役割「母」からの逃亡記0
もう無理だ。
そう思った時にはホテルを予約していた。
本当のことを言うと土日で予約したが、夫の予定を勘違いしていて土曜の夜は実行困難。
それでもあきらめきれず、金曜の夜に予約を変更した。それくらい余裕がなかった。
夜泣きの再発のせいか、睡眠不足。
なのに昼寝ができない。
夕方私が疲れてくる時はだいたい子供も疲れている。
ケンカしながら、なんとか布団までたどり着く。
夫は最近朝早く出社する。
早く帰宅するためと言っていた。
朝子供が起きた時、父がいなくてグズグズしても早く帰ってくるんだって!となだめた。
自分にも言い聞かせた。
だけど、あれ?
…思ったより早くない。
早く家を出る前と同じくらいに帰ってくる。
頑張っているのはわかる。
それでも期待する分、思った時間に帰ってこないと余計に腹が立つ。
食事を準備するのがしんどくなってきた。
最初に夕飯が1品ずつお惣菜に変わった。
次に朝食が変わった。
選べる子になってほしいといつも選択肢を並べていたが長女にはスティックパンと牛乳を机に置く。次女にも食パンをちぎって渡すのみ。
それさえもめんどくさい。
もう無理だ。
もう逃げよう。逃げてしまおう。
前日帰りが遅かった夫に今日は早い?と朝から圧をかけていたので18時半には帰宅するようだ。
そこから逃げよう。
そう決意するとあんなに嫌だった夕飯の準備もできた。(汁物を作っただけだが。)
次女が卒乳してから、早めに段取りをして、計画的に、と思っていた。
が、もうそんな余裕はない。
「わたし」が「母」という役割から逃げたがっている。
思いつくかぎりの準備をして。
いざ、出発。