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伊豆半島の秘境、南伊豆町の入間千畳敷をあるく

2022年末に東京から静岡県三島市に移住してから、伊豆・箱根の観光地まで 1~2時間程度でアクセス可能になり、自然に触れる機会がぐっと増えました。

今年のゴールデンウィークは、日帰りで伊豆半島の最南端に位置する南伊豆町の奥地、入間をあるきました。”南伊豆の秘境”といわれる入間千畳敷が目的地です。
結果、めちゃくちゃいいところでした!
これを機に環境と健康についてより真剣に考えはじめたくらいです。

トレッキングはこちらのガイドブックを参考にしました。紹介されているコースがどこもすてきで、さすが地元の静岡新聞社さんです。今回、私が歩いたのは千畳敷だけなので、本気のトレッキングの方からしたら準備運動かもしれません。

最後に寄り道スポット紹介もあるので旅の参考になれば幸いです。

三島の書店で購入したハンドブック。
『静岡新聞社 編.伊豆半島ジオパークトレッキングガイド.2015(2020年初版第5刷)』


入間の港から出発

朝6時に車で三島を出発し、渋滞することなく8時に出発地点の入間の港に到着。
切り立った岩山と弓形の透き通る水の入江のつながりが、もう美しいです。
釣り客が少しいる程度でGWの喧騒はありません。

コース案内板を起点に登り始めると、すぐに薄暗い森に入り、山道では、カナヘビ、手のひらの半分はある殿様バッタ、ヘビなどに出くわしました。ときどき視界が開けるとこんな景色が広がります。

山道も千畳敷の遊歩道も舗装されているのでスニーカーでも大丈夫ですが、急な坂道などすべりやすい箇所もあり、トレッキングシューズでよかったと思います。

千畳敷への急な階段を降りたあとの遊歩道(行きは撮り忘れて、写真は帰り道…)

入間の港を出発して50分。千畳敷の絶景がひろがりました。

千畳敷では、かつて伊豆石の採石が行われていて、採石の跡が至るところに残ります。ここから船で運び出された石たちは江戸城の石垣になったとか。

採石の跡地は角ばったくぼみになっていて、大小様々な水槽が並んでいるようです。中をのぞくと、ハゼ、小魚、カニ、ヤドカリ、うみうし、ウニ、イソギンチャクなどが生活していました。頭上にはトンビが旋回し、千畳敷は生物で賑わっていました。

ここでは人間は少数派でした。

採石の跡。天然の水槽(小サイズ)のようにみえます。これがいたる所にあり、
自然と人工的につくられたものが同居する、ラピュタ的なイメージをもちました。

とにかく水がきれい!青い!碧い!

風と海の音、生き物の声を聞きながら、迫力ある岩壁と青く澄んだ水を眺めてボケーっとします。釣人も朝のピークを終え、昼寝していました。
道端に生える草花になったような、自然の一部になった感じを味わえます。

迫力ある断層もあります。

往復歩行時間と千畳敷でゆっくり過ごした時間を合わせて、合計3時間ほどのゆるやかなトレッキング。満足感の高い場所でした。

↓伊豆半島ジオパーク公式HPの入間千畳敷のページ↓


伊豆半島ジオパーク(ジオパークとジオサイト)

伊豆半島は、2018年にユネスコから世界ジオパークに認定されています(国内9番目)。ジオパークは「ジオ(大地)」と「パーク(公園)」を組み合わせた言葉で、地球や大地を意味します。ジオパークの大地のなりたちがわかる見どころを「ジオサイト」と呼ぶそうで、入間千畳敷もジオサイトでした。
そりゃ、すごいわけだ。

