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2013年4月16日

ベースキャンプ到着、歴代で最も豪華な設備

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今日はいよいよベースキャンプ!日本を出てから早18日、その間2日以上滞在した場所はない。ベースキャンプの何が楽しみかというと安住の場所であるからだ!テントの中は自分専用のスペースとなり、手の届く所に好きなように荷物を広げて配置する事ができる。これまでのトレッキングもそれぞれのバティ(山小屋)に泊まり楽しかったが、パーソナルスペースという意味ではテントを上回るこれ以上の空間はない。自分のテントはキングオブマイワールドなのだ。ははは!

また、通信環境や食生活もこれまでキャラバン中の放浪生活よりも安定する。何よりもこれから自分が登る山を目の前にすることで実感が湧く。これからエベレストに登るための気持ちと装備を整えるのがこのベースキャンプなのだ。そのため如何にベースキャンプを設置するかはとても重要だ。ひと言にベースキャンプといってもそれぞれの隊によって考え方が設置場所から伺える。公募隊の老舗、ラッセルブライス隊は登山口からもっとも離れた所に設置している。

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これは大口のクライアントを多く抱えたラッセル隊は、クライアントがプライベートな空間を得るために他の隊から距離をとっているからだと思われる。また、研究を目的としたEverest Extreme2などは被験者を集めやすいためか、中心のエリア目立つようにテント場所を設けている。この限られた時期、エベレストベースキャンプ(EBC)は毎年30隊以上 、およそ800人以上が集まる大テント村(街?)となり、端から端まで歩くと30分以上もかかる。となると、後からきた隊は設置場所も限られてしまい、随分と不便なところに追いやられる場合もあるのだ。

そんな中、僕たちの隊は隊長である三浦雄一郎の意向を汲んで、もっともクランプ(アイゼン)オンポイント(アイスフォールの登山口)へ近い場所に1ヶ月前からシェルパを先行させて場所を確保していた。花見の場所取り騒ぎどころではない。さらに貫田さんとミトロ君は4日前からベースキャンプ設置の最終修正を整えるために先発として先乗りしていた。果たしてその出来は…というとこれまで見てきたベースキャンプの中で最高級の出来栄えだった。まず設置地点は父がリクエストした通り、クランプオンポイントの目の前でテントからアイゼンを履いてそのままアイスフォールへ出かけることができる。この登山口から遠いいと、下手すると着く前に30分以上も歩くことになる。80歳エベレスト登頂を目指すのに、このようなところでも体力温存が重要だ。

我がベースキャンプに着くと、先乗りしていたシェルパや先発隊のみんな総出で迎えてくれ、まずダイニングテントに案内された。ダイニングテントには赤い絨毯がフカフカと轢かれていた、そして10人が入っても余るくらいのスペースがある。電気もLEDライトとコンセントがあり明るく、ガスの暖房もあり素晴らしい出来栄えだ。さらに通信テントもノースフェースの2mドームテントを駆使してトランシーバー、衛星アンテナ、ソーラーパネル、発電機が完備、3人がきっちりとデスクワークできるようになっていた。完全なプレスルームである。

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もう一つの2mドームは娯楽テントとなっている、こちらの方のレイアウトはこれからだ。もっとも驚いたのはトイレ。なんとバス、トイレ付きでトイレは西洋式、そして仮シャワーまで設置してある!これは倉岡さんの提案で、カトマンズで特注で作ってもらった。僕達の登山史上もっとも贅沢なトイレテントだ。パーソナルテントは6人用テント、贅沢なスペースで何よりも天井が高くて楽だ。これからエベレストに登る1ヶ月を過ごすには申し分のないベースキャンプである。

しかし、夜中の3時、何やらテントの前が騒がしい。どうやらアイスフォールを登る登山者がアイゼンをつけている音だった、さらにヘッドライトで僕たちのテントを照らされた。完全と思えるベースキャンプであったがクランプオンポイントに近すぎたようだ

明日から「この先からクランプオンポイント」と看板を立てよう。

#それぞれのエベレスト

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