返りの薬のようなものなんじゃがのう。
分かった、お前たちは晴れて卒業じゃ。
それでモノは相談じゃが卒業記念に婆の相手はどうじゃ?


お主様、ご勘弁を。

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ここからは修業が終わった4人のその後をお知らせいたしましょう。


親然その後
お主様から紹介されたホストクラブへ通う若い女性をあっさり攻略してしまった親然はその女性の勧めもあり、多くの女性を幸せにできる職業として坊主からホストへと転職いたします。
頭は剃髪のまま、衣装は袈裟衣に身を包み、場の雰囲気とは馴染みませんがそれが注目を浴びるキッカケとなるのですから世の中は分からないものでございます。
この親燃が本領を発揮しだしたのはホストになって間もなくのことで、女性の太股に手を置くだけで女性は彼にしな垂れかかり、潤んだ瞳になり、準備万端になるようでございます。さらには女性の手の甲でも、頬でも、とにかく他のところを撫でるだけで硬直と弛緩を繰り返し、終いには意識を失う方までいらっしゃるとか。
いつの間にそのような技を身につけたのか、それとも天性のものが開花したのかは分かりませんが、彼のホストとしての名声は輝くばかりで、今や会うだけで一年待ちだそうでございますが、彼は一度も着衣を脱ぐことはなかった、いや脱ぐまでのこともなかったようでございます。
指先の魔術師の異名を持つ彼が、これからどこを目指すのかはまた別のお話しでございます。


永燃その後
お主様から紹介された男性から様々な知恵や技術を教えられた彼は、男性の勧めもあり秘密クラブのようなところに参加いたします。そこで実力を発揮し始めた永燃はその方面の雑誌で一躍有名になり、親燃同様坊主を辞めモデルへと華麗に転身いたします。モデルとなってからも頭は剃髪のままで、ショーであっても撮影であってもその姿を押し通したことからモデルとしての人気がさらに高まったということは言うまでもございません。


椿燃その後
他人を相手にするよりは自慰で十分とした彼はその後もひたすら自慰行為を繰り返したのですが、ある日もっと効率的にできないものかと考え、試行錯誤を繰り返すもついに自慰に有効な新しい商品を開発し、一躍お金持ちになられたとか。
彼はお金の有効活用として、本堂の屋根瓦の葺き替えを行い、また男根と女陰を象ったような夫婦石を寄贈されたそうでございます。


寛然その後
全国を行脚し仏の教えを広めようと積極的に動き回っていた彼ですが、ある時から音信不通となり行方知れずとなってしまいました。
風の噂によりますと遠く地方のお金持ちのご婦人に囲われ過去を彷彿とさせるような修行三昧の日々であるとか、どこかの寺で新しい女体を描いているらしいと囁かれているようでございます。


因みに寛然が襖に描いた女人像が妖しいところに開いた穴もそのままに、いにしえの画家の再来だと雑誌に取り上げられたことで話題となりました。
椿燃が寄贈した夫婦石と相まって、安産や子授けにご利益があると言われるようになり、連日大勢の参拝客で賑わっているそうでございます。
中には安産の御祈祷をお願いされる方もおられ、その折にはお主様が新しく考案された一風変わった踊りが漏れなくついてくるようでございます。

寺としては非常に奇異なことでございますが、修行の身だった彼らからの贈り物をお主様はどのように受け止められているのでございましょうや。

そうそう、新しい修行僧4名が間もなくかの地を訪れるそうでございます。


坊主の煩悩シリーズこれにて終了です。
お読みいただき誠にありがとうございました。


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