伊豆半島ジオパークは、地質遺産の保護と活用からはじまり、現在は持続可能な開発目標(SDGs)を実践し、持続可能な社会の実現を目指しています(以下参照)。

伊豆半島は 2011 年にジオパーク活動を開始し、ジオツーリズムを推進し、来訪者へ伊豆半島のなりたちと魅力を紹介するためジオガイドを養成し、解説板を設置し、拠点施設を整備してきた。また学校でのジオ教育や地域での活動をとおし郷土愛を育み、自らが住まう唯一の土地:伊豆半島を知り、 持続可能な地域を目指しました。2018 年、ユネスコが認証する「ユネスコ世界ジオパーク」になりました。伊豆半島に暮らす人々は伊豆が持つ世界的な価値を認識し、地域に対する誇りを醸成した。(中略)伊豆半島は既に人口減少社会に入っている。ジオパーク活動を通して SDGs を実践し、ビジョンを共 有する企業や個人とパートナーシップでともに手を携え、持続可能な社会の実現をこれからも目指していきます。

伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク.進捗状況報告2017-2020より


SDGsには17の目標や169のターゲットがあり、17の目標はリンクしていて、どれか1つ欠けても達成することができません。経済、社会、環境の3つの側面のバランスのとれた、持続可能な開発をめざしています。

SDGsのもうひとつの捉え方として「5つのP」があります。
人間(People)、地球(Planet)、豊かさ(Prosperity)、平和(Peace)、
パートナーシップ(Partnership)

出典:SDGsを広めたい・教えたい方のための「虎の巻」

仕事がグローバルヘルス関連ということもあり、人間、平和、パートナーシップは考えてきたことですが、「地球」や「豊かさ」は大事なことはわかっていても口先だけのような気がしていました。
三島に移住してから、生活のつながりから環境の豊かさを感じるようになり、今日のジオサイトあるきで一気に、生活の一部としての課題になりました。

SDGsの前文には、Transforming our worldと書かれています。
将来世代の可能性を損なうことなく現在のニーズを満たすには、社会も自分自身も変化が求められます。少しずつでも進めていきたいものです。

具体的な行動として、ささやかですが、なるべく環境に配慮した商品を買うこと、三島の川掃除に参加する、自宅の軒先に巣をつくった2世帯のツバメの生活を邪魔しないように見守ることからはじめていきます。
それから、「ジオサポーター」になり、伊豆半島ジオパークや自然環境について学んでいきます。その学びをまた報告したいと思います!

今回の寄り道スポット

◼️『パン工房 森への入り口』

週に1回土曜日のみオープンするパン屋さん。入間の港から車で30分ほどの南伊豆町天神原地区にあります。工房を営むご夫婦は、自分たちで森を切り開き、お店と窯だけでなく家もつくってしまったそうです。私たちは、塩と粉だけでつくられたオリジナルの天然酵母、手作りの窯で焼き上げられたライ麦フルーツパンとカンパーニュをゲット。どちらも、もっちりとかみごたえがありおいしい!
1年前から待ち続け、来た甲斐がありました。また訪れたいです。

ライ麦フルーツパン。ずっしりもっちり、おいしゅうございました。
カンパーニュは撮り忘れてしまいましたがどちらもおいしいかった!
お店のホームページはないので、こちらを参考に。

◼️松崎町でお昼休憩 

「森への入り口」から車で25分ほどの場所にある松崎町。なまこ壁の建物が立ち並び、特徴的な景観の観光地です。GWはさすがにどこのお店も混んでいて、なんとか『うなぎ三好』でうなぎ定食を食べることができました。本店が松崎で、姉妹店が東京人形町にありました。少し濃いめの味付けでしたがおいしかった〜。

なまこ壁の建物。こちらは松崎ビジターセンター。

◼️『フランボワーズ』

三島のグルメな方に教えてもらい、夫婦で大ファンになったカフェ。
なまこ壁の建物の奥に広がるカフェスペースがお洒落で、とくにテラス席は森の中にいるような癒し空間でゆったりと過ごせます。ケーキも美味しい。

ミルフィーユはサクサクでおいしすぎました!
テラス席からの風景
庭の方からテラス席を眺めた風景



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