チャラ男になりきるオタクな僕はギャルなキミを振り向かせたい!(短編小説)

  *

 ねぇねぇキミかわいいね?

 学生?

 年いくつ?

 どこ住み?

 てかラインやってる?

 ID交換しない?

 ちょっと一緒にイイコトしようよ!

 いいじゃん!

 減るもんじゃないし!

 とりあえずラブなホテルいこっか!

  *

 ……そうやってキミはホイホイとチャラ男についていくようなギャルに見えるから。

 ギャルなキミと見た目が釣り合うようにしなければ、キミはオタクっぽい僕なんか見てくれないだろうし、そうするための努力を今日までしてきたんだ。

 なんの取り柄もない僕だけど、ギャルなキミに恋い焦がれているからこそ、この日を待っていた。

 なにげなく、チャラ男っぽいセリフを言うだけでいい。

 ただ、キミを落としたいがために、チャラ男になったのだ。

 完璧な偽装である。

 キミは、いつも、あの場所にいる。

 時計のモニュメントの前だ。

 彼女は自分と釣り合うような存在としか相手にしないというウワサだ。

 僕は、その彼女と釣り合いたい一心でチャラ男になりきったのだ。

「ねぇねぇキミかわいいね?」

 僕の練習したセリフを口から出すのだが、キミは、どんな反応をするのだろう……?

「あぁん!?」

 僕は思わずたじろいだ。

 ……えっ!?

 まだ、一言しか言ってないよね?

「おめーアタシのことバカにしてんのかコラァ!」

「ひぃぃぃごめんなさいぃぃぃ!」

 ギャルに怒鳴られて腰が抜けた僕は情けない声を上げた。

「おめーみてぇなヤツがナンパなんて百年早えんだよボケェ!」

 そんな僕の胸ぐらを掴んで揺さぶってくる。

「すみませんすみませんもう二度としないので許して下さいぃぃ!」

 僕は必死になって謝った。

「二度とすんじゃねえぞゴルァ!」

 ギャルは、それだけ言うと去っていった。

 僕は涙目だった。

 ……やっぱり無理なのかな……。

 でも、あきらめたらダメなんだ。

 僕は、いつか、きっとギャルなキミを振り向かせてみせる。

 だから、僕は、もう一度だけ挑戦することを決意するのだった。

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