30年ぶりの再会
本日は2020年5月10日です。7年前のこの日、僕たちはプモリのキャンプ1(C1)からベースキャンプ(BC)まで降りてきました。その間に、ラインホルト・メスナーと父親が再会しました。ラインホルト・メスナーは、1978年にエベレストに無酸素登頂しました。まさに『鉄人メスナ』ーと呼ばれていたのは、この方ですね。うちの父親とは友人同士で、30年ぶりの再会だったそうです。二人の、超人同士の再会、ハグを見て、すごいなと、すごい友情だなと思いました。
皆さんも長いコロナ生活、友人とも会えず、なかなか難しい生活が続いていると思いますが、これが明けたらまた皆で出会えることを、分かち合いましょう!頑張って。
本日のMIURA流クライムビクス
三浦豪太が考案する『MIURA流クライムビクス』を動画で詳しく紹介しております。以下の種目をクリックしてみてください!一緒に頑張りましょう!!
【準備体操】
登山体操 ・・・リズムよく、楽しくトレーニングしましょう
【メイン運動①】
①ウォーキング・・・2.4km
②階段のぼり・・・27階分、もしくは踏み台昇降・・445回分
③スロージョギング・・・15分間(5分間×3セット)
※①、②、③より1種目を選択してください
【メイン運動②】
フロントランジ(歩幅2.5歩)・・・25回×3セット
【補助運動】
ヒップアップ・・・15〜25回×3セット
三浦豪太の遠征日記 −2013年5月10日−
プモリC1のバケーションも今日で終わり。朝早くからベースキャンプよりキッチンボーイ達が登ってきて、僕達の荷物をたたんでくれた。エベレストを見ると無風快晴。今日こそは登頂のチャンスだろう。望遠鏡を借りてみると、南峰に5~6人の人影が。そこを過ぎるとヒラリーステップ、そしてその先には山頂がある。
倉岡さんの持っているトランシーバーから現在のルート工作の状況がラッセルブライス隊から入ってくる。倉岡さんはいつもラッセルブライス隊の周波数に合わせているのだ。そのやりとりを聴くと、南峰まで来たがロープが足りない…ロープ待ちだそうだ。そうこうしていると、「風が強くなってきた」とシェルパの通信。プモリC1はいまだに風がないが、南峰では風が強いのだろう。8000mの標高で風が強くてロープ待ちは想像を絶するほど辛いはずだ。そんな様子が耳にはいってくるから、今日のルート工作はそこまでかと思っていた。
僕達も荷物をたたみベースキャンプに降り始める。11時50分、唐突に倉岡さんのトランシーバーに、「Reached Summit!!」という声が聞こえた。シェルパ達は辛抱強くルート工作をしながらついに今日エベレストの山頂に立ったのだ!今シーズン初めてのエベレスト登頂である。自分のことのように嬉しくなった。これで頂上までルートがつながったことになる。
プモリ下山中、ベースキャンプの入り口近くでそのニュースを聞いたすぐあとに、今度はサーダーのペンバギャルツェンのトランシーバーから五十嵐さんの声が聞こえた。五十嵐さんは、「先ほど平出君と会ったら、ちょうどメスナーと出会い、ぜひお父さんと話をしたいから、至急ベースキャンプエアポートに来てほしい」とのことだった。
ベースキャンプエアポートとは、ベースキャンプから離着陸するヘリコプターのヘリポートのこと。どうやら、先ほどきたヘリコプターに乗ってメスナーがEBCに来たようだ。
メスナーとは勿論、ラインホルト・メスナーのこと。エベレストを最初に無酸素で登頂したほか、8000m峰14座すべてを独自のバリエーションルートで登頂した、世界的な生粋の登山家だ。父とはお互い冒険家としてリスペクトしつつ、30年前に日本で行われた冒険家の世界サミットで出会った以降、登山と冒険の歴史のなかそれぞれの想いを分かちあってきていた。
その知らせを聞くや、父はこれまで見せたことのないようなスピードでベースキャンプを駆け抜けていった。すると、メスナーその人も嬉しそうに父に向かって歩いてきた。彼は今年、エベレスト登頂60周年を記念して来ているそうだが、直接ヘリコプターでベースキャンプを訪れたため高度順化はしていないそうだ。しかしさすがはメスナー、そんなことは動じもせずお父さんとの再会を祝った。
父とメスナーが話をしていると、すぐに周りは多くの人だかりとなった。様々な国籍の人々が、皆、父とメスナーのツーショットに驚き、カメラを構えている。最後にメスナーはお父さんに、「あなたを見ていると、エベレストを登るためのパワーと頭脳を備えているのがよくわかる、きっと成功するだろう」と告げ、硬い握手を結んで別れた。メスナーはこれからまたヘリコプターでカトマンズに降りるのだそうだ。
メスナーと別れてすぐに、今度は今シーズン、ルート工作をめぐりC2にてシェルパと乱闘事件となった、世界的登山家のシモーネと出会った。シモーネは先鋭登山家であると同時にヘリコプターパイロットでもある。先日シェルパとのごたごたがあったが、それでもなかなかパイロット兼登山家という人に出会うことはめったにない。エベレストベースキャンプというのはやはり特別な人々を惹きつけるなにかがあるようだ。
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