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人の足、長距離走に最適

2010年5月8日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 エベレスト街道は延々と山や谷間を縫うように作られている。そこは足を持ったモノのみに許された道であり、人のほかに馬、ヤク(高所に適した牛)、ゾッキョ(ヤクと牛の交配種)が往来する。これらの動物の歩き方を比べるとそれぞれはどのように山道に適応してきたかがわかる。
 例えば馬は平地や平原を速く走るのは得意だが、彼らの蹄(ひづめ)は1つなので、不規則な石がごろごろしていたり、不安定な斜面を越えるとき、足元が安定しないのがわかる。それに比べヤクの蹄は2つに分かれている。これらが独立したサスペンションのように動いて荒れた地形をサポートする。
 それでは人の足はどうだろう。人には足首から下に26個の骨と33個の関節がある。その複雑さはヤクの2つに分かれた蹄どころではないのだ。
 荷物を運んでいるポーターの足を見ると、どんな道でも足や足首が柔らかく対応してヒザに地形の影響を与えないようにできている。時にはその足を武器にヤク以上の思い荷物を運ぶことができる。

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