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ドクターヘリが身近になった、移住2年目の救急の日(9月9日)

静岡県に移住して1年目の昨年の春、西伊豆の黄金崎の崖で、ドクターヘリによる救出場面に遭遇しました。後述しますが、静岡県、とくに伊豆半島ではドクターヘリの出動数が多いんです。

西伊豆の黄金崎の崖にて(筆者撮影)。
ドラマ以外ではじめて遭遇した光景に心がざわつきました。浜松のドクターヘリによる救出。



毎年9月9日は「救急の日」

毎年9月9日は「救急の日」です。厚生労働省と総務省消防庁は救急の日を含む一週間を「救急医療週間」としていて、救急医療の正しい理解と認識を深めることを目的に、毎年、各地域で救急車の利用方法やAEDの使用方法などのイベント、ワークショップが行われています。

近くの三島消防署では、ドクターヘリ機体や消防車両の見学、ドクターヘリスタッフの活動説明会などを行うイベントが開催されてたので、行ってきました。


ついに、10月から #7119が静岡県でもスタート

ドクターヘリ見学前に、受付でうれしいニュースがありました。

全国と比べて導入が遅れていた、#7119が静岡県でも10月1日から始まります。

#7119は、急な病気やけがをしたときに、救急車を呼んだ方がいいのか、今すぐ病院で受診した方がいいのか、など迷った際の電話相談窓口です。看護師や医師などの専門の相談員からアドバイスを受けることができます。

出典:ふじのくにメディアチャンネル.https://fmc.pref.shizuoka.jp/article_post/7018/


救命救急士さんによれば、三島消防署には、毎日市民から「救急車を呼んだほうがいいか?」という相談の電話が入るそうです。

「指を切ってしまった」などの外傷のほか、「胸が痛い」などの緊急のケースもあり、他の業務を一時中断して対応にあたるそうです。#7119 の普及によって救急車の適正利用につながることが期待されていました。

#7119 は、個人的にも待ち望んでいたサービスです。その理由は以下のnoteに書きました。「困った時にいつでも相談できる場所がある」というのは安心感があります。


ドクターヘリ機体の見学

通常、ドクターヘリは順天堂大学医学部附属静岡病院のヘリポートに常駐していますが、今日はイベントで三島消防署に来ていました。

三島消防署のヘリポートにて

ドクターヘリは、交通事故や急性の心疾患、脳疾患など、緊急を要する患者さんに迅速に対応するための空飛ぶ救急治療室です。

日本では、2001年4月に正式に運航が開始。導入のきっかけとなったのは、阪神・淡路大震災(1995年発生)でした。開始当初は、法的な裏付けがなく補助金事業でしたが、2007年にドクターヘリ特別措置法が制定。その後、地方の財政負担を減らす特別交付税措置が始まり、導入が加速しました。現在は46都道府県に56機が配備され(2023年4月時点)、実質的には全国配備が完了しています。
日本医師会ポータルサイト参照。詳細は公式HPをご覧ください

静岡県では、2つの病院がドクターヘリの基地となり、2機体制で全県をカバーしています。1県に2機あるのは珍しいのだとか。とくに山間地でアクセスが難しい地域や伊豆半島の医療過疎地で活躍しています。

1. 順天堂大学医学部附属静岡病院(伊豆の国市): 静岡県東部を担当し、2004年4月から運航を開始。2023年度には、総計986件の出動がありました[1][2][4].
年間約1000件の出動なので、1日約3件の出動があるそうです。

2. 聖隷三方原病院(浜松市中央区): 静岡県西部を担当し、2001年10月から正式に運航を開始。2022年度には274件の出動があり、主に救急現場への出動が多くを占めています[3][2][4].

ドクターヘリに乗るお子さんたちの様子。
順天堂大学医学部附属静岡病院のフライト・ドクターやフライト・ナースのほか、
ドクターヘリの整備士さんなどが参加し、気軽にお話ししてくれました。

順天堂大学医学部附属静岡病院のドクターヘリの実際の運航と整備を担当するのは、セントラルヘリコプターサービス株式会社。こちらの整備士さんもいて、気さくにお話ししてくれました。

セントラルヘリコプターサービスでは、1981年の実験的運航を初めとし、日本初の本格運航開始(2001年4月)から現在に至るまでドクターヘリにおけるヘリコプター運航業務を受託している歴史ある会社でした。

セントラルヘリコプターサービスの整備士さんの制服 
ドクターヘリの内部。BK117型ヘリコプターは、後方観音扉が大きく開き、
活動しやすい人気の機体なのだとか。


厚生労働省の研究班による調査では、ドクターヘリを要請してから医師が治療を開始するまでの時間は平均14分で、救急車による搬送に比べ平均27分短縮されたとしています。ドクターヘリと救急車を比較した場合、ヘリの搬送により患者の死亡を39%、重傷・後遺症を13%減らす効果があると推計されています[5][6]。

すごいことです。


おわりに

三島消防署の救急の日イベントに参加し、静岡県ならではの医療事情も知り、ドクターヘリを身近に感じるようになりました。

多くの関係者の努力によってここまで発展してきた歴史を知り、感銘を受けるとともに、「医療は限りある資源」なので、楽しみながら日々の生活を見直し、健康に向き合い、未病に努めたいと改めて想うのでした。

これをきっかけに、地方創生と医療に関する取り組みには一体どんなものがあるのか、調べてみたいと思います!


情報源

[1] ドクターヘリ活動報告 - 順天堂大学医学部附属静岡病院 https://www.hosp-shizuoka.juntendo.ac.jp/department/lifesaving/activity-report/
[2] ドクターヘリ | 救命救急センター - 順天堂大学医学部附属静岡病院 https://www.hosp-shizuoka.juntendo.ac.jp/department/lifesaving/doctor-helicopter/
[3] ドクターヘリ | 高度救命救急センター | 聖隷三方原病院 https://www.seirei.or.jp/mikatahara/activity/emergency/doctor-helicopter/index.html
[4] [PDF] 第9次静岡県保健医療計画<改訂版>  https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/054/250/20240611_dai9jiiryokeikaku_zenkenban.pdf

[5]平成17年度厚生労働科学研究・分担研究「ドクターヘリの実態と評価に関する研究」 (分担研究者 益子邦洋)
[6] 厚生労働省.救急医療用ヘリコプターの導入促進に係る諸課題に関する検討会報告書(素案).https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0321-10b.pdf


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