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「せいのみわお」というペンネーム【イラストレーター私録】
この名前で呼ばれるのは、少々恥ずかしい。
名付けの理由は一応あるのだが、それほど先のことは考えずに決めてしまった。
あまり聞いたことがないタイプのペンネームだと思う。
素敵ですねと褒めていただいたこともある。ありがたい。
由来について聞かれたことも結構ある。
経緯やこだわりについて書いてみようと思う。
「みわお」というあだ名がついたのは、小学校高学年くらいの頃だ。
女の子に「お」って付けていじってみるのがちょっと面白いみたいな、小学生らしいノリだった。
最初は男の子みたいに呼ばれるのが嫌でやめてと言っていた。(いじめられたとかそういうことではない。)
だがよほど語感が良かったのか、気づいたら隣のクラスにまで広がっていて、もはやこの拡大は止めることができなくなっていた。
「やめて」と言うのをやめたら、クラスの担任の先生にまで呼ばれるようになった。
他の女の子にも「お」を付けて呼ぶのが流行っていったが、
「みわお」が一番根付いていたように思う。
中学生以降は、自分から「みわおって呼んで」と言うようにした。
皆、何の抵抗もなくすんなりと呼んでくれた。
高校、大学も言い続けた。
「みわお」は定着していき、第二の名前のように思えるほどになった。
大学生になり、インスタで作品用のアカウントを作った。
作った頃はイラストレーターになるビジョンはなかった。いつアカウントの名前を「せいのみわお」にしたのかもよく覚えていない。
けれどもどこかのタイミングで、「ペンネームっぽくしておこう」と思ってこの名前を付けた気がする。
ペンネームを付けるにあたって、一応考えたこと。
まず、自分の本名が気に入っていたので、活かしたかった。
たとえ結婚して苗字が変わることがあっても、この姓を名乗り続けることができるのはいい。
次に、ひらがながよかった。
自分の本名の漢字は初見で正しく読まれることはほとんどない。読めない名前はつけない方がいい。
また、グループ展やコンペでずらりと名前が並んだ時、ひらがなやカタカナの方が目に入って来やすい気がする。
そして、第二の名前であるこのあだ名をつけた。
なんとなく「イラストレーターとして活動する自分」と「現実の自分」は区別したかったのかもしれない。
でも完全に区別しきってはいない。派生みたいなものか。
そんな曖昧さもこの名前にはある。
こうして曖昧な感じで付けたからか、この名前で呼ばれるのは少し恥ずかしい。
フルで呼ぼうとしてくれる人も少し呼びにくそうだ。
(せいのさんと呼んでくれたらいい。)
しかし気づいたらこの名前でグループ展に呼んでいただいたり、コンペの最終選考や入選に選んでいただいたりするようになっていた。
変えるに変えられないところまできてしまった…
展示などで初めてお会いした方から、「男性だと思ってました」と言われたことが結構ある。
絵柄もあまり性別を感じさせない方なので、なおさらそう思いやすいのかもしれない。
そんなちょっとしたギャップも生まれて面白いので、よかったと感じることもある。
自分とのギャップがあるようで、同時に第二の名前でもある、付かず離れずなこの名前。
気に入っているかどうかと問われると、
まあまあ、くらいの微妙なところではあるけれど…
今のところこれに代わる名前は思いつかない。
呼ばれる恥ずかしさに慣れてしまうくらい、イラストを頑張るしかなさそう。