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この音が待っていてくれるから~神奈川フィルハーモニー管弦楽団フューチャー・コンサート川崎公演~

【公演概要】

◆コンサートタイトル
 神奈川フィルハーモニー管弦楽団主催公演 
 フューチャー・コンサート川崎公演
◆公演日時
 2023年3月21日(火・祝)13:15開場 14:00開演
◆会場
 ミューザ川崎シンフォニーホール
◆出演
 指揮:田中祐子
 ピアノ:角野隼斗
 ヴァイオリン:石田泰尚
 管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

【プログラム】

◆ボロディン/歌劇「イーゴリ公」よりだったん人の踊り
◆ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
 (休憩)
◆チャイコフスキー/アンダンテ・カンタービレ
◆カプースチン/ヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲Op.105(※日本初演)

◆ソリストアンコール(石田泰尚・角野隼斗)
ガーシュウィン(ハイフェッツ編)/ 3つの前奏曲より第1曲
ロシア民謡(山下康介編)/ 黒い瞳

◆ソリストアンコール(角野隼斗)
カプースチン / 8つの演奏会用練習曲Op.40 第3番トッカティーナ

※コンサートの発表時点ではカプースチンは日本初演でしたが、その後本公演より先に演奏されたコンサートがあり、日本初演ではなくなりました

【はじめに】

今回は誰かに見せるテイではなく、自分の覚書としてまとめます(いつもそうと言えばそう笑)

かてぃんさんが大好きなカプースチンのコンチェルトを、わたしが大好きな石田組長と共に、大好きなミューザ川崎で弾く。この機会を逃すわけにはいかないと、最速でチケットを購入して、予習もして(それでも曲が身につかなかったけど雰囲気はわかった)伺いました。

開演時刻は午後2時でしたが、早く行かないと不安(途中で体調不良になったり交通機関が乱れたりするのが気になる質です)なので、この日も11時50分ごろに現地着。早く着くと落ち着いて写真を撮れるのもうれしい。

JR川崎駅コンコースにて。ミューザ川崎へデッキで直結

カフェで軽食を取って、1時ごろから入口付近で入場を待ちました。

音楽のまちかわさき

1時15分開場。
入口横で手回しオルガンがお出迎え。気持ちが高まります。

お出迎えしてくれた手回しオルガン。ホールの方かオケの方かは不明

ミューザ川崎は数年前に来たことがあったけど、今日もいいホール(当たり前笑)。
自席(Cブロック6列目、1列目は客なしだったので実質5列目)からの眺めも良好。調律師の方の調律の音色の響きさえ違って聴こえる、ほんとに音がいいホールだとこの時点ですでに再認識しました。

自席から見るとこんな感じ(開演前)

【コンサートのはじまり】

◆韃靼人の踊り

田中祐子マエストロがたっぷりめの黒の衣装で颯爽と登場。
この曲、中央アジアの茫漠とした景色が広がるようなAメロ(っていうのかな)のイメージでいたら、とんでもなく激しい曲であることを知った。知ってる曲のはずだったのに苦笑。
マエストロの指揮は舞うように軽やかに、それでいて明瞭。激しい曲調のところはこのまま飛んでいくのじゃないかと思うくらいピシッと四方に向けられる指示。魔法使いのようでかっこいい。会場にいたお子さん方の10人に9人は目が釘付けになって指揮者になりたいと思ったに違いない。
神奈川フィルの音色は木管、特にフルートソロが素敵。弦もあたたかさと強さを感じた。ホールを上手に響かせてる。

◆火の鳥

こちらも知っていて知らない曲。事前に予習でSpotifyの演奏を聴いていったのだけど、Spotifyの音は派手目で力強い印象だったのが、この日の神奈川フィルの演奏は場面展開があざやかで各楽器の音が際立っていて、ストーリー展開を楽しむことができました。マエストロの指揮も、鮮やかで力強さも優しさも通っていてうっとりでした。

休憩をはさんで後半

◆アンダンテ・カンタービレ

自分の席からはよく見えなかったけど総勢20名くらいの編成だと思われた。
大好きな曲、チャイコフスキーがウクライナの民謡に想を得たという。あたたかく包むような優しく繊細な音色がホールを包んで、じんわりと自分の心が落ち着いてくるのを感じた。

◆ヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲Op.105

かていんさんは黒一色の衣装で登場。すっきり颯爽としていてとてもよく似合う。すこしカジュアル味のある黒い靴もおしゃれ。

一足先に小針さんがiPadの楽譜を持ってきて、グランドピアノの中に置いた。ちょっと珍しいなと思ったけれど、あとで石田組長とは前日が初顔合わせだったとの話があり、また2つの楽器がソロを取る珍しい曲なので、楽譜も必要だったろうなと思った。

石田組長がかてぃんさんの真後ろに立っていて、アイコンタクトが取れない位置だと思われた。合わせるのが難しそうに感じた。ふたりのやりとりは、マエストロが仲立ちして行われているようだった。正直最初のうちはふたりのキャッチボールが心配だったけど、だんだんかてぃんさんの背中の眼が大きく開かれて息が合い、スリリングで熱量と躍動感がみなぎる演奏になって、それはもう楽しいものだった。

2楽章はふたりの音がもつれあい、からみあり、とけあう、1950年代のラブロマンス映画みたいな色と艶を感じた。とくに組長の音が色っぽくてすごい。それに応えるかてぃんさんの音もすごい。

3楽章は世界の音楽が集まったミュージカルみたい。ふたりの、オケの、マエストロの、ノリがすごい。ラグタイムのところはヒューヒュー手拍子足拍子もしたくなって最高。かてぃんさんはこの3楽章みたいな縦にリズムを刻みながらどんどん色が変わっていくグルービーな曲がとっても似合う。まさに真骨頂。指パッチンもどんどん入れてる感じ。わたしはうれしくて楽しくてドキドキが止まらなくて、それは聴衆みんながそうだと会場の空気から伝わってきた。ううん、演奏者も関係者もミューザにいた人たちみんなが感じていたはず。

世界中の春を全部ミューザに集めたようなフィナーレの華々しさ、素晴らしかったです!

