Zeiss ZM (50mm/35mm)
どうもみわです。
レンズレンズ。今回は2本のレンズについて話します。
日本は長野県が誇るレンズメーカー「コシナ」が提供しているレンズ。Planar T* 50mm f2 ZM と、Biogon T* 35mm f2 ZMです。
Zeissというブランド
オヤオヤ?Zeissというと、ドイツの名門光学メーカーとちゃうんかい、というお話し。
そうなんです。Zeissの生まれは1846年のドイツに遡ります。
光学者のカール・フリードリヒ・ツァイスさんが作った会社がそうなんです。
ちなみに世界では先駆けて8時間労働(それまで14時間とか普通だったみたい)とか、年金制度取り入れたり、有給取り入れたり、はたまた近代的なプラネタリウムを初めて作ったりと、結構会社としてすごい。レンズだけやと思ってました。
ほんで戦争とかで東西分断し、西のカール・ツァイスと東のツァイス・イエナの2社に分かれてしまう、とかいうなかなか複雑な事情もあったりして、戦争終結後に色々なことを超えて合体。
その後はブランドを供与したり提携をしたりしながら、日本の京セラだとか、ヤシカ、ソニーなんかとかと繋がったりして、2005年からコシナがツァイスブランドのレンズを作ってソニーや富士フイルムとかに提供している…とのこと。(他の会社もあるみたい)
なのでCONTAXのカメラ、ツァイスレンズといっても会社がいろいろあって、全体像が思ったよりでかかったりします。すごい。
で、今回お話しするのが前述のコシナがつくる、Zeiss ZMシリーズのレンズってわけですね。
コシナのZeissレンズのラインナップ
さて、コシナはいろんな種類のZeissレンズを作ってくれています。ありがたし。
HPを見てみると、一眼レフ用として…
最高級、中判バリにデカくて重いOtus
Otusに次いでデカい、名前がイカしたMilvus
馴染みのある商品名の名前を冠すClassic
みんな大好きMマウント用 ZM
ソニー用は代理店をケンコートキナーさんが勤めていて、しかしmade in japanとのこと。どこが作ってるんだろう。やっぱりコシナ?詳しい人いたら教えて欲しいところです。
まあ脱線はこのくらいにして、本題に戻っていきますか。
ZMレンズ
Zeiss ZMレンズはその名の通りZeissがかつて手がけていたレンズの光学設計をコンセプトとしたレンズシリーズで、それぞれ設計に基づいた有名な名前がついてます。
今回のはPlanarとBiogon。
他にもDistagon、Sonnarが現在販売されています。
Zeiss Ikon ZM
元々はZeiss Ikon ZMという超かっこいいレンジファインダーフィルムカメラがコシナから販売されていました。
それに一番似合う、というか純正レンズ的に使用されるのが狙いで作られたレンズって感じでしょうか。同時発表らしいし。
Zeiss Ikonはそれはもうかっこいいカメラで、丸みのあるLeicaとは対照的とも言える水平垂直をビシッと決めた角ばったボディに、それと同色の控えめなZeissロゴが入っていてめちゃくちゃカッコいい…
巻き戻しクランクは底面に隠されていて、使用時にはそのソリッド感が際立つ見た目してます。フィルム上手すぎフォトグラファーのCitoさんも使っていたカメラ。欲しくなってきた…
35mmレンジファインダー機として最長の基線長を持つZeiss Ikonはピント精度は最高級。ついでにでかいアイピース、ファインダーも明るく覗きやすい!
