見出し画像

成果上げた「文武両道」

2009年6月13日日経新聞夕刊に掲載されたものです。 

 先週、米国ユタ州のソルトレイクシティーと成田を結ぶ直行便が就航した。ソルトレイクシティーは三浦家にとって第二の故郷とも言うべき場所。僕は十数年暮らした。姉、兄もここで学生生活を送り、家もまだ残っている。身近になったのはうれしい限りだ。

 僕たちの留学の目的はスキーだった。冬季五輪も開催されたソルトレーク周辺は世界に名だたるスキー場の宝庫で、選手を育成するアカデミーも充実している。兄と僕は「ローマーク・スキーアカデミー」に通った。1年後輩には長野五輪女子アルペンで金メダルに輝いたピカボ・ラーソンがいた。僕を含め多くの五輪選手が巣立っている。
 アカデミーを創設したスウェーデン出身のオーリー・ラーソンは1979年に「ワールドカップスキーテクニック」という本を執筆している。当時の一流選手たちの連続写真を科学的に分析した名著で、世界中のスキーヤーに愛読された。彼のトレードマークは姿が見えないほど遠くからでも聞こえる豪快な笑い声。ユニークで進取の気性に富み、現在主流になっているカービングスキーのコンセプトを25年も前に考案していた。80年代には、当時なじみの薄かったメンタルトレーニングを取り入れた。米国では70年代から多くの「スポーツアカデミー」ができた。スキーのほか、テニス、ゴルフ、水泳といった分野で、科学的なアプローチにより若い才能にエリート教育を施すためである。

ここから先は

343字
毎週火・木・土曜日に更新してきます。月に3本以上見ていただく方は、月額マガジンがお得です。初回の月は無料となっておリますので、ぜひ三浦豪太の世界観を1つでも多くご覧ください。

ゴンちゃんの探検学校

¥300 / 月 初月無料

わずか11歳でキリマンジャロを登頂。フリースタイルスキー、モーグル競技では10年間にわたり全日本タイトル獲得や国際大会で活躍。引退後は冬季…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?