MIU404 #1 激突

映画「ラストマイル」公開直前になりましたので、自分の考えをまとめようと執筆に至りました。
この投稿は「MIU404」を最終話まで観た上での感想、考察、その他いろいろ…になりますので、ご承知の上お読みください。


①志摩一未と伊吹藍

働き方改革による人員不足解消のためできた臨時部隊「4機捜」。マメジこと我孫子刑事部長からの指示で九重くんが班長の陣馬さんと相棒となり、志摩の相棒が必要となります。そこで奥多摩の野生児、伊吹が入隊することから物語は始まります。

ドラマの時系列の通りに考察を進めます。

さて、散々擦られた話題ではありますが触れておきましょう。
志摩の名前は“一未”、1未満を指します。
伊吹の名前は“藍”、虚数のiを指します。(公式)
志摩役を務める星野源さんも、このコンビを「凸凹ではなく凹凹」だと仰っていたそうです。

冒頭、伊吹の評判を聞くと周りから散々な評価を受けていました。志摩は出会ってすぐは評判よりもマトモなのかと一瞬思うものの、煽り運転に対抗する「バカさ」を目の当たりにし、「何をしでかすか検討がつかない」と評します。
一見すると伊吹はマウントを取らないと死ぬ病に侵されたヤンキー、対する志摩は理性的で論理的、いわゆる凸凹コンビのように思えます。

しかし、

九重「元捜査一課の志摩さん。ですよね?
    優秀『だった』と聞いています」

陣馬「桔梗はお前の見る目を買ってる。今でもな」

陣馬さん、桔梗隊長との関わりは以前からあること、捜査一課の優秀な刑事であったが何があったか運転係になるまで地位と名誉がなくなったことが受け取れます。ここが志摩の「凹」の根幹なのでしょうか。

②4機捜と機捜うどん

先の伊吹煽り運転対抗事件(以後伊吹事件と呼びます)はちょっとした騒ぎになり、401の陣馬さん、九重くんも出動する事態に。
「4機捜だ」と主張するも警察官には伝わらず、陣馬さんの「顔面」と、志摩が「ドライブレコーダー」を確認したことでどうにか難を逃れました…。
しかしそこにいたのがナウチューバー「REC」でした。(足踏まれた陣馬さん、痛そうですね…)

帰って来た4機捜。
さて、ここで皆さん大好き「窓から湯切り」!!!
陣馬さんと志摩の仲の良さが垣間見えるところでもあり、名物機捜うどんの始まりでもあります。
湯切りしたてのうどんを伊吹の始末書の上に置いてドヤ顔する陣馬さんと、なにやってんだか、という顔の志摩も見どころですね。
陣馬さんがマウントを取り返すタイプが故に出てきた言葉、「不毛な争いが一番嫌い」「マウント取り合ってどうするんですか」が後に繋がるシーンでもあります。

③初動捜査

捜査が始まる手前、志摩は伊吹に人差し指を向けながら「勝手な行動をしないでください」と注意します。「はい、はい。」と返しながら聴こえる音。
ここが1話の大きな伏線となりますね。
そして始まる初動捜査。MIU404は演出もサントラも素晴らしいですよね…。立入禁止の黄色いテープが引かれ、看板の色と血、店へ繋がる階段とスマホケースだけがビビッドに光り、文字はオレンジ色。ここで流れるのはその名の通り「初動捜査」。
目撃者(マルモク)に話を聞く前にゴミをとるような素振りで伊吹に盗聴器を仕掛ける志摩。(伏線ではありませんが、ここも最終話まで覚えておきたい点ですね。)
「被害者はいつも鍵を持っていた」という目撃情報から多くのことを推理し当てる志摩は九重の言う通り「優秀」で、あまり凹の要素を感じません。強いて言えば、思っていたより感情的になりやすい、というところでしょうか。

伊吹「さっきの調書の内容、報告書にはちゃんと書きます、だいたい覚えてるんで。記憶で」
志摩「記憶を過信するな。記憶にはバイアスがかかる」
伊吹「バイアス?」

「バイアス」も重要な言葉ですね。そしてここでは伊吹が志摩に対して敬語、志摩は伊吹に対してタメ口(さらには強い言い方)という点も抑えたいです。まだお互いの距離感が定まらないために、その場の雰囲気や立場、気持ちの具合が言葉に直接表れています。

志摩「テッテレー」
伊吹「信用ねえな〜」
志摩「ああ、ないですよ。俺は自分も、他人も信用しない。」
伊吹「…ふ〜ん。むつかしいね〜!」

他人を信用しないのは刑事として当たり前、後にガマさんもそう言いますね。自分を信用できないのは志摩の「凹」でもあるとここで推測できます。

④ビンゴビンゴビンゴ!!!

