「生きづらさ」を解消するハックともっと必要なこと
姫野桂さんの3冊目の著書『発達障害かも? という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』を読んだ。
これまでの本は発達障害や発達障害の疑いがあったり、何らかの「普通の生活を送るうえで困難なこと」がありながら、発達障害の診断が下りない「グレーゾーン」の人たちへの取材を基に書かれたものだが、今回の本は苦手なことがある人に、それをどんな工夫で乗り越えているかをたずね、集まった「ハック」を紹介していくものだ。
基本的な生活を送ることや良好な人間関係を築くこと、仕事に対する向き合い方など、様々な面での困りごとがあり、必ずしも発達障害の人だけがなりそうなものでもなく、誰でも当てはまりそうなものもある。発達障害でなくても、該当するものがある人にとっては役立ちそうな内容だ。
ところで、気になったのは、「発達障害とジェンダーの複雑な関係」のこと。
風俗店で働いているときに、発達障害とおぼしき女性に何人か会ったが、優しくされた男性に利用され風俗店で働くようになったり、性的なことをして男性に喜ばれることがうれしかったり、他に行き場がなく、唯一受け入れてくれたのが風俗店であったような女性がいて、彼女たちが歳を重ねて働けなくなったときは(コロナ自粛で風俗店が休業している今も)どうやって生きてくのだろうかと心配になる。
「女性だからというだけで愛され、結婚したり、男性に守りれるから男性より生きやすい」という人たちがいるが、女性であることで、利用され、より困難な生き方をしてしまう女性がいることは忘れてはいけない。
細かいハックとは別に
・苦手なことは、そのまま受け入れよう
・人と比べることはもうやめよう
・「できない=ダメ人間」ではない
という言葉がとても大切だと思う。
これらは、自分らしさを大切に生きてい必要なことで、特に上のふたつを心がけるようになってからは、悩んだり落ち込んだりせずに、本当に自分がしたいことをして生きていけるようになった。
そもそも、一口に発達障害と言っても、様々な特性があり、全員に当てはまり役立つハック、これだけやっておけば大丈夫というものはない。
ひとりにひとりの工夫や努力はもちろんだが、多様な人間がいることが、もっと当たり前の常識になり、個々の特性や希望にあった働き方や生き方が選べる世の中になればと願う。