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奇跡にみえた偶然

あの日感じた予感は、


僕だけのもので、


君にとっては、単なる偶然とも気づかないような


今となっては、記憶の片隅にも残るかどうかの


日常のほんの一部にすぎなかったようだ


あの日、楽しいと言い合ったのは


2人だったはずだけれど


思わず胸を押さえ深呼吸をしたい衝動に


駆られるようになったのは僕だけで


もう一度あの時間を過ごしたいと思っているのも


ひとりだけみたいだ


君のその笑顔はあの日だけなわけがないと


もっと早く気付けばよかった


何処かでばったり会えるかも、なんて


毎日柄にもなく服選びに時間がかかって


鏡の中の明らかに嬉しそうな自分に


自分でも不気味で思わずツッコミいれたりして


ほんとバカみたいだけど



それでも楽しくて


バカでもいいかって思い始めていたところだった


でも、そんなことしても


君に1ミリも影響してない


いつもよりワクワクしても


ほんの少し着るものが変わっても


君を見つけて思わず笑顔になってしまったとしても


君の周りの空気すら、1ミリだって変わらない


やっとそのことに気づいて


いきなり世界の色が普通になった


色褪せるでもなく曇るでもなく


前に戻っただけ。


ああ、そうだ、こんなだった。


仕事もはかどるし、夜も眠れる

それでいい。


不必要に嫌われることもないだろうし


そこそこのいい人でいられる。


ぽっかり穴になるほどでもない。


それでも、


勝手に失恋してる。


勝手に気になって


勝手にドキドキして


勝手に落ち込んで


失恋。


ぽっかりじゃないけど、地味にやっぱり痛い。


失恋の歌は今は沁みる。


それでも、誰かを想ってワクワクするのはこの人生で


そう滅多にあるものじゃないし


オシャレするのは楽しくなってきたし


美味しいコーヒー屋に行ってみる趣味が出来た



僕の世界は多分3ミリは変化した

その変化で、少し角度が変わって


平行だった線はどこかで誰かと交わるかもしれない


#小説
#短編
#超短編
#片思い
#恋
















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