Typical and atypical development of reaching and postural control in infancy
Mijna Hadders-Algra
Developmental Medicine & Child Neurology 2013, 55(Suppl. 4): 5-8
【要旨】
リーチングが成功するためには能動的な調節,またはサポートによる姿勢コントロールが必要である.ここでは乳児期における定型的・非定型的なリーチングと姿勢コントロールの発達に関する文献をレビューする.
定型発達においてリーチングは4カ月前後で把握に至る.初めのうちリーチングは多くの軌道修正を含む幅広いバリエーションによって特徴づけられる.最初の1年間でその運動は段々と直線的でスムーズになっていく.ローリスクの早期産児においては,リーチングの発達は先行的に発達する特徴があるものの,乳児期後半において微細な機能障害が現れうる.ハイリスクの早期産児においては,リーチングの発達は遅滞と最適ではないリーチング遂行により特徴づけられる.
姿勢調節の定型発達はバリエーションと,多様なレパートリーを状況の特異性に調節する能力の増加により特徴づけられる.後者は乳児期後半において予期的なメカニズム(anticipatory mechanisms)の役割が増えることで促通される.非定型発達の乳児はレパートリーの減少が見られ,しばしば姿勢調節の適応に困難さが見られうる.乳児においては多くのリーチング運動は座位で行われる.非定型発達の乳児において,座位姿勢の難しさはとりわけリーチングの発達を妨げうる.この示唆に関する臨床的な関係が論じられる.
【私見】
コンパクトにまとめられていて,子どもの姿勢コントロールを学ぶときに最初の入り口としてとても役に立つレビューでした.リーチに限らず子ども生活行為を考えるうえでは姿勢コントロール,とくに予期的なコントロールを理解し,その発達を促すことが重要ですね.
ちなみに,著者が提案する座位でリーチが難しい乳児への介入に必要な構成要素は以下の3つです.
①入浴,着替え,そして遊びなど日々の活動でバランス練習をする.
②乳児が容易におもちゃへのリーチと把握を楽しめる状況を用意する.つまり背臥位やサポートのある座位,例えば親の膝のうえや体幹をサポートするクッションのついた椅子を使う.
③ちゃんと能動的に姿勢をコントロールする座位の状況で乳児のリーチングをチャレンジさせる.
言い換えれば,非定型発達の乳児がいる親は様々な方法で乳児の発達が促進されうることを知らされるべきということですね.