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[10年越しの花嫁]キリアン・エンバぺ

待ち焦がれた瞬間だった

何度新聞の表紙を飾ろうと、Fabrizio Romanoがなんと言おうと大衆の中、サンティアゴ・ベルナベウで「Hala Madrid」と言うまでは全てが疑心暗鬼だった。

それがついに実現した。

長年の夢

エンバぺが10歳の時、友人からサンティアゴ・ベルナベウのレプリカをプレゼントされ

「いつか僕が君をレアル・マドリーのVIP席に連れて行くよ」と答えた。

エンバぺは14歳の時に、バルデべバスに招待された。トレーニングと試合にも参加し、エスパニョールとの試合も観戦した。ジネディーヌ・ジダンが空港から練習場までの送り迎えをしたことも有名な話だ。

彼にとって、夢の時間だった。


逃した代償


2017年。ASモナコで頭角を現したエンバぺ争奪戦が始まった。マドリーは、終始レースで優位な位置につけ、1億8000万ユーロを提示し合意を取り付けた。

そのシーズン44試合26ゴールだった。

結局、出場機会を危惧したエンバぺの父を説得できず、スタメンを確約したPSGを選んだ。その後、マドリーは長い間苦労することとなった。

エンバぺの商業的価値、プロフィールはフロレンティーノ・ぺレスが長年執着した理由の一つだ。Instagramのフォロワー数は1億1700万人で、ベリンガムの3200万人、ヴィニシウスの4800万人よりも遥かに知名度と人気がある。


エンバぺプロジェクト

フリートランスファーでの加入になるが、依然として巨額の出費が伴うことに変わりはない。年俸1500万ユーロに加え1億5000万ユーロの契約金が支払われる。

しかし、ペレスは何年もかけて彼を迎えるための準備をしていた。持ち前の経営手腕とパンデミック時には抜け道を駆使して、健全経営で「エンバぺ枠」を維持していた。

ベイルやハメス・ロドリゲスを獲得した際には、エジル、ディ・マリアを追い出し収支を均衡させ、アカデミー出身の選手を売却することで利益を生み出した。(2010-2011以来、40人以上のアカデミー出身選手を放出し2億ユーロを得た。)

直近ではトップチームで全く試合に出ていないラファ・マリンに1200万ユーロの値が付いた。

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また、ヴァランやカゼミーロ、クリスティアーノ・ロナウドなどを適切なタイミングで放出し、選手獲得にはアラバやリュディガーのフリー移籍と、クルトワやクロース等残り1年の安価になるタイミングを狙って獲得している。アザールも
(今夏のターゲット、レニーヨロとデイヴィスも残り1年)

チームの給与総額も年々減少している。現在の給与の最上位クラスはクロース(昨季で引退)とアラバで、かつてのクリスティアーノ・ロナウドやベイル、アザールよりはるかに低い。クロースの引退は予定していたものではなかったが、彼の退団によりエンバぺの給与のほとんどを置き換えることができる。

2023-2024の人件費率は49%でUEFAが定めている70%の基準よりも低く、十分な余裕がある。


チームバランスが崩れるだろうか

一番の懸念は、左サイドが渋滞するのではということだ。昨季のアンチェロッティは、ヴィニシウス、ロドリゴ、ベリンガムを中心とした攻撃陣が左に大きく偏った歪な配置を成立させていた。その左サイドに4人目が加わる。

FBrefのアルゴリズムによると、エンバぺに一番近い選手はヴィニシウスで、二番目がロドリゴだ。

始まる前から悲観的になるのはナンセンスだ。

昨季の結果から、左右対称である必要はないと証明された。アンチェロッティの手によって、ヴィニシウスは古典的なウインガーからモダンなアタッカーへ年々進化し、昨季は中央に近いポジションでのプレーも習得した。

エンバぺとヴィニシウス、ベリンガムが並ぶことを想像すれば、懸念よりも期待感が勝るのではないだろうか。対峙するディフェンダーからすると「どうやって止めるんだ」と絶望するだろう。

今まで見たことのない形が見れるかもしれない、アンチェロッティの調律次第で渋滞が相乗効果になる。

上のチャートが示す通り、エンバぺは守備以外のすべてが突出している。そして1試合に1点ペースで点を取り続ける選手だ。

彼の加入はマドリーの脅威を新たな次元に引き上げる。

as.com


新章

この移籍の影響は、レアル・マドリーだけにとどまらない。これはプレミアリーグに大きく遅れを取っているラ・リーガ全体にとってもプラスになる。

かつてのメッシとクリスティアーノ・ロナウドの時代のように、ラ・リーガは復権を目指す。


豪華な入団セレモニーは、レアル・マドリーの期待が窺えるものだった。8万人の観衆は、ビッグイヤーを勝ち取った時よりも盛り上がっていたように見えた。マドリーは2年に1度はCLのタイトルを取るが、エンバぺを迎えるには7年かかったことを考えると妥当かもしれない。

クリスティアーノ・ロナウドの時のように語り継がれるものになることを期待したい。

背中を追い続けたメロドラマは最終回を迎え、
今日からは、共に歩む日々が始まる


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