『上州土産百両首』 橘小竜丸劇団鈴組
2022.12.10 橘小竜丸劇団鈴組 夜公演 立川けやき座にて
(あらすじ)面倒見の良い頼れる兄貴分の正太郎とドジばかりするけど愛嬌のある弟分の牙次郎、二人の巾着切り。一緒に堅気になって暮らそうという牙次郎の言葉に正太郎の心も動かされるが、追われるなら別々に逃げる方が良いと、それぞれに堅気になって三年後の今日、初めて二人が会った金毘羅堂で出世比べをしようと誓う。三年後、目明かしの親方の下働きをする牙次郎のもとに、板前として懸命に働いていたはずの正太郎が訳あって賞金首となって姿を現す……
お友達リクエストにより、今年も橘龍丸さんゲスト日を観劇。
お芝居始まった瞬間に、あ、去年観劇したゲスト公演日と同じ演目だ! ってなったのですが……。(お外題見ずにスケジュール合わせで劇場に飛び込んだ結果)
もう、最後の見せ場、劇場の空気が全部持ってかれたーー!!
結末も何もかも知っているのに、ポロポロと流れる涙が止まらなくて。
揃って感激してしまい、大興奮となりました。
お互いこの一文銭を見たら思い出そうと言って握りしめあい、再会の時にはそれぞれ首から下げて大事に掲げ持つ。離れ離れになって過ぎし日々、変わらずそれぞれを思い合っていたことがわかって胸に刺さります。
正太郎が牙次郎を思い、牙次郎が正太郎を思う。
その心の深さに、目明かしの親方も心動かされて……。
思いの丈を熱く、切々と語る正太郎の言葉が次から次へとその場の空気を包み込んでいったように感じました。
観劇を続けるうちに、何度も観劇して知っている演目に遭遇する現象。
最初はどれもこれも真新しくてただただ楽しいのです。また、同じ演目でも、配役違いがあったり、ゲストがいることで新鮮な空間になっていたりということもあります。
が、いずれやってくるとは聞いていたものの、本当にこのところ遭遇率が高くなり(繰り返し観劇する劇団が増えたからですね)、その時に湧き上がる感情もさまざまで。
以前より、ぐっと良くなったなって感激することもあれば、時にはうーん今回大味だなって思ってしまうような時も。
それでも、こちらの予想を上回った何かに遭遇することがしばしばあって。
これこそが、観劇に沼る大きな要因のひとつなのではないかと思うのです。
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