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緊張を味方にする

2010年2月6日日経新聞夕刊に掲載されたものを修正加筆したものです。

 緊張のあまり失敗してしまったリレハンメル五輪の4年後、僕は再び長野五輪のスタートエリアにいた。
 あと5人でスタートという時に、僕は気合を入れるために自分の両ほほを両手で思いっきりはたいた。その時、誤って鼻までたたいてしまったために鼻血が出た。あわてて近くのサービスマンにティッシュをもたった。両鼻穴にティッシュを詰めて、自分の顔の状態を確かめるべく、手鏡を借りて見る。するとそこには何とも間抜けな顔が映っているではないか。
 思わず吹き出すと、その鼻に差し込んでいたティッシュが飛び出して、サービスマンの胸にひっついた。思わず僕自身も含め周りも大笑いしてしまった。そのリラックスした心理状態で試合に臨んだせいか、予選を勝ち抜くことができた。

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