小さな印刷会社の革命の狼煙
10/15から始まった日本仕事百貨主催の「文章で生きるゼミ」第2回目。
講師は、藤原印刷の藤原章次さん。
藤原印刷は、もともと出版社を主な取引先として辞典などのお堅い本を作る会社だったというが、クラフトプレスという個人向けの出版業を始め、試行錯誤する中で、個人向け出版のスタイルを築き、今や個人向け出版の売り上げが全体の25%を占めるそう。
藤原印刷-Fujiwara Printing-(@fujiwara_printing) • Instagram写真と動画
藤原さんのお話で個人的に面白かったのは、
「本を作りたい」という個人のお客さんと話をするときは、「どんなサイズのどんな紙質の本を作りたいですか?」というスペックの話ではなく、「この人はどんな人で、普段どんなことを考えていて、なんで本を作ろうと思ったのだろう?」ということを、先入観なくフラットに聞き、そのうえで、プロとして出来ることを提案するということ。
初めて本を作る方も多く、相手も本のことを知らない分、自分の本作りの常識を軽く超えてくる逆提案をされることも多々あるという。
「廃棄段ボールを表紙にした本作れませんか?」
「本のページをくり抜いて作りたいのですけど出来ますか?」
そんな無理難題を出されるたびに「???」と頭の中で、びっくりしつつ、
「それってどういうイメージですか?」とイメージをすり合わせ、会社に持ち帰っては、技術者たちと「あーでもないこーでもない」と何とか実現にこじつけてきた。
それによって、お客さんが満足すると同時に、「こんな面白い本を作ってくれる会社がある」という噂が噂を呼び、いまや「個人出版≒藤原印刷」という知る人ぞ知るブランドになっているそうだ。
自分たちの枠や常識に相手を当てはめて、はじき出すのではなく、
徹底的に相手に寄り添い、相手の求めることを実現しようとすることで、
自分たちの枠や常識を超えていく、そんな仕事が感動を呼び、その先にいる未来の顧客を呼び寄せる。
小さな印刷会社の決して小さくない革命の狼煙を見た感じがして、素直にかっこいいな~と思ったし、自分の普段の仕事のスタンスも「自分たちの枠に当てはめて楽に仕事してないか?」と自戒の念を持たされた感じもした今日の講義。
なんだか文章を学んでいるのか、人生を学んでいるのか、よくわからなくなってきたけど。笑
毎回の授業のあとのオンライン懇親会も、勇気は多少いるが、意外と楽しい。(全然自分がアンテナを張ってなかった世界の情報が手に入る)
「文章を生きるゼミ」第3回もこうご期待。