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『さびしい』という感情について

「さびしい」という感情について、以前から考えています。

これは何かで消せたり、
抑えられるものなのか

いつもあるわけではなく、
時々ひゅうっと入ってくるので、
何か引き金があるのだろうか

感覚的には
寄せては返す波のように繰り返しやってくるので、その波間で漂っている感じがあります(たまに高波にのまれる)。

わたしはいろんな方とお話をする機会に恵まれているのですが、
20代のころ、
わたしよりかなり年上の女性で、結婚して、子どももいて、孫もいて、社会的にも成功している方が、ふと「さびしい」ともらしたのを聞いて、全部持っていて幸せそうに見えるのにな…と思いました。

でもその後も、そういう気持ちを話してくれる人に出会うことがあり、その人の置かれている状況もいろいろで、女性も男性もいました。性別や年代による差もあまりないと感じました。

なんでだろう、これはどういうことなんだろうと、ずっと考えてきました。

自分に関しても、
いろいろ充実している時期、
ほんとうにひとりぼっちという時期も通ってきて、

寂しさにもいろいろ種類がありますが、
置かれている状況や立場に関係なく存在する「寂しさ」というものを、だんだんはっきりと感じるようになりました。

考える途中には、必ず基本に戻ることが大切だと思うので、国語辞典を開いてみました。わたしが長年愛用している旺文社国語辞典です。

『さびしい❬寂しい・淋しい❭』

①人の姿が見えず、心細い
②張り合いがなくて、物足りない
③活気がなく、もの悲しい。生気がなく陰気だ。
④物がとぼしい。満たされていない。

「寂」は家の中に人がいないでひっそりしている意、
「淋」は本来、水のしたたり落ちる意で、さびしい意に用いるのは国訓。

ふむふむ。なるほど。意味自体はこういうことなのか。

そして続くのは

『さびしがりや❬寂しがり屋・淋しがり屋❭』
「人一倍さびしさを感じやすく、それを言動にも表す人。さみしがりや。」

…わたしのことですか⁉️

ドキッとしました。
たしかに、インスタグラムにも「さびしい」気持ちについて、延々と書いちゃってるし…。いやぁ、モゴモゴ……。

国語辞典ってほんとにエキサイティングだよねッ✨📖痛いところをついてくるよねッ!と思いながら、さらに見ていくと、

❬寂しさに 海を覗けば あはれあれ 章魚(たこ)逃げてゆく 真昼の光❭
〈北原白秋〉

「寂しさをまぎらわそうと海中をのぞいてみると、ああ、たこがユーモラスなかっこうで懸命に逃げて行くことだ。海面は一面まぶしい真昼の光に照らされている(神奈川三浦半島の三崎の海辺でよんだ歌。)」

❬寂しさに 宿を立ち出でて ながむれば いづこも同じ 秋の夕暮れ❭
〈後拾遺集 良暹(りょうぜん)法師〉

「寂しさに耐えかねて、少しは心が慰むこともあろうかと家を出て、あちらこちらをながめてみると、秋の夕暮れの寂しさはどこも同じことであった。(小倉百人一首の一つ)」

北原白秋も良暹法師も寂しさを抱えていたんだな。そういうふうに思うと、自分の寂しさが少しだけ和らぐような気がしました。

和歌の中では、「さびしい」という自分の気持ちから、視点が自然へと向かい、大きな広がりを見せています。しかしそれによって「さびしい」という気持ちがさらに強調されてしまう…。そういうふうに感じました。

自分の経験からいっても、さびしいときに見る風景はぞっとするほどきれいに鮮やかに見えて、そのきれいさがかえって、さびしいという気持ちをまた自分に強く感じさせてしまう、あの感じなんだな、と考えました。

さらにつらつらと考えながら、
そばにあるノートをパラパラとめくりました。

わたしは好きな言葉や文章をノートに書き写すのが趣味なのですが、
驚いたページがありました。
引用します。(もし誤字脱字がありましたらごめんなさいm(_ _)m)

「私は今より一層淋しい未来の私を我慢する代りに、淋しい今の私を我慢したいのです。

自由と独立と己れとに充ちた現代に生れた我々は、その犠牲としてみんなこの淋しみを味わわなくてはならないでしょう。」

ハッとしました。
心の芯が震えました。

そうです。夏目漱石『こころ』です。

漱石先生は現代の「寂しさ」をも予言していたのでしょうか。驚きをもって読みました。

考えながら、いろんなものをたどっていくと、やはり必ず漱石先生のところにたどりつく。そういう大きな流れがあると感じます。
思考の流れの中で、たびたび漱石先生の姿が見えることに勇気づけられて、また考え続けます。

まとまりのない内容になってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ここから先はまた、本を読みながら考えていきたいと思います。
考えを膨らませていくと、頭の中がカオスになり、かなりの迷走状態に入るのが困りものですが、
もうこうなってきたら、迷うことも楽しんでしまいます。歩きながら「ストレイシープ」とつぶやいてみたりして……(^^)

🐑🐑🐑🐑🐑💨🏃

⭐️この日記は2023年2月1日に書いたものです。

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