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同じ映画を45回観たことによる生活の変化
はじめに
みなさんは同じ映画を映画館で複数回観たことがありますか?
オタクであれば「特典目的でムビチケを複数枚買ったから」「入場特典がほしいから」という副次的な理由や「あのシーンをまた観たいけど円盤まで待てない」「映像や音を浴びる感じが好き」といった直接的な理由で複数回観たという人も少なくないと思います。
一方で私は元々、映画館で同じ映画を観るということは全くしないオタクでした。理由は様々あります。
「じっとしてられない」
「金がかかる」
「周りに人がいるのが気になる」
等々…
このような考えは突如として覆されました。ある映画を観たことによって…
劇場版スタァライト公開初日
2021年6月4日、私はずっと公開を待ち望んでいたある映画を観に行きました。『劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト』(以下劇ス)です。
高校生の頃、FFの百合厨がスタァライトのソシャゲ(通称スタリラ)をやっているのを見て「はえ〜演劇版ラブライブみたいなやつがあるんや」って思ってなんとなくTVシリーズを観始めてからちょっとハマっていました。
とはいっても、TVシリーズではそこまで狂っておらず、劇場版を観る前は「TV版でいい感じに終わったのに総集編で風呂敷広げ過ぎちゃってこれ回収できるの?」ってちょっと懐疑的な感じでした。
公開日前日も、き◯いろモザイクのムビチケを買いに行くついでに劇スのムビチケも買っとくか〜と思って1枚だけ購入しました。
そして当日、観終わったときの感想ですが、
何を観たのかわからないけど、溢れる涙が止まらないんだが…?
内容が全く咀嚼できず、何も理解していなかったのですが、とにかくすごいものを観たという印象だけありました。家に帰って思い出を整理しているうちに「また観たいんだが…」となってしまって、気づいたら次の日のチケットをとっていました。
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この日、生まれたのです。舞台創造科、みうくるんが。
劇場版スタァライトによる生活の変化
これ以降、何をしているときも常に頭の片隅に劇スがある生活になってしまいました。
以下に実際に起きた変化を挙げます。
1.ふとした言葉からセリフの詠唱が始まってしまうようになった。
これ本当に困ってます。口頭では劇スを知ってるオタクにしか流石にしませんが、例えば相手が「しょうもな」って言ったとしたら
「うちが、一番しょうもないわ。」
「みんな、喋り過ぎだよね。」
(電車の音)
「私は征かねばならないんだ。」
「あの、大海原へ!」
「やっぱいいよな〜遥かなるエルドラド」
「うん、エルドラド!」
「十八番ですからね、あの劇団の。」
みたいに、連想される劇スのセリフとそれ以降の1,2分のセリフを全部唱える異常人になってしまいました。普通にコミュニケーションに支障が出るからやめたい。
大学の講義中とかも何かをきっかけに脳内で詠唱が始まってしまったら止まらず、気づいたら劇スのことを考えてることが多々あります。これのせいで大学2,3年は全く単位が取れませんでした。
この症状のせいで、オタクあるあるの「好きな作品を作業用BGMとしてずっと流しておく」に共感できなくなりました。だって脳内でセリフが先走って目の前の課題に集中できないんだから。
もう「記憶を消してまた観たい」じゃなくて、「記憶を消したまま劇スを知らないままでいたい」です。
2.映画館オタクになった。
最初の4回は音響も映像もフツーの映画館で観てたので、「早く円盤で観させてくれればなぁ」って思ってました。
上映開始から2週間経ったくらいになると、作品それ自体の感想に加えて複数回観てる人による各劇場の比較がTLに流れてくるようになりました。
また、最初の4回を観た映画館で劇スの上映が終了してしまって、他の映画館に行く必要が出てきてしまいました。
そういった中でなんとなく行ってみたのがTOHOシネマズ立川立飛の轟音上映です。
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これがマジでよかった。ドゴォォンみたいな音が全部地響きみたいになるから体で音を感じられた。もうこれ4DXだろ…
しかもこの立川立飛の轟音上映は恐らく全国で最長期間上映してました。10ヶ月もやってました。コナンでもそんなに長くやらないぞ。
この10ヶ月間のせいで耳が肥えてしまって、一般的な劇場だと満足できない体にさせられました。
劇スだけでも特別音響上映みたいなやつに何十回も行ったし、きみの色やウマ娘など他の作品も良い音響の映画館を選んで行くようになりました。
また劇スが何度もリバイバル上映しているので「他のリバイバル上映をしてるようなアニメ映画も同じくらい面白いのでは?」と思うようになり、プロメアやパトレイバーなど色んなアニメ映画を観るようになりました。
その結果、劇スを観るまでは絶対行かなかったような映画館にも行くようになりました。
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劇ス以降に行った映画館は東京(と少し神奈川)だけで20館近くありますし、TOHOシネマズとかイオンシネマみたいなチェーン店を除いても15館ぐらい行ってます。映画館ってそんなにあったんだって正直思いました。
3.作品の見方が変わった。
劇スは(私の理解力の問題でもありますが)初見だと意味を捉えきれない部分が多々あります。
でも映像や音響などの表層の部分が良すぎるあまり、内容を咀嚼しきれてないのに何回も観ちゃうので結果として内容を深掘りできちゃいます。
せっかく音と映像を浴びに行くなら内容についてももっと考えたいので、「今回はここの演出を注視してみよう」「あのシーンの台詞の意味をちゃんと考えてみよう」と毎回テーマを決めて観ていました。そのため観に行く毎に作品に対する解像度が上がっていきました。
こういう作品の見方は他の作品でも生かされるようになりました。例えばパトレイバー2では「今回は自衛隊・警察・柘植らの関係をちゃんと理解しよう」「今回は荒川の行動原理や思想を考えてみよう」「しのぶさんの柘植に対する感情を考えてみよう」と毎回テーマを決めて観るようになりました。
これのせいで、あらゆる作品において複数回視聴が前提になってしまって、観られる作品が減って新しい作品に手を出すことが少なくなりました。
劇スのせいで流行に疎くなりました。本当に責任取ってほしい。
まとめ
いかがだったでしょうか?(いかがだったでしょうか?)
読んでくださった方の中で「まだ特定の作品に狂ったことないよ〜」って人がいたら本当に気をつけてください。最悪人生設計が狂います。
特に「劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト」には注意してくださいね。