パーキングへ入ると、先の伊吹事件で「絶対ツブッターに書いてやる」と言っていたヒゲ男が被害者だとわかります。
手袋を貸せと言われて呆れる志摩。ここの志摩の表情大好きです。
伊吹事件で確認したドライブレコーダーが無くなっていることで事件は明確化していきます。
志摩の指差し確認と伊吹の「ビンゴビンゴビンゴ!!!」の声が息ぴったりですね。サントラ「GO!GO!」が流れるのもいいです。良い相棒になる予感がビリビリします。ここも大好きです。
所轄?の方々に404のドラレコを見せるシーンも面白いですね。

志摩「え〜〜〜、今のは、本件に無関係でございます」
伊吹「無関係です、ハイ」

⑤「規則は必要」

伊吹「は〜ん。もしかして、規則にがんじがらめになっちゃう頭カタいタイプ?」
志摩「規則は、必要だからある」

サントラのタイトルのひとつにもなっているこの言葉。
志摩という刑事を突き動かす指針で、警察という権力を持つ機関にとって最重要ともいえる「規則」。これも最終話までつながる大切な言葉です。

さて、ドラレコを見せたあと、伊吹は機捜という仕事について考えます。

伊吹「パッとしない!!」
志摩「逮捕まで手伝ってくれって言われる場合もあるんだけどなぁ」
伊吹「やりがいは?機捜のやりがい!!」
志摩「これが仕事、職務!」
伊吹「そんなんじゃやれねえだろ〜」

伊吹「なんでやるのかって言ったら“正義感”。
   犯人を捕まえたい。それしかないっしょ」
伊吹「なのに機捜はその前で終わる!
   んも〜〜張り合いない!!」
志摩「だから“そういう”仕事。」
  「検挙率を上げるための“パーツ”として働く。
   自分の満足のためじゃない」

そんな中、
おばあちゃんが家に帰れていないことを知る2人。

志摩「人探しは機捜の仕事じゃない」
伊吹「…なんかなぁ。ピンとこないなぁ」

同じ白い車(多摩ナンバー)を見つけるも、志摩に否定される伊吹。
この「野生の勘」の正体は…

⑥404NotFound

4機捜の面々で朝の機捜うどんを食べるシーン。癒されます。
そんな中、サイトへのアクセス集中により、「存在しないページ」になってしまった事案、それに伴うRECの陰謀論動画が投稿されたことが発覚。
桔梗隊長から、4機捜という名称自体が「(仮)」であることが明かされます。また、いつ解体されるかわからない、というのも重要ですね。

この時点では、RECはいわゆる「底辺ナウチューバー」で、拡散力も低く、特に支障はないだろう、と機捜の中で1番若く、ネット知識豊富な九重くんの判断で特に対処しないことに。(恐らく「スパイダー」の皆さんも分かっていたとは思いますが、念のために相談したのでしょう。)
ここで少し意外だったのは伊吹も陣馬さんと同じく、ネットに対する知識が乏しかったことです。ただ、後から貧乏な家庭だったと明かされるので、そのためだったと思われます。

今朝の傷害事件の容疑者のナンバー(404がドラレコ見せたやつ)が偽造だったことが伝えられます。しかも偽造ナンバーのプレートを複数使い、本当のナンバーを知られないようにする煽り運転の常習者。ここで流れる「警視庁から各局」もいいですよね。
ここで、この事件は「煽り運転の水島(ヒゲ男)が、より悪質で凶暴な煽り運転をするドライバーと出会い、殺されかけた」ものだとわかります。
ナンバープレートのことが明らかになったことで、伊吹はやはりおもちゃ屋の前で見た車が犯人だと言い出します。

伊吹「なんだろ、なんか、感覚?このへんにもや〜もや〜…」
志摩「勘とか感覚とかやめてくんないかな」

人差し指を伊吹に向けながら言った志摩。ここで流れる「伊吹藍」。

伊吹「あ〜スッキリした。エンジン音が同じだ。」

そう、これが「伊吹藍」なのだ。

志摩「緊急配備までして『間違いだった』じゃ済まないんだよ!!」
  「俺たち警察は権力を持っているからこそ慎重に捜査しなければならない。
    そのための規則でそのための操作手続きだ」

志摩「奥多摩の交番から来た素人が、
   野生の勘だけでしゃしゃってんじゃねえよ!!」
  「…俺までマウント取っちゃったじゃないか!!!もう!!!」
伊吹「…なんだかテンション上がってきた〜〜!!!」

虚数バカタッグ、本当の誕生の瞬間である。

志摩「今から緊急配備は無理。」
伊吹「じゃあどうする?」
志摩「やるなら、…ルール内でやる」

それでこそ、「志摩一未」だ。
「他の事件の呼び出しがあったらそっちを優先」することを約束に、4機捜、始動する。防犯カメラの映像を集める4機捜。心なしか404の2人の距離が縮まったようにも見えますね。
さてここで「スパイダー」の本領発揮です。(おばあちゃん探しも一緒に頼まれる糸巻さん(まきまき)、ご愁傷様です…)

伊吹「オレだってもう懲りましたよ」
  「あの時は拳銃まで出しちゃったんですよねぇ…」
  「もう撃ってやろうかと思って」

⑦それぞれのやりかた

そんなこんなで朝に。(大変ですよね…24時間勤務って…)
2つのタッグの朝の過ごし方の違いも楽しいですね。
陣馬さんの「じゃあ…お茶!」の言い方が可愛らしくて何度観たことか。
九重くんはまだカタい姿勢のままですが。
伊吹と志摩の一口の大きさの違いもだいぶ”愛”ですね。
「ホットホットの匂いがする」「なんだホットホットって…」のやりとり、
伊吹のナゾ単語集をぜひ発売していただきたいところです。

