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長寿実現へ挑戦続く

2009年4月11日日経新聞夕刊に掲載されたものに修正加筆したものです。

 僕は現在、順天堂大学医学部の博士課程で加齢制御学(アンチエイジング)を研究している。最近のこの分野の進歩は目覚しい。

 先月、北海道キロロリゾートで行われた「サッポロ・アンチエイジング・クラブ」において最新の研究内容と臨床報告がされた。これまでは、単純に健康寿命を伸ばすといった内容が多かったが、今後は最新の科学を取り入れ、より臨床的にこれまでの理論を疾患の予防や治療の応用に用いていく方向を示唆した。
 今回の発表で中心となったテーマは「カロリー制限による長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)発現」だった。酵母や線虫といった原始的な生物から哺乳類まで、カロリー制限によって、共通のSIR2遺伝子(サーチュイン遺伝子の一つ)と言う長寿遺伝子が発現すると以前このコラムでも紹介した。
 しかし、これを人間に応用するとなると話は簡単ではない。カロリー制限は骨粗しょうや低体温を引き起こす恐れがある。他人と一緒に食事を取る機会が減れば、社交性も低下しかねない。

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