見聞きした世界を、歩いた世界に変えていく~第7回湘南を歩く人~
よく晴れた25日の金曜日、「三浦半島を歩く人」を開催しました。
約20キロの道のりを、4時間半歩き通しました。
これは普段の鎌倉~江ノ島ルートの2倍の距離です。
健脚な参加者Nさんのリクエストで、京浜急行三崎口から南へ。
都心からわずか1時間の場所にある、静かな暮らしが広がる風景の中を、ふたりでゆっくりと歩きました。
三浦半島の西側。小網代の森という、原生の木々に囲まれた谷あいの湿地は、野生の植物、カニ、ウズラなどを見ることができます。
車の音も聞こえなくなり、風が枯れたススキを揺らす音や、鳥のさえずりが谷間に響いて微かに反響して、静かな風が吹いています。
森に囲まれた入り江には海水が流れ込んでいて、冬の太陽が反射してキラキラと輝いています。最高に素敵な散歩道です。登山が好きだと言った友人の顔を思い浮かべながら、いつか連れてきてあげたいと思っていました。
小網代の森を西側に抜けました。
眼前の広大な農地に、三浦大根やキャベツの畑が続いています。
見渡す限りの緑と、遠くに見える相模湾の青が本当に美しく、そんな中を、僕たちは、ただ歩くために、歩く。
畑では地元農家の方々が苗を植えたり、水をやったり。そんなところをただ歩いている僕たちを少し不思議そうに眺めながら、でもどこか関心も無さそうに普段どおりの生活を営んでいます。
この土地のどこかに小さな畑でも借りて、自給自足の生活をしながらゆっくりと暮らすことが出来たら、それはどんな生活になるだろうか。
この慌ただしく高速で走り回る世界の中で、どうすれば自分のペースで歩いて生きていけるのかを、僕は歩きながら模索していました。
走り疲れた人たちを迎え入れ、その人本来の歩く速度に戻してあげて、安心して落ち着いて生きることが出来るように、人間らしく自分らしい生き方に還してあげる。
僕は将来、そんな小さなコミュニティーを作りたいと思っています。
それぞれが必要最低限な生活費だけは自分たちで稼ぎながら、モノや食料、作った野菜を分け合い、与え合い、時に語り合ったり、助け合ったり、輪になって歌ったり。
お金を稼ぐことが必要ならば、僕が稼ぎ方を見つけて教えてあげられるようにもなりたいし、小さなコミュニティー同士の横のつながりの中で、仕事をシェアできるような仕組みも作っていきたい。
それはこれまでの村社会のようなものではなく、インターネットを介した繋がりを許容する、もっとずっと緩いつながりです。
そんな小さなコミュニティーがいくつも出来て、誰もが自分の好きな複数のコミュニティーに所属して、ゆるっと気ままに行き来しながら、それぞれの場所で自分に出来ることを与えあって生きていく。
お金や時間に縛られ、あくせくと競争し続け無ければ生きられないと、半ば脅されているような状態になっている現実に対して、そうした新しい社会の形が、僕たちの生き方を変えていく未来の姿を、僕は思い描いています。
いまの世の中だけが全てではなく、いまの社会のシステムが全てではない。
僕たちは、今の現実とは別の、もう一つの現実で生きることが出来るし、きっと複数の現実で生きることができるはずです。
いまの社会の現実の中から、別の現実の隙間を見つけて入り込み、新しい空間を築いていく。
様々な別の現実の入り口の中で、僕は歩く速度でなければ見つけられない入り口を見つけようとしているのだと思います。
三浦半島を更に南へ、城ヶ島を目指して歩き続けました。
僕たちは城ヶ島を勝手に江ノ島ほどの島と思い込んでしました。
地図や写真で見たことはあるだろうし、名前は何度も聞いたこともある島ですが、実際に行ってみるとその大きさに驚きました。
江ノ島どころか、城ヶ島へ渡る橋のこの大きさ。
「城ヶ島を舐めてたね!」
なんて二人で言い合いながら、三崎港をぐるりと回って橋の入口を探しました。港から神社の横を抜ける階段を登って、高い丘の上へ。
城ヶ島大橋は、高さ20メートル以上あり、手すりの低い所で下の海面を見下ろすと、お腹の下の部分がすうっとします。
世界は歩いてみないとわからない。
テレビやネットで見たり、誰かから聞いたりして想像していた世界とは、全く別の形の世界が、実際には広がっています。
僕たちはその世界を自分の足で歩くことで、初めてその世界とのつながりを持つことが出来る。世界の存在を、その大きさを、知ることができる。
それは、時には想像以上かもしれないし、時には「こんなものか・・・」とがっかりしてしまうようなものかもしれない。
でも、僕たちのそんな期待や想像とは全く関係のないところで、何十億年以上も昔から、世界はただそこに存在し続けている。
そして、世界がただそこに存在し続けているように、僕たちは人類となった瞬間から、ただ、歩き続けている。
金銭的な価値や意味ばかり追い求めてしまう価値観の中で、ただ意味もなく「そうある」としか言えないものを受け入れていくと、実は僕たちの世界のほとんどは、ただ「そうある」ものでしかない、ということが感じられるようになるかもしれません。
城ヶ島の公園で少し遅い昼食。
Nさんは朝早起きして、土鍋で炊いたお米で塩にぎりを作っていました。
これがとても美味しそうで、羨ましくなって眺めていたら、その隙に僕が持っていたコンビニのシーチキンおにぎりは、トンビに攫われてしまいました。
さて、今年2020年の「湘南を歩く人」は、これで最後となります。
10月からなりゆきで突然始めたイベントでしたが、気づけば年内に7回も開催させていただき、毎回必ず参加者の方がいて下さるという、当初は全く考えていなかったことが起きて、自分が一番驚いています。
みなさんがそれぞれ、自分自身の悩みや問いに向き合い、何かを感じ取ろうという姿勢で参加していただけるのがとてもうれしく、僕も出来る限りのことを伝えられるように、そして僕が何も伝えなくても、みなさんが自然と歩くことから恩恵を受けられるように、歩くことの素晴らしさをシェアしていけたら最高です。
来年は土日固定の一般参加の歩く会とは別に、プライベートというか、貸し切りで日時指定可能な場所もカスタムできる歩く会をつくることも予定しています。
また詳細が決まったら、どこかで告知しますね。あるいは参加者の方にそっとお伝えします。
ちなみに2021年1月、土日の一般開催は、
11日(月・祝)、24日(日)、31日(日)を予定しています。
開催場所はまだ未定ですが、日程的に参加できるから、ここを歩いてほしいというリクエストがもしありましたら、お受けできますのでお気軽にどうぞ!
来年は「湘南を歩く人」に参加してくれた歩く人を集めて、僕の近所の海辺でバーベキューとかもしたいと思ってます!
それでは、来年も頑張って気軽に行きましょう!
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