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本当の登山マナーとは

2008年5月17日の日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 先日、平均斜度45度以上ある氷の壁を登っていたのだが、上から雪の塊や石が落ちてきて危ないので、途中でキャンプに引き返すことにした。だが落ちてきたのは雪や石だけではなかった。

 突然「ギャー」という悲鳴とともに長身の外国人が転げ落ちてくるではないか。ロープに命綱をつけていたので途中で止まったが思わず身構えてしまった。

 今年のエベレストは自然が引き起こす事故以上に、人間が原因となる〝人災″が多いのではないかと心配している。

 チベット自治区騒乱の影響で、例年なら中国側とネパール側に別れる登山隊が、今年はネパール側に集中している。加えて中国が五輪の聖火登山隊の登頂まで登山を規制した。それが解除された途端、ベースキャンプで待っていた300人の登山者と500人のシェルパ(ヒマラヤの現地登山ガイド)が一斉に登り始めたから、エベレストは史上まれに見る〝渋滞″となっている。

 登山者が多いと、落下物が増えて危なくなるものだが、今年のより大きな問題は、素人の登山者が多いということだ。

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