さて、同じようなタイミングで2つのタッグが動きます。
ここで「偽装ナンバーかどうかを調べる」ことがポイントです。
惜しくもどちらの車も偽装ナンバーのプレートは着いておらず。
そこに糸巻さんから犯人の本当のナンバーが伝えられます。

糸巻「登録ナンバーは 品川 2文字、数字300、へいわのへ、2401」
九重「陣馬さんその車です! 品川300 へ2401 !!」

いや〜…
九重くんの焦った表情は初めて観られたかも知れませんね。
それはさておき、追う車が見つかったとなれば話は早いです。
あとは追うだけ!がんばれ4機捜!!

って志摩の運転すげえええええええ?!?!
遠心力!!!!!伊吹も喜んでいます…ああいたいた!!
うわぁトラックのとこ黒い車スレスレ…!
なんて思っていたらもう「激突」でした。

志摩「…あぁ、。”脚が速い”。」

陣馬「事故を起こさなかった。上出来だ。」
九重「はい…」

伊吹「志摩、ヒミツの近道を教えろ!!」
志摩「ねぇよーー!!!!」

それぞれの関係が見えるやりとりですね。

そして犯人と対峙する伊吹。駆けつけた志摩。

伊吹「規則なんてどーーーでもよくない?」
  「死んだら終わり。死人に口無しだ。」
志摩「やめろ!!!!」

伊吹の手にはちさちゃんのおもちゃ。殴る志摩。

伊吹「…よかったな。誰かを殺す前に捕まって。」

まるで誰かを殺したことがあるかのような哀愁。
ひとりひとりに向き合う伊吹の「刑事らしからぬ」行動は、純粋で、未熟で、志摩にはない部分です。

おばあちゃんは見つかり、さらには「煽り運転罪」が施行されることに。

桔梗「人は足りないし車も足りない!予算は限られてる!!
どんなに極悪な犯人を捕まえようと1日で車を廃車にする人間は機捜には置けません!…次はない。わかった?」

人が足りないから許してくれたのかな桔梗さん…。
「次はない」が次回に繋がります。

桔梗「志摩から見て伊吹はどう?」
志摩「ただのバカだと思ったら、野生のバカでした。
   刑事の常識から教えなくちゃならない。」
桔梗「適性がないのなら外すけど。」

伊吹「機捜っていいな。
   誰かが最悪の事態になる前に止められるんだよ〜?
   超いい仕事じゃん。な?」

驚いたような、それでいて救われたような顔をする志摩。

志摩「ひとまず保留でお願いします。…ひとまず。」

●その他伏線、好きなところ

・ネットを見て「暇か」とバカにしていた志摩が
 桔梗さんに「暇なの?」と返されるシーン
 (これを観た時にこのドラマはおもしろいと確信しました。)
・「顔で隊長になってない」
  顔の良さは自覚してるのね、というおもしろシーンかと思いきや、
  後々に響いてくる言葉です。
・「俺の口からは…」「俺の口からは??」
  MIUの聞き返しギャグだいすきです。とても。
・「脚」「ですよねもういいです」
  前のセリフをかむのもだいすきです。とても。
・#激突
  1話に限りませんが、MIUはタイトルが最高です。
  タイミングも最高です。
  二面性があったり、登場人物のセリフにあったりするので、
  はじめに表示されたときと、観終えてからタイトルを観たときの印象がまるで違います。
・運転うめぇなあ!教習所か?
  最終話に響きますね…。九重くんの成長はここからです。
・盗聴器しかけられたときの「ありがと〜」
  とても嬉しそう。すき。
・初動捜査は大きく見ろ
  2話に直接関わりますね。サントラにも「行動は大きく見ろ」があります。
・「あとひとつだけ言わしてもらう。」
  抑えておきたいセリフ。
  続く言葉は志摩の信念で、時に伊吹の行動の指針になっていきます。
 「俺は自分のことを “正義”だと思っているやつが一番嫌いだ」
  志摩はどうしてこの考えに至ったのか。正義とは、なんなのか。
・「どうして煽り運転をするんですか」
 「負けたくないからに決まってんじゃん」
  3話にも繋がる「バカ側」の考えで、九重にはない考え方です。
・多摩300し1215
  これはおもちゃやさんの近くでみたナンバーです。
  MIUに出てくるナンバーは「へいわのへ」と「しんぶんのし」しかありません(私調べ)。
  ドラマですし、いろいろなひらがなにしてもいいのに、わざわざこれにしているのか…?

◯あとがき

凹凹コンビ、初めの印象とは違って見えたのではないでしょうか。
冷静キャラかと思いきや結構ぶっ飛ばすバカ、ただのヤンキーかと思いきや純粋が故にバカだと自覚してるタイプのバカ。
2話からもどんどん彼らの本質が見えてきます。
長〜くなりましたがここまでお読みいただきありがとうございました。

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