今日の気分は? 202400917 No.319
今朝の京都は曇り空です。1日を通しては曇り時々晴れの予報です。午前7時の気温は27℃。日中は35℃予報です。
熱帯夜も猛暑日もあと数日だと思うとなんだか嬉しくなってしまいます。
ほんまやろなぁ。
「少し前になりますが、大国主命からも歴史は真実でないこともあると教えていただきました。私にとって非常に重要なお話でした。私は何も知らなかった。それをお詫びしました」
「そうか。内容は異なるだろうが、同じ悩みを抱えている神もいるのだな。そう聞くと少しホッとする。その神に対して謝ったのか? 人間のあなたが」
「はい。知らないことが悪いとは思いません。むしろ知らない方が幸せだという考え方も分かります。実際知らない方が良かったと思うこともしばしばあります。ですが、知ってしまった以上知らぬふりはできません。自分の無知を恥じるとともに、不見識を詫びようと思いました。でも家族や友人、知人に対しても、自分がそのようにできているかというと、まったく自信はありません。むしろ黙っていたり、誤魔化していることが多いと思います。多分お相手が神だったから、素直になれたんだと思います」
「『瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ』という百人一首を知っているか?」
「百人一首は詳しくないですが、聞いたことがあるような気がします」
「教養不足だな。私の歌だ。意味はわかるか?」
「すみません。教養不足なので理解できません」
「根に持つタイプか?」
「決してそんなことは」
「まあ良い。これは恋の歌で、一時的に離れることになっても、将来は一緒にいようね。って意味だ」
「なるほど。で?」
「本当に血の巡りが悪いなあなたは。こんな小っ恥ずかしい恋の歌を詠む私が、怨霊になんかなれるか?」
「そういうオチですか」
「オチってなんだよ。話にオチを求めるなよ。これだから関西人は困るんだ。私に喧嘩売ってんのか?」
「気に障ったのなら謝ります。でも院も関西人でしょ? それにすぐ熱くなるところなんかも怨霊にされた原因じゃないんですか?」
「うーん。痛いところを付かれたがそうかもしれない。根暗な子供だったから、チヤホヤはされたけど、周りの皆に優しく接したこともなかったしなあ。なんだ、鋭いところもあるじゃないか。少し見直したぞ」
「そりゃどうも。これで仰りたいことは終わりですか?」
「因みに私の愛した寵姫で阿波内侍というのがいるんだが、私が讃岐に流された翌年に出家し、大原の方で隠棲し百歳近くまで生きていたらしいぞ」
「讃岐にはお連れにならなかったんですか? 後から来られたとか?」
「いや来なかったな。文のやり取りはしていたけどな。そういやあいつ阿波の生まれって言ってなかったっけ?」
「知りませんよ」
「実はまだあるんだが、いいか?」
「どうぞ。こうなったらとことんお付き合いしますよ」
「お前ってホントはいい奴なんだな」
「だ・か・ら、先をどうぞ」
「ちょっと自慢になるんだが、我々の住まう白峯神宮は、伊勢神宮などと並ぶ『神宮』だ。そもそも神宮ってのは全国に二十社くらいしかなくて、天皇家や皇室に関係が深くないと使えない社号なんだぞ。近くには道真の住まう北野の天神社がある。もっと近くには晴明もおる。なかなか賑やかな場所なんだが、あなたは知っていたか?」
「そういう意味もあるんですね。でも当然じゃないですか、お二人とも元々天皇なんですから。それに私は代々続く生粋の京都人ですから、ご説明いただかなくても位置関係は存じていますよ」
「なんだそうなのか、つまらんな。じゃあこれはどうだ? 私は百人一首に選ばれるような歌の名手であるし、自ら歌の選定をすることもできるから、歌集を作ったりもした。怨霊と呼ばれてからは、いくつかの物語にも登場している。有名なのが雨月物語というが、教養のないあなたは読んだことがないだろう? 機会があれば読んでみるといい。他にも南総里見八犬伝で知られる曲亭馬琴作、葛飾北斎画の読本がある。タイトルは忘れてしまったが内容がいい。ある武士が危機になると、怨霊の私が助けに現れるというものだ。こちらの方が私のイメージに合うんじゃないかな。どうだスゴいだろう」
