面白い本・好きな本|数学の予想[リーマン・ラングランズ・ABC]篇
『トンネルって日本全部で何個あるの?』
山道をドライブしていて、トンネルの中に入ったときにふと出た子供からの質問。Googleで検索すればすぐ答えは見つかると思うけど、こっちはなにしろ運転中。
スマホで調べることはできない。
となれば、今ある知識だけで答えを見つけるしかない。
で、後からネットで調べると答えは10506個!(2019年時点)
答えた自分が一番びっくり。。
フェルミ推定
と言っても、もともと「フェルミ推定」という概念は知ってたので、ある程度近い答えは見つかるんじゃないかなぁと、淡い期待があったのも事実。
・地球上に蚊は何匹いる?
・1等星の数は?
・富士山を動かすのに何年かかる?
といった、調べないとわからなかったり、調べても見つからない答えを、現実的な想定を積み重ねて答えに近づいていく。
いたってシンプルな推理ゲーム。
東京スカイツリーに年間何人登るか?
思いつきで、ひとつ問いをつくる。
で、勘を積み重ねて、なんとなく答えを見つける。数学が好きな人なら、案外楽しい思考実験。
エレベーターから考えてしまうあたりが、建築設計を生業とする個人的な癖が出てしまうんだけど、、
で、後からネットで調べてみると開業9年で来場者数4000万人。なので、答えは年間440万人!
おっ、なかなかいい感じ。。
数学の予想[リーマン・ラングランズ・ABC]篇
と、いうことで数学の予想についての好きな本を3冊選出。
とは言っても、ビジネスで役立つ数学〜、統計学で数値分析〜、数学的センスを〜、、といったビジネス本やノウハウ本ではまったくない。
もうゴリゴリの数学の未解決問題を扱う本。
現代数学の最先端で、とてつもなく頭のいい人が、とてつもなく難しい難問に立ち向かう話。
内容を理解することは初めから諦める。
答えが見つかるかわからない、答えがあるかどうかすらわからない。そんな難問に挑む姿を追体験できることが、今回の本を読む醍醐味かと。
どうしていいかわからに状況で
どうしていいかわかる人になりたい
わからないことを、わからないと諦めず、フェルミ推定のごとく、ひとつひとつわかることを積み重ねる。
その大切さを教えてくれる、3冊の本。
素数の音楽/2013 リーマン予想
数の原子と言われる素数の解明に挑む天才たちの話。
2、3、5、7、11、、と1以外で割り切れない数、素数。
定義は簡単だけど、846394703973473という適当にタイピングした数字が、素数か素数ではないか、それを判別するのはとても難しい。
桁が大きくなると、現代のスーパーコンピューターでもすぐにはわからない。すぐにわからないからインターネットのセキュリティにも応用されてるわけで。
なんのことか全くわからない。。
リーマン予想は約160年前に生まれた問題で、未だ未解決。
でもこれが解決されると、量子力学や宇宙物理学も飛躍的に発展を遂げるという魅力的な問題なだけに、その問題に挑む人々の物語を読み進めるだけでワクワクが止まらない。
NHKの番組、オックスフォード白熱教室「素数の音楽を聴け」でもいいので観てほしい。
数学の大統一に挑む/2015 ラングランズ予想
数学者 エドワード・フレンケルの自伝エッセイ。翻訳者は青木薫さん。
知っている人は知っている、青木さん翻訳本にハズレなし。
ラングランズ予想とは、互いに遠い関係にある代数、幾何、数論、解析、量子力学といった領域を繋げる大統一理論のこと。(たぶん)
著書の中で普通に出てくる単語をいくつかピックアップしても、全然わからない。高校数学までしか知らないので、わかるわけがない。。
なので、まずは「NHK数学ミステリー白熱教室(エドワード・フレンケル教授)」を観るのがおすすめかと。
動画で概要を理解してから、本を読む。それが今回は一番いい読書体験。
宇宙と宇宙をつなぐ数学/2019 ABC予想
ABC予想が解明できたと言われる理論を解説した書籍。
内容はほぼ理解できない。
「宇宙際タイヒミュラー理論」って早口言葉じゃないんだから、、
要は『+-と×÷を分離した世界をつくる』と。
普通、数学の世界では+-×÷が入り乱れた中で考えるが、その世界を解体し、分離する。そうすることで、新たな世界が見えて来る、と。
書籍が出版された2019年時点でも、いつ査読が通るかもわからない状態。が、その後2021年についに査読が通り専門誌に掲載される、とニュースになる。出版社の先見の明もすごい。
世界で数人しか理解できる人がいない難解な理論で、「未来からきた論文」と言われるほど。
まだまだ賛否両論あるようだけど、ABC予想が解明されているかもしれない「未来からきた論文」に触れてみる価値は絶対ある。