殿中でござる【毎週ショートショートnote】
タイトルを見ただけでどんな内容か分かる人には分かってしまいますが、長くないので読んでみてください。
殿、廊下の先が雨で濡れてござりますれば、南蛮渡来の雨合羽をご用意いたしました
何じゃ南蛮渡来の雨合羽とは
宣教師によりますとおばけれいんこおとと申し、軽くて強い逸品だそうでござります
それを着用すれば雨が降ろうが槍が降ろうがということか
さて、槍が大丈夫かは分かりませぬが、城内でござれば傘をさすのも憚られまする。しかし、こ奴を着用すれば長袴が濡れることもござりませぬぞ
それは便利そうじゃが、脱ぎ着は簡便なのか
裃の上から羽織っているだけにござれば問題ござりますまい。ですが、いきなり松之廊下で粗相でもあれば一大事。この部屋にてお試しされませぬか
おお、そちにしては良き考え。では早速試そうぞ
殿、やはり試してみねば分かりませぬなぁ。長袴の裾より長うございますぞ。切りまするか
せっかくの献上品、粗末に扱うでない
ではしばし部屋の中をお歩き召され
あっ殿その先は・・・
お主、今長袴の裾を踏んだであろう。そこへ直れ無礼者
殿、殿中でござる~!!
(410文字)
今週も参加させていただきます
たらはかにさま よろしくお願いいたします