雨で中止!だが決行!~第1回湘南を歩く人~
昨日17日(土)に、湘南の散歩屋さん企画「第1回湘南を歩く人」を、
雨のため中止いたしました。
だが、決行する!
ということで、会自体は中止(遠方から来られる方が超気軽な気持ちでキャンセルできるように)でしたが、
「雨? そんなの降ってるくらいがちょうど良い(漢)」
という有志のメンバー2名と一緒に、1回目の「湘南を歩く人」を開催して来ました。
朝9時半の鎌倉駅は小降りで、歩けないほどではありませんでした。
お二人とも、僕が時々遊びに行っている「道草の家の文章教室」でよく知っているメンバーでしたので、当初予定していたガイダンスもあるような無いような感じで、なんとなく歩き出していました。
鎌倉駅から、由比ガ浜、成就院、極楽寺と、ほぼ江ノ電に沿うようにして歩きます。
途中、気になる記念碑?やら石碑やらを見つけたらなんとなく寄り道。ほろほろと取り留めの無い会話をしながら、ぽつぽつと傘に雨の当たる音や、ジャッジャッと雨に濡れた地面を踏む足音が聞こえます。
由比ガ浜には、僕たちの他にも「歩く人」や「犬と一緒に歩く人」たちが散歩していました。
ただ歩くために歩いていると、そんな歩いている仲間たちがふと目に留まります。
「あ、あの人も歩いてるね!」
「歩いている人けっこういるな~!」
なんて言い合いながら、僕たちも歩きます。
これは、どうしてでしょうね? ただ歩いているだけなのに、歩いているもの同士、不思議と同族意識が芽生えてくる。
普段通勤時や買い物時に、駅やスーパーまで歩いているサラリーマンやら主婦やらを見て「みんな歩いてるねー!」なんて思ったりしないと思います。ただ歩くために歩くと、僕たちはみんな「歩いている」ということに、不思議と連帯感を覚えることがあります。
普段気がつかない、当たり前のことにふと気がつく。歩くことが僕たちにもたらしてくれる気づきは、この当たり前のことの驚きだったりします。
稲村ガ崎駅を越えて海岸線に出たところで、参加者のNさんが
「この辺の海岸は砂浜じゃないんだね!」と驚かれていました。
「そうなんですよ、この辺は岩浜?になっているので、ここはさすがに下りて歩けませんね」
「これは歩かないとわからないね!」
車や電車で通るだけでは見えてこない景色があります。僕たちが普段の生活の中で取りこぼしている、いつもそこにあったモノたち。
湘南の海も全て砂浜ではなく、稲村ガ崎のあたりは岩や崖が連なっています。芥川賞作家、保坂一志さんの『季節の記憶』に出てくる、稲村ガ崎の公園のある崖(ここが稲村ガ崎の地名の由来の”稲村ガ崎”)が見えます。僕もこの小説が好きだったことを思い出しました。そういえばまだ稲村ガ崎公園は行ったことが無かったですね。今度散歩してみることにしましょう。
七里が浜からは海岸線に再び下りて、柔らかい砂浜の道を歩きます。
海岸線の道は空が開けていて、波の音が心地よい道なのですが、実際に砂浜を歩くのは意外と体力を使います。しかし足元は柔らかいので、足への負担はアスファルトの硬い道よりも小さいのかもしれません。
参加者のMさんは普段はかかとの付近に痛みを感じることが多いらしいのですが、
「砂浜はかかとの古傷がほとんど痛みを感じなかったです。砂浜は足に優しいのかもしれませんね」と言っていました。
「柔らかい砂がクッションになるんですかね? 負担を分散させて・・・」と僕。
「そうですね、砂浜は歩きづらいかと思ってましたけど、僕はこっちの方が楽ですね」とMさん。
「でも砂浜ってけっこう足にくるね! 思ったより疲れてる!」とNさん。
思えば僕たちの祖先はずっと長いこと土の上を歩いていたのですから、固い道用に身体が出来ていないのかもしれない。当たり前のように生活していて、自分たちでも気づかないままに、身体に多大な負担をかけていることもあるのかもしれません。これは歩くことだけでなく、現代生活のあらゆる面であるのだと思います。
この日の波は穏やかでしたが、海にはパラパラとサーファーがいて、時々良い波に乗って気持ち良さそうに滑っていました。サーファーも雨でも関係のない種族です。
「サーファって雨でも関係ないんだなー!」なんて話しながら、しかしサーファーから見れば、「雨でも関係のない変わった人たち」は、傘をさして海岸線を歩いている僕たち3人のほうだったかもしれません。
鎌倉高校前の海岸線からは、なぜか小さなウニの死骸が大量に流れ着いていました。
「意外と硬いね! 見た目で柔らかいかと思った」
「あ、ほんとだ! 踏んだらバキバキって音が」
「なんでここにだけ流れてついてるんだろう? あっちにはなかったのに」
「なんででしょうね? 潮の流れ?」
「なんでかなー?」
鎌倉高校前を越えて、腰越を過ぎると、江ノ島はもう目の前です。
ゆっくりと2時間半くらい歩いて約10kmの道のりですが、普段から移動に関するお仕事をされているお二人は若干物足りない様子。ということで、想定のゴールを超えて江ノ島の湘南港灯台までご案内しました。
雨の影響か、江ノ島は観光客も少なかったようですね。
ランチは江ノ島駅近くのお店で「天丼ビールセット」なるオトナ用のセットメニューをのんびり楽しみました。
今回は初回でしたが、雨で中止という残念な結果になりました。
しかし、雨だからこその道のりもあり、今回参加されたお二人も雨の散歩道を楽しんでいただけたようでした。
歩くことに決まりはなく、答えもない。
それぞれが、それぞれの思いを持ち(あるいは持たず)、自分自身を見つめ、見つけていく。
歩くことは、自分自身を知ることのきっかけになると思っています。
湘南の散歩屋さんでは、参加者の皆さまに、歩く人への問いかけとして事前に自分自身の内側への問いかけをしてもらい、それを持って(持たなくても良い)参加していただきます。
そして、歩いた後に、再び同じような問いかけをしてみる。すると自分の中で曖昧だった何かが、ぼんやりと形を取り始めることに気がつきます。
Mさんは”自分自身のケア”ということに思い至ったそうです。
砂浜の柔らかい地面を歩くことで、普段は聞こえない自分のかかとが心地よく感じる声を聞いたのだと思います。
静かに歩く中で、自分の声に意識的になること。身体の痛みは、とても大切な自分の声のひとつです。
歩くために歩くことを通して、これからの生活が少しでも良い方向に変化していってくれたら、僕にとってそれ以上の喜びはありません。
さて、次回は31日(土)に、今度は砂浜を裸足で歩きます!
難しいことは一つもありませんので、少しでも気になるという方は、どうぞお気軽にご参加ください!
湘南の散歩屋さんがご案内いたします!
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