曲が終わるや否や、満場の拍手と(マスク越しに)「ブラボー!」「わー!」「ヒュー!」といった掛け声がそこかしこから聞こえて、コンサートの日常が戻りつつあるなあとうれしく思いました。

オケのみなさんも笑顔と拍手で讃えてる。

マエストロと石田組長とかてぃんさんが「あなたこそ素晴らしかった」「あなたこそ」「あなたこそ」と拍手を受けるのを譲り合っているのが微笑ましかった。

そうこうしているうちに、マエストロがオケを引き連れて退場。
残された組長とかてぃんさんによる、素敵なコンサート「夢の競演」がはじまります。

【夢の競演】

MC①

ふたりがマイクを取り出したので、おおお!と思いました(MCも!うれしい!)
ここで細い記憶を手繰り寄せてMCの概略を。

組長:え~と、すみのちゃんでいいのかな?
(場内笑い)
かてぃん;大丈夫です笑
組長:これは「夢の競演」ということで
かてぃん:そうですね(笑顔)
かてぃん:僕は石田組長の本を読んで、とても優しい方だと伝わってきたのですが、昨日はじめてのリハーサルの時に会場を間違えて30分遅刻してしまって、しばかれるんじゃないかと思いました
組長:いやいやいや笑
もう少しあったと思うのですが思い出せず申し訳ないです。

アンコール①:この時点でガーシュウィンまでしかわからず

跳ねるような、笑うような、おふたりの音色とリズム。聴いてて楽しくてしかたない。しかしガーシュウィンの曲だとまではわかったのに曲タイトルが思い出せないもどかしさ。斜め後ろにフォロワーさん(複数)の姿を発見したので、終わったら訊いてみよう。

MC②

組長:すみのちゃんはこういう伴奏をすることはあるの?
かてぃん:あまりないですね
組長:ここにいる9割8分5厘のすみのちゃんファンにアンコールで伴奏するすみのちゃんをお見せするのは申し訳ない
 
へ?!ってわたしは驚きました。
伴奏・アンサンブル・セッション・コラボ・協奏曲その他誰かと合わせることが大好きなかてぃんさん。普段のコンサートではソロか協奏曲しか見られないけれど、そんなかてぃんさんが伴奏を、しかも組長の伴奏をするのが見られるなんて、こんな貴重で贅沢な機会はほかにはないと自分は感じたし、ここにいるかてぃんさんファンの少なくとも9割8分5厘は同じように感じてたはず。だからこの日この機会のなんとうれしかったことか!
 
組長:こんな機会はめったにないと思うので、もう1曲いいですか?
(場内大拍手と歓声)

アンコール②:この時点でロシア民謡っぽいとしかわからず

うわああこれ来た~!好きな曲~!でもタイトルわからん~!(フィギュアとかでよく聴くけど・・)これもフォロワーさんに訊こう。
音が分厚くて、優しさがあって、組長のお人柄みたい。合わせるかてぃんさんも楽しくてしかたがないのが伝わってくる。のりのりの背中と手。
 
※結局アンコール1曲目と2曲目の曲名、フォロワーさんに教わる前に神奈川フィルの公式Twitterからお知らせが出てわかりました。

こちらがそのツイートです

何度かのカーテンコールののち、組長がご自身の譜面台をぱさっと倒して楽譜がぽてっとステージに散って。なんだろうと思ったら、楽譜を拾ってすっとステージから降りて最前列(中央ブロック最前列は全部空席にされていた)センターに陣取り、かてぃんさんをピアノに仕向ける。伴奏のフリはこのためだったのねと合点がいきました(ここでもなにかMCがあったかもだけど思い出せません)。 

アンコール③:カプースチン/トッカティーナ

なんてキレッキレなトッカティーナ。かてぃんさんのYouTube動画のトッカティーナもかなりスピーディーだけど、これをさらに上回ってる。キュイーン、キュイーンって聴こえそう。疾走感とグルーヴがすごい。それだけでなく、華があって色があってかっこよくて。コカコーラみたくスキっとさわやかに。指パッチンもホールに響きわたる。春!春!春!って感じました。

終演後に撮影。普通のピアノ協奏曲に比べてピアノの位置がかなり上手寄りです

【おわりに】

田中マエストロ、神奈川フィルのみなさん、石田組長、かてぃんさん、コンサート関係者のみなさん、一緒に集まった聴衆のみなさん、すばらしい時間をありがとうございました!
 
カプースチンも、他の演目も、アンコールも素晴らしかったです。
日本の音楽シーンって(J-POPとかだけじゃなく)すごいですね!
日本中の、世界中の人に届けたい音だと思いました。
なのでぜひ再演してください!
組長とかてぃんさんは全国ツアー(なんなら世界ツアー)してください!
組長の変幻自在の音色を、かてぃんさんのきらめきと愛に満ちた演奏(伴奏も)を待っている人はたくさんいますから!
 
この音があるから、この音が待っていてくれるから、わたしは次の機会を目指して、がんばって生きていけます。
この音が止むことなく、ずっとずっと平和としあわせが届けられる世界でありますように!



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