おまけにAE搭載で楽々撮れちゃう。これが神器か。
まあ今では定価より高い20万くらいで取引されていて、M6選ぶかZeiss Ikonか、って感じでしょうか。まあ修理の融通がきくのはM6ってことになるでしょうが…
外観的特徴
Zeiss ZMのレンズは見ての通り、光学設計や焦点距離により細かな違いはあれど、全体としてデザインが統一されているのが印象的です。
カラーはブラックとシルバー。
操作部分は全て金属製で、数十年は余裕で耐えうる。という設計とのこと。
先端のフード用バヨネットは両カラーにおいてシルバーで統一されていて、これは好き嫌いが多少分かれそうな気がするポイントです。
個人的には「この状態であれば」カッコええやん。と思うんですが、フィルターをつけるとどうしてもこのクールさがスポイルされてしまうのは歯がゆいところ。
なんかね、黒つけると縞々になっちゃうし、シルバーつけても間延びして見えるというなかなか苦しい感じになってしまいます。
まあフードをつければ気にならんわけですが、でっかくなっちゃうからね。
とにかく全金属製の気持ちよさはなかなかのものですね。
Voigtlanderブランドの方だとプラスチック製になってしまうフォーカスノブに関しても金属でリングと一体化していてイケてます。もちろん触って不安になるところなんて一切ナシ。
コシナが謳うZeiss ZMの特徴はこんな感じ
-フルサイズをカバーする余裕のイメージサークル
-鮮明でヌケの良い画像をもたらす高度なフレアコントロール
-実用上ゼロに近く補正されたディストーション
-絞り値に関わらず最小限に抑えられた焦点移動
-正確な1/3EVステップの10枚羽根絞り
-非常に正確な距離計連動メカニズム(2.8/15ZMは目測式のため非連動)
-偏りのない色再現性のためのカラーマッチング
-美しい合焦範囲外の描写性能(ボケ味)
これらが標準搭載!って感じですね。
ディストーションに関しては本当に優秀で、全然歪みを感じません。すごいぞ。
とりあえず現行は28mm以下以外は最短撮影距離が0.7mなので、ミラーレスで寄りたい人はヘリコイドアダプターを買いましょう。
値段の話
さて、そんなイカしたZeiss ZMレンズ。実は値段もイケてる。
決して安いとは言いませんが、Mマウントレンズとしては比較的手に入れやすい感じで、多くが新品で10万円以下。コシナ大好き。
今回の2本は中古で6~8万円ってところでしょうか。
ちなみに一番古くて2005年発売のものもあって、当時購入されたものの中古とかになるとヘリコイドがカスいこともあるので、その辺は注意したほうがいいかもしれませんね。オールドレンズとはいえないレンズといえど、意外と抜けたりするものです。
Planar T* 50mm f2 ZM
やっと本題です。
まずはプラナー。ツァイスと聞いてプラナーやんって思う人も多分多いはず。
ヤシコンプラナーとか、ソニープラナーとか、マクロプラナーとか有名ですもんね。FマウントもClassicシリーズから出てて知り合いが使っています。
製品コピーは「naturally impressive」、印象的な自然さ、みたいな受け取り方でいいんでしょうか。多分あってるはず。
製品サイトにはこのように書いてて、ここでプラナーとは!と調べてみると「ダブルガウス型」の代表的なレンズで、初代は完全に前後が対象型である。対称な設計は像面湾曲や歪曲収差が抑えられ、平坦を意味するプラーン(独:Plan )が名称の由来である。とか書いてました。
このZMバージョンのプラナーはちょっとだけ後玉がコンパクトになってはいるものの、初代と近い光学設計で、まあ書いてる通りを体現してるというわけです。それによる均等な描写、とか現代のコーティングによる高画質が実現されているはず…
使った感じはまさにそうで、普通!綺麗!て感じです。これまでよく使うのが絞り抑えめ安定画質なELMAR-M 50mm f2.8 2ndとか、年代物の印象派な初代Summilux 50mm f1.4とか使っていたこともあって、「これが普通のレンズなんやで」というのを突きつけられる感じで、何も考えずに撮れて最高。だって普通なんだもん。
Planar作例
カメラはM10-P。
写真としては最近の引きこもりで活躍してくれたり…
その辺の道で撮ったり…
昨年の秋ごろ使ったりしていました。
C Sonnarの方が人気だよね多分