「だんだん自慢話が激しくなってますよ」
「ではとっておきの話をしよう。私は怨霊だが交通安全の神でもある。関係ないと思わんか? 当時の乗り物といえば牛車か馬くらいだぞ。不思議で仕方なかったんだ」
「言われてみれば確かにそうね。どうしてなの?」
ジュン様の合いの手だ。
「正解は怨霊である私のお守りであれば、事故になるような車も祟りを恐れて避けて通る。だから交通完全に効果があるということらしい。これこそオチじゃないか」
「そんな理由なの? 信じられない」
「この一件で私は人間の逞しさを感じた。悪いことも考えようで良いことへ変えられる。正に災い転じて福となすだな、実に逞しい。そうやって人間は生き抜いてきたんだな。私は誤解から怨霊となった身だから、お守りにどれほどの効力があるのか分からないが、信じて持っていてくれる子たちを大切にしたいと思う」
「結局いい話じゃないの。ジンジン成長したわねえ」
「ジンジンと呼ぶなって言ってるだろ」
「でもちゃんと筋道立てて話せたじゃない」
「そうだな。淳仁と違って聞き手が良かったのかなあ」
「竹本氏はとっても聞き上手なのよ。私の時もそうだったわ」
「お褒めいただき恐縮です。天皇に褒めていただけるなんて末代までの誉れですが、誰にも伝えられないのが辛いですね」
「どうして?」
「まさか怨霊の元天皇と話したなんて、誰にも言えないでしょ? 言っても信じてもらえないだろうし」
「じゃあ何故今回も録音しているの? 私の時もしていたでしょ? いつもしているの?」
「私の趣味です。できるだけ録音するようにしています。それに忘れないようにするためですよ。外向けに使うつもりはありませんから。ジュン様に高額な使用料を吹っ掛けられたら堪りませんからね」
「言うわね」
「ジュン様に教えていただいたんですよ。その教えを守っているだけですよ」
「ジンジンもそれでいいわよね?」
「私はなんでもいい。ていうかジンジンて呼ぶな」
「ジンちゃんてほんとお人好しね。そこが良いところなんだろうけど、もう少し自分の権利を考えないとね。まだまだ私が側にいないとダメみたいね」
「淳仁はどこかに行くつもりでもあるのか?」
「ううん。すぐに何処かへという訳じゃないわよ。球技の神様の仕事もあるしね。でもいつまでもジンジンの世話しているのもね。奥様もいらっしゃるし」
「妻は関係ないだろ」
「関係あるわよ。ジンジンのことを甲斐甲斐しく世話してくれているのよ。不遇の時代もずっと側にいてくれたんでしょ? あなたとの子は授からなかったけど、あなたは愛されているの。そんな奥様は大事にしなくちゃね」
「淳仁にも妻はいるだろう」
「いますよ。あの人は再婚ですけどね」
「あまりうまくいってないのか?」
「そんなことはないわよ。でも私がこんなだから呆れられているのかもね」
「呆れられているってどういうことだ?」
「順風満帆ではないということよ」
「やはりうまくいってないということか?」
「そうじゃないの。今となっては昔の話なんだけど、上手く仲麻呂に利用されたんだなあって思って」
「どういうことだ?」
「正直に話すわね。私の奥様はね、仲麻呂の息子の妻だったのよ。その息子が死んじゃってね、未亡人だったわけ。普通亭主が死んだら実家に帰らない? それを未亡人のまま居座ってたところを、仲麻呂が私にくっつけたの。権力欲の強い女性だから、私が追い落とされてからは面白くなかったでしょうね」
「そんなことはないだろ」
「でも、母上は淡路に同道してくれましたけれど、あの人は淡路には来なかったのよ」
「やはり上手くいってないということだろ?」
「そんなに虐めなくてもいいじゃないの」
「別に虐めているつもりはない」
「自覚がないのは困ったものよね」
「いや本当に虐めてはいない。心配しているだけだ」
「みんなジンジンのところみたいに仲良くはないのよ」
「ジンジンて言うな」
「ごめんね、ジ・ン・ちゃん」
神様の夫婦関係なんてそうそう聞ける話じゃない。
