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メイドの土産(二)
▶前回のあらすじ
独居老人が骨折して入院したことから、住み込みのお手伝いさんを雇うことになった。
さてどんなお手伝いさんかと思ったら、うら若きお嬢さん。
しかもメイド服を着用している。
麻里亜と名乗る菩薩のようなお嬢さんと独居老人との奇妙な同居生活。
その生活はまだ始まったばかりだ。
なんか続くみたい。
詳細は以下を⇩⇩⇩
![](https://assets.st-note.com/img/1738263740-tq8wLKgFEJGC7R49eXQhbTxV.png)
「麻里亜さん、おやすみの日もメイド服なんですね。たまにはオシャレしてお出掛けとかしないんですか?」
「この正装は同じ物をいくつも持っておりますし、特に行きたいところも、会いたい人もいませんから」
「それではご一緒に散歩や外食などいかがですか?」
「喜んでお供いたします」
「お仕事外でもですか?」
「ええもちろん」
「では散歩に行きましょうか」
「はい」
「やはり服装はそのまま?」
「ご迷惑でなければ」
「私はいいんですが、何となくお仕事モードになりませんか?」
「それはいつも意識しておりますから問題ございません」
「ということは休みであって休みでない」
「住み込みを希望した時点で365日24時間体制で臨むのは当然のことです」
「世にうるさく言われている働き方改革に反しますね」
「メイド職の場合、個人の資質によるところが大きいのが実情です」
「私はいい人に巡り会えたということですね」
「そう仰っていただければ幸いです」
「さてどこへ行きましょうか」
「今日は天気もよろしいのでこの先の自然公園などいかがでしょう」
「それはいい」
「帰りは違う道になりますが、私が最近見つけた少しお洒落なカフェがございます。そちらで昼食、あるいはティータイムなどいかがでしょう」
「それは楽しみです」
「ではお手をお貸しくださいませ」
「こうかな?」
「ありがとうございます」
![](https://assets.st-note.com/img/1738263768-y0Ut9BLCrZblGkXMQwaOHVhW.png)
こうして二人は腕を組んで歩きだした。
脚の悪い私にとって支えとなるべく、しっかり腕を組んでくれるのは非常に有り難いのだが…………。
![](https://assets.st-note.com/img/1738263775-XlbBIMdYPGa8K2hvFifJk94O.png)
「麻里亜さん、腕を組んでもらえるのは嬉しいんだけど、その……あなたの胸が」
「ご不快な思いをさせてしまったのでしたら幾重にもお詫びいたします」
「いや、不快な思いなどしてないよ。むしろ君がイヤな思いをしてるんじゃないかと思ってね」
「なんとお優しい」
「偶然であれ、若いお嬢さんの胸に肘なり腕なりが触れてしまうのだから気にしないといえば嘘になるし、気にしずぎるとぎこちなくなるし、一応麻里亜さんに話しておいた方がいいかなって」
「ご主人様、私の胸などお気になさることはありません。しかも故意ではなく偶然なのですから。いえ例え故意であってもです。私の胸など見せろと仰られれば見せることも、触らせろと仰られれば触らせることも可能でございます」
「麻里亜さん何を言ってるの?」
「いえ、むしろ見ていただきたい、触っていただきたいとさえ思っております」
「麻里亜さん、言ってることが無茶苦茶ですよ」
「あっ、大変失礼いたしました。私としたことが自身の妄想の世界にどっぷりと浸かってしまっておりました」
「そうなの? 麻里亜さんの妄想の世界だったんだね」
「申し訳ございません」
「謝る必要はありませんよ。少々驚きましたが、その分楽しませていただきましたからね」
「どうぞ解雇などにならぬように伏してお願いいたします」
「解雇になどするもんですか。さっきも言いましたけどホントに楽しかったんですからね」
「それではお散歩の続きなど」
「いや、私はここで帰ります」
「やはりご気分を害されたのでは……」
「違うんだ。確かにさっきの妄想の世界はインパクトがあった。それは間違いない。それで同じように腕を組んで肘や腕に胸が当たる毎に思い出す。きっとそのうち本当に胸を見せろとか触らせろと言いそうで少し頭を冷やしたいんだ」
「私は全然構いませんが」
「私の矜持がね。そのうちホントにお願いする日が来るかもしれないけど、それまでは思うようにさせてよ」
「そういうことでしたら」
「麻里亜さんはさっき話してたお洒落なカフェでランチやティータイムを楽しんで来てください」
「いえそういう訳には……」
「まだ行ったことないのでしょ? じゃあ私に会うメニューがあるのかとか、店の雰囲気や明るさ、客層などリサーチしてきてください」
「でも……」
「これは主人からの命令です」
「畏まりましたご主人様」
「ではここで」
「はい。お気を付けてお帰りくださいませご主人様」
「夕飯までには戻ってくださいね」
「畏まりましたご主人様。では行ってまいります」
![](https://assets.st-note.com/img/1738263794-hBSs1XEAMCNzmJ8wjfWnve5R.png)
こうして二人は別の方向へと歩きはじめます。
歩きながら麻里亜さんはふと思うのです。
「ご主人様の優しさに触れて幸せを感じてしまった。あのお店にはケーキもあったはず。ご主人様にお土産をお持ち帰りしなければ」
![](https://assets.st-note.com/img/1738263808-wFYBIM2zskflRmLtreZvKW1g.png)
歩きながら主人である老人はふと思うのです。
「いやぁ大きくて弾力があって気持ち良かったなぁ。いつかホントに見たり触ったりできるんならメイドの土産になりそうだ」
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これ続くのかなぁ…………。
Lauren Spencer Smith / Pray
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