ZMの50mmというと、C Sonnar T* 50mm f1.5 ZMというのもあります。Planarよりもこちらの方が少し人気な印象。よりバックフォーカスが短い設計であることも相待って、「より明るいのに、よりコンパクト」という不思議現象が起きています。
こちらはPlanarと比べるとクセを楽しむレンズな感じの売り方。
頭についている「C」はコンパクトさと往年のコンタックスレンジファインダー用のクラシックレンズをZeiss Ikonにつけるように再設計したシリーズを意味する、ということで「人物のリアルな瞬間を捕らえる撮影に最適な特別なキャラクターをもつ」とか、情緒に訴えてきますw
聖書も載せとこう。
というわけでワイは普通がいいんや。普通が。という中庸を大切にする人に最適なのがPlanar T* 50mm f2 ZMってわけなのでしょう。素晴らしいですね。
Biogon T* 35mm f2 ZM
お次はビオゴン。名前が可愛いですね。あだ名みたいで。
対称光学で有名、という印象がすごいです。
製品コピーは「The all-round solution」35mm f2という普遍的かつ対応力の高い焦点距離でどこへでも…ってノリでしょうか。
なんだかPlanarとかと比べると英語版の直訳感を感じる説明文ですが、確かに明るく、高画質で、何より歪みがない。ってのを最大限に感じられるレンズです。
Biogonという設計が…ここでまたwikiをペチペチすると軽く出てきます。
というわけでやはり対称的な設計が特徴のレンズとされています。レンズ構成図を見ると美しいほどの形をなしていて、おお…となります。そしてバックフォーカスの短さ!撮像面ギリギリにまで飛び出した後玉が特徴的ですね。
レンジファインダーのオイルのついたコロでレンズを傷つけないように要注意です。マジで。
ちなみに、過去にJupiter-12というレンズを持っていました。ソ連によるBiogonレンズのコピー品で、もうまさに、って感じの逆出目金レンズ。あれは凄かった。
Biogon作例
こちらもカメラはM10-P。
まずはやはり草。
さて使ってみてどうか。基本的にやっぱり超綺麗。
ただ中央部の写りとは裏腹に、絞らないと周辺はふわっときてます。それもそのはず、そもそもバックフォーカス攻め気味な対称設計のレンズはデジタルの撮像素子には向かないのです。
本来フィルムカメラのZeiss Ikon ZMに作られたレンズのため、惜しんでも仕方ない部分ではあるんですが、周辺部分の像は斜めに入ってきてしまうため、基本的に正面向いて作られているセンサーのマイクロレンズと相性が悪いんですね。M10とかだと周辺のマイクロレンズをオフセットしてくれたり、カバーガラスを薄くしてみたりと足掻いているらしいんですが、それでも厳しめな雰囲気。
美味しさ全てを味わうならフィルムで、って感じなのかもしれません。
でも周辺が緩いのはそれはそれで僕的には良くて、自然と真ん中に目がいく感じだったり、映像でもなかなか楽しいんじゃないか、と思ったりもします。
(画面端っこに主題を置きたい場合には苦労するかも…?)
し、多分なんですけどF4〜とか絞ったら端っこまでめちゃくちゃ綺麗です。
うん。やっぱみてたら気にするほどでもない気がする。綺麗ですわ。
次に町で。
R-D1(APS-C)でも撮ってみる
オマケに載せときましょう。エプソンがかつて発売した世界初のデジタルレンジファインダーカメラR-D1はAPS-Cセンサーです。というわけでBiogonの緩めの周辺部分は切り捨てて真ん中に集中できますね、やったぜ。
見ての通り、キツそうだった周辺部分がクロップされるので、雰囲気変わって見えますね。というだけの写真でした。でもどれも結構気に入ってるぜ。
おわり
というわけZeiss ZMレンズの2本のお話でした。
モチベーションになるコメントを投稿してくれた青山さんに感謝。
かっこいいレンズです。それは間違いなく。全金属製の感触は素晴らしいものがありますし、何より全ての焦点距離でデザインが一貫しているのが気持ちいい。
すでに廃盤にはなっているのでプレミア価格っぽいものもありますが、15mmから85mmまでこのクールな感じで統一されています。かっけえ。公式は色の統一性も謳ってますから、iシリーズの如く揃えると楽しいタイプかもしれませんね。
いや〜並べて絵になるレンズです。かっけえな。
というわけで今回はここまで。最後までありがとうございました。
それではまた。
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