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The Night Before Christmas

クリスマスケーキを予約したはずなのに聞いてないと言われた。さらに追い打ちをかけるように今日は予約のみだと言われた。
今夜はケーキを買って彼女の家でイブを過ごす予定なのに最初の一歩でつまずいてしまった。

この近辺にケーキ屋なんてないし、仮にあったとしても予約したはずの店のケーキには及ばないだろうし、さあどうする?

コンビニスイーツにするか? いやいやせっかくのクリスマスイブだぞ。
彼女も楽しみにしてるんだからとにかくクリスマスケーキを手に入れなくっちゃ。

だけど気持ちが焦るだけで予約もなしにクリスマスケーキがそう簡単に手に入るわけはなかった。

結局ケーキ屋が閉店を迎える時間になっても手に入らず、コンビニスイーツも売り切れ店続出で唯一手に入れたのはシュークリーム2個だけだった。

遅くなったが彼女の家に向かう。腹は空いているが彼女が何か用意してくれているだろうから我慢だ。
だけど何度電話しても留守電になるだけだし、LINEを送っても既読さえつかない。
買物に出掛けて事故にでも巻き込まれたのかとイヤな想像が頭をもたげる。
一刻も早く顔を見たいが相変わらず連絡は取れない。

家の前まで到着したものの灯りは消え人の気配さえもない。
スマホで確認してみたが近隣に事故や事件のニュースはない。

これはいよいよヤバいかもしれない。

警察か? いやもう少し待ってみるか?
まだそんなに遅い時間じゃないから何かで遅れているだけかもしれないし。
そそっかしい彼女のことだからクリスマスプレゼントを買い忘れたとかありそうだしな。

結局何度連絡しても返事もない、終電も過ぎた午前3時。一応ドアをノックしてみるが応答はない。そして部屋には鍵がちゃんと掛かってる。

これはいよいよ警察に連絡だ。
だけど電話口に出た警察の人は彼女と僕の間柄が実証できないと部屋に入ることはもちろん、探すことも難しいという。
結局近くの交番のお巡りさんが来てくれることになった。

お巡りさんにはまず僕の身分を証明する物の提示を求められた。
次に彼女との関係や彼女がどんな人かを尋ねられたからスマホの中の写真を見せた。
しかし、この写真の女性がここに住んでいるかどうかは分からないと言われた。
それから色々尋ねられたが、とにかく夜が明けて人々が活動する時間まで待つことになった。お巡りさんも一緒に待ってくれると言う。優しいお巡りさんで良かった。


それから数時間後、車が一台、家の前に泊まった。
助手席から彼女が降りてきた。運転席の男性とキスをしている。
どういうことだ?

「あら、どうしたのこんな時間に」
「あれ誰だよ」
「彼氏だけど」
「それよりどうしたのよ」
「一晩中待ってたんだ。何度も連絡したんだぞ」
「ごめんスマホの充電切れちゃってて。それにあなたとの約束は今夜じゃなかったっけ?」
「は?」

そうだった。イブの夜は予定があるから次の日にしようと言われていたんだった。だからケーキもクリスマスケーキじゃないモノをホールで予約したんだっけ。

「お話し中申し訳ないが、事情を説明してくれますかな」
そうだ、警察にも来てもらってたんだ。

お腹は減るし、眠いし、彼女にはセフレの一人だと言われるし、警察には気の毒にという顔をされながらお小言をいただくし・・・最悪のクリスマスイブだよ。

「絶望のメリークリスマス」の企画に参加させていただきます。
山根あきらさま よろしくお願いいたします。


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