仁様はブツブツ言いながらも仲良く帰って行かれたが、しかし今日の話は重かったなあ。
つづく
◆近々最終日を迎える企画
9/18まで
9/20 20時まで メイン企画のための準備企画です
9/21夜まで
9/22まで
◆最終日までしばらく時間のある企画
9月末日まで
9/30まで
◆最終日までずいぶん時間のある企画
2025/7/5まで
期間は2024年9月1日から9月21日が終わるまでとします。
以下の注意事項をよくお読みください。
「#ふぉれすとどわあふ」のタグを必ず付けてください。これが付いていない作品は関連作品とは認めません。
タグは上記の太文字のタグをコピペしてお使いください。
小説、エッセイ、詩、音声、映像、その他諸々、形式は問いません。
作品を書かれた方は次のテーマを最低2つ、多くても3つを設定してください。テーマの内容は問いません。メルヘンやファンタジーである必要もありません。テーマの設定がない場合そこでお話は終わるものとします。
終わった話からの続きはないものとします。
どなたの作品のどのテーマを選ばれたのかを本文のどこかに明示してください。
以下は今回の作品群です。
⇧⇧⇧※各詳細は上のマガジンからお読みいただけます。⇧⇧⇧
◆期限なし企画が新しい順に並んでいます。
※投稿された日付から1か月で削除されます。
八の巻が始まりました
めでたしめでたしが入れば終わり。それまでは延々続きますよ。
毎週日曜から始まる Doudoitu de Rennka 100 にご参加いただきありがとうございます。
期間中に中秋の名月が含まれますので、連歌の形式は変更せず、少しだけ難易度を上げて『月縛り』を敢行いたしました。
『月という文字が入るか、月をイメージさせる文言がある』が条件です。
月の呼び名は、その形や時期によって様々な呼び名があるようです。そういうのを使っての都々逸もレベルが高そうでカッコイイっすよね。
さらに、おはようよねちゃん(おはよねさん)が一年を掛けて取り組まれている『どどいつのほん』にエントリーすることができるようになりました。
仮定のお話しですが、100作品のすべてが素晴らしい出来であれば、そのまま一括りにしてエントリーもというお話しも出ています。
『月縛り』でお創りいただいた都々逸が、たとえ一部の方の作品でも、来年刊行予定の『どどいつのほん』に掲載されることも夢ではないと思ってください。
一年間ずっと変わらず募集をされています。要項は下記をご覧ください。
⇩⇩⇩
ここで一つお約束をお願いします。
『Doudoitu de Rennka 100 名月篇』には参加するが、『どどいつのほん』にエントリーはしませんと言う方は事前にお申し出ください。事前にお申し出がない限り、自動的にエントリーに了承したものとします。
また、あくまでエントリーであり、『どどいつのほん』に確実に掲載されるわけではありません。ご了承ください。
また、『どどいつのほん』に記載されるには著作権の問題も派生することになるようです。問い合わせがあれば個々に対応願います。
ということでスタートしましたが、縛りなどものともしないツワモノが多く、初日で100をクリアしてしまいました。驚きです。
急遽「Doudoitu de Rennka 200 名月篇」に変更いたしました。それでも足りない場合は、どんどん増やします。
以下は名月篇に投稿していただいた方々と、その作品群です。
9/21&9/28
9/22のみ
10/2~10/6
10/10~10/21
1曲目は Nulbarich の Liberation 。
2曲目は GLIM SPANKY の ひみつをきみに (feat. 花譜) 。
3曲目は yoasoP の 夏が、終わる 。
お気に入りの曲のリクエストやこういう特集を組んでほしいなどがあればコメ欄にお願いします。ジャンルも問いません。
#今日の気分 #iTunes #Nulbarich #Liberation #GLIM_SPANKY #ひみつを君に_ (feat._花譜) #yoasoP #夏か ゙、終わる