ながらトレーニングで楽しく体を動かそう!
7年前の僕たちはC1からC2(6400m)に向けて歩いていました。ウエスタンクームというダラダラと長〜い回廊なんですけれども、ここをゆっくりゆくりと上がっていきます。標高差はそこまで稼げないのですが、ここはもう6400m。息も絶え絶えで歩いていました。こんな時に僕たちは何を考えているのかというと、周りの景色を見ながら、エベレストを見ながらそれだけで癒されます。一方で、皆さんが行っている室内でのトレーニング。結構地味です。地味に標高を上げていると思います。そんな時、もし今回用意したメニュー、室内のものであればテレビを見たり、ラジオを聞いたりしてもいいのではないのかなと思います。皆さん、それでは『楽しんで』トレーニングをしてください!頑張って!!
本日のMIURA流クライムビクス
三浦豪太が考案する『MIURA流クライムビクス』を動画で詳しく紹介しております。以下の種目をクリックしてみてください!一緒に頑張りましょう!!
【準備体操】
登山体操 ・・・リズムよく、楽しくトレーニングしましょう
【メイン運動①】
①ウォーキング・・・2.4km
②階段のぼり・・・27階分、もしくは踏み台昇降・・445回分
③スロージョギング・・・15分間(5分間×3セット)
※①、②、③より1種目を選択してください
【メイン運動②】
バックランジ(歩幅2.5歩)・・・25回×3セット
【補助運動】
かかとタッチ ・・・15~25回×3セット
三浦豪太の遠征日記 −2013年4月30日−
標高6000mを超すC1での睡眠はいつも浅い。そのため高所での夜の過ごし方というものを研究する機会が多くなる。音楽を聞いたり、最近ではオーディオブックといって本を朗読してくれるものもある。これだと無用に寒いなか寝袋から手を出したり目を酷使しなくてもいいから眠れない夜にはオーディオブックをつけながら寝る。しかし欠点はフッと眠ってしまった場合だ。どこまで聞いていたか分からなくなる。
今朝はシェルパが隣でお湯を作っている音で目が覚め、オーディオブックが一体全体なんの話しをしているか分からなくなっていた。なので、きっと少しは寝たのだろう。
C1は6100m。この高度になると1に水作り、2に水作り。3、4がなくて5に水作りと言われるほど水作りをしょっちゅう行っている。高所は乾いていて汗や呼吸で水分が奪われやすい。身体から水分が奪われると、血液がドロドロになり酸素を体の隅々まで運ぶことができず高山病にもなりやすい。そのため水分補給に必要とされる朝の水作りは僕達もシェルパも、みんな総出で行う。
今日の行程はC1からC2の移動だ。標高差は300m程だがウェスタンクーンと呼ばれるエベレストとヌプツェの谷間の長い回廊を歩く。この行程で最も辛いのは寒さでもなく長いルートでもない。暑さこそ最大の敵だ。太陽が照りつけるとエベレストとヌプツェが太陽を反射して谷底を照らす、風もなかなか吹かず、どんどん気温が上昇する。過去にここで、なんと58度という灼熱を記録したことがある。こうなると白い砂漠だ!そのために先ほどの水作りは欠かせないこの高度にまだ慣れていない僕達は暑くても、まるでカタツムリが這うようにゆっくりと進む。
でも、今日はまだ幸運な方だ。風が吹いてそれほど暑くない。しかし、それもまた複雑で風が吹くと急激に温度が下がり止まると暑い。結果、こまめに体温調節を行いながら無事にC2まで到着した。
ここはABC(Advance Base Camp)と呼ばれる上部のベースキャンプでもある。実際、僕達が山頂を目指すとき、ベースキャンプの次にここの滞在期間が長くなる。ここでサポートを行うミトロ君や大城先生は今回の高度順化を数えると14日間もここで過ごすこととなる。そのために、この高度に慣れる必要があるのと同時に快適にここで過ごせる環境が必要だ。ここではそれぞれに個人テントがある。またダイニングテントとキッチンもありコックもここに常駐して、水作りもまかなってくれる。またここはシェルパ達にとっても拠点となる。
運ばれた荷物は一度ここに集結し、ここから上部キャンプにいくものに振り分けられる。C2は遠征のための特別な意味を持っているキャンプだ。午後はみんなでC2近辺の散策に行った。それは、ゆっくりとこの高度に身体を慣らさせる目的もある。C3方面へ歩いていると、いつぞやの日本の山ガールが近づいて来るではないか!聞くところによると今日C3まで行って来て明日、下るという。C3までのルートができたのはつい最近だ。それをここまで順化をすでに進めるなんて山ガール恐るべし!声にも覇気があり健康そう。この状態なら登れそうだ。
散策から戻ってきて日本に電話をすると、いま日本ではエベレストのルート上で起きたあるトラブルが問題になっているという。
それはつい先日の話で、ここC2からC3にルートを伸ばそうとシェルパがルート工作をしているときイタリア人のシモーネ・モローという登山家と口論になり一時ルート工作が中止になったというものだ。これが日本をはじめ各国では暴力騒ぎとなって問題になっているという。どのような形でこれが公になったが知らないが、実はこの時ルート工作をしていたシェルパのうちの一人がうちのシェルパのニマだった。
事の真相を聞いてみると、彼らがルート工作中にイタリア人登山家が、なかば強引にルートを横切ろうとした。シェルパ達は注意を促したが、それでも強引に登った上、彼が落とした氷によって一人のシェルパが怪我をしたという。それについて文句をいったシェルパに対して悪態をついたイタリア人登山家にシェルパ達が激怒。口論となりC2に降りてきてからもその論争が収まらず、シモーネはシェルパから追いかけまわされる羽目になったという。これがルート工作をしていたシェルパからの話だ。
数日前に起きた事件がニュースとなり、日本をはじめ世界を騒がしてるようだ。ただ、エベレストにいる僕らが、その話を日本経由で聞くというのは、なんとも…(笑)。
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