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すべての先生と先生を目指す人に見てほしい アニメ『王室教師ハイネ』~感想日記~


あらすじ(ネタバレ)

 グランツライヒ王国の王室教師として城へ招かれたハイネ・ヴィトゲンシュタインを待っていたのは次期国王候補である4人の王子たちであった。ハイネは国王から彼らを次期国王にふさわしい人物へ育てるよう命じられる。事前に入手していた資料を手に王子たちと面会するハイネであったが、資料はあてにならず、王子たちはそれぞれに個性豊かな4人兄弟であることが判明。プライドエベレスト王子のレオンハルトは身体能力は優秀だが過去の出来事がきっかけで勉強が嫌いになっていた。チャラ王子のリヒトは街に出かけてはナンパばかりしていると思われていたが、実は隠れてカフェのバイトをし社会勉強をしている真面目な一面も持っていた。高圧インテリ王子のブルーノは、幼い頃から努力を重ねて学会に論文を発表するほどの優秀さをもっていたが、実は兄弟たちへのコンプレックスを抱えていた。ジロリ王子のカイは、やさしく穏やかな性格とは裏腹に目つきの悪さから周りに誤解され怖がられてしまうことで上手く周りの人とコミュニケーションが取れないことに悩んでいた。それぞれに課題を抱えた4人の王子にハイネは教育的指導を行い、王子たちは日に日に成長の姿を見せる。
 そんな中、ある日のゴシップ新聞に「王室に犯罪者が紛れ込んでいる」という記事が掲載され、第一王子の侍従長であり4人の王子たちが国王になることを阻もうと動いていたローゼンベルク伯爵はハイネの過去を突き止めたとハイネへ語る。ハイネは4人の王子たちに「ゴシップ記事の真偽を確かめること」と課題を出す。4人の王子たちは記事を書いた記者をあたり、そして王室の機密文書を調べ、投獄者リストにハイネの名前を発見する。その後、ヴィクトールからハイネの過去について、そしてハイネが王室教師を辞任したことを聞かされる。4人の王子たちの成長を讃え王室を去っていくハイネ。納得できない4人の王子たちは、次の王室教師を決定する議会でハイネがいかに王室教師に適任であるか、自分たちがいかに成長したかを堂々と発言し、議会の決定によりハイネは王室教師として再びグランツライヒ王室へと招かれたのであった。

感想

 めちゃくちゃほっこりあたたかく、そして涙が溢れる物語でございました。

 ハイネ先生がとってもあたたかいのです。曲者揃いの王子たちで手がかかるけれど、それぞれ抱える課題の裏には心の影の部分、弱さやコンプレックス、臆病さや寂しさなどが関係していて、ハイネはちゃんとそこまで見抜いてから王子たちが王子たち自身の望む方向へ大きく成長できるよう「教育的指導」を行っている。だからこそ、「指導」があたたかい。「あなたは弱い部分もありますが、立ち上がり自分で歩き出す勇気も力も持っているはずですよ」と教えてくれる。自分の可能性を信じてくれる誰かがいるだけであったかくて、それで頑張れると思うんです。
 
 個人的に教育に関わる仕事をしている身としてはハイネ先生のような教師になれたら、と尊敬と憧れの念を抱かずにはいられませんでした。生徒を一人の人間としてしっかり尊重しながら、その時生徒が必要としている助力助言を的確に与えることができる。これって、言うは易し行うは難しです。

「確かな土壌と、一握りのセンスと想像力」

五条悟/「呪術廻戦」

 これは五条先生の言葉ですけども、ハイネ先生みたいに教師として的確な関わりをするために必要なものもこれだと思うんですよね。たくさん勉強してたくさん教育についての本を読んで、そしてたくさんの子どもたちと関わり経験を積んで。その土壌は必要だけれども、それプラス、その瞬間のセンスと想像力が問われる仕事だと思っています。ハイネ先生は昔からずっと子どもたちのお世話をしてきてたみたいだから、生まれながらにそういうセンスがあったのだと思うし経験もあっただろうけど、勉強や知識についてはやはり教会で教えるようになってから、つまり大人になってからめっちゃくちゃ努力されてきたんだろうなと思うと、襟を正す思いになると言いますか。教師として立つ者ならば、その自覚をもって挑みたいなと思いました。

「誇り高く   自分の立場をきちんと理解して その立場であることが恥ずかしくないように 正しく振舞うこと かな」

舞台「鬼滅の刃」

 この言葉を思い出しました。教師として誇りをもって正しく振舞うことはかなり難しいことだけれども、その結果得られるものは何にも代えがたい「この世界の未来」だということ。若きヴィクトールとハイネが語り合った理想の未来を、将来の国王候補である王子たちが堂々と発言する12話。ハイネの目から溢れる涙に何が詰まっているのか想像してわたくしの涙腺も崩壊いたしました。

 教師の仕事をしている人々、そして教師を目指す全ての人々に見ていただきたい作品です。

 4人の王子たちがひたすらにプリティーで愛おしいところもおすすめポイント。


(余談)
 身寄りのない子どもたちをまとめあげるリーダーで、低身長に童顔だが身体能力がすこぶる高い戦闘系、おまけに髪型はオレンジ色……。ふむ、最近一気見した文豪がストレイドッグスなアニメにもそんなキャラクターがいましたね。しかも舞台版では同じ俳優さんが演じているですって?不思議な話です。

 『王室教師ハイネ』は舞台版の役者さんと同じ方がアニメでも声優をしていらっしゃり、ハイネは植田圭輔さんがCVされてるんですが、ハイネの「教育的指導」のシーンですごくあったかさとアツさと王子たちへの愛が感じられるのは、役者さんの人柄もあるのかなー なんて思っておりましたとさ。

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