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映画『シン・仮面ライダー』の疑問点(3)解決篇
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そもそも、どうだったらこの映画に満足していただろうかと考えてみる。初戦のクモ・オーグ篇はわるくない。クモが喋り過ぎという点を除いては。ただそれ以降大した山場はない。どの戦いの政府のお膳立てで、乗り込んで殲滅するという流れなので緊張感も維持できていないし、ショッカーの脅威・恐怖という点ではまるでおそまつ極まりない。そもそも立花と滝のまえで、べらべらとショッカーの正体までも喋ってしまうルリ子も大きな問題で、そのために悪の神秘性、正体のわからない恐怖というものがきれいにぬぐわれているのが欠点だ。
ここは本郷猛に裏切り者というショッカーを寄せつけてしまう餌という因果を含めたい。本郷とルリ子が行動する以上、つねにショッカーは狙って来る。そして周囲の人間を巻き込んでしまうということにしたらいい。そして危機にある人間たちを寸でのところでライダーが救うという展開のほうが納得できる。もちろん、テレビシリーズのように通り魔的に殺される一般人も必要だろう。この作品では戦いと戦いのあいだのエピソードが非常に弱い。ショッカーの脅威が次第に深刻化していく描写でもあれば少しは救われていただろうとおもう。サソリ・オーグのパートは正直不要で、ハチ・オーグには自害でもしてもらったほうが好い。いちいち個々のアジトにいくというのは感心しない。そこはチョウ・オーグだけでいい。ちなみにKやJ、Iは要らない。
アクション監督はミチ・ヤマトに任せたいところ。とくにハチ・オーグ、対第2バッタ・オーグの場面はCGをあくまで補助にとどめたアクションを見たかった。K.Kオーグの退場は早すぎた。手負いでアジトに逃げるぐらいでよかったようにおもう。仕留めるまで、もう少し戦闘シーンが欲しい。
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作品で提示される本郷の絶望はしつこい。コウモリ以前に解消されるべきだったとおもう。滝はいいとして、立花は一般人のほうがよかったか。対相変異バッタ・オーグ戦、これもCGで、しかも画面暗すぎる。カットされたシーンのように野外でやったほうが好い。そして最後の対チョウ・オーグ戦だが、戦いの目的を始めに提示するべきだった。途中になって「勝算」を語りだすのはただライダーを馬鹿者にするだけで意味がない。『ハビタット計画』は『人類補完計画』の二番煎じが拭えないが、ここはわたしにもどうしたものか、わからなかった。イチロウ、本郷が消滅、一文字が取り残される。そして一文字がライダーを継ぐ。このラストは大変いいものだ。異論はない。しかし、1本の映画にするにはキャラクターも持て余している感じがひどくした。Blu-ray初回盤にはテレビ・フォーマット版なるものが入っているが、大変評判が好い。そもそも映画を本体にするのではなく、フォーマット版を本体にして、映画はその総編集版という企画で撮っていたら、もっとうまくいったようにおもう。あとあと追加撮影することも、撮影が1年に及ぶという愚策に嵌まらないで済んだだろう。フォーマット版も尺がばらばらという点を解消できたかも知れない。
まあ、ともかくいろいろと云いたくなる映画ではあった。youtubeには感想・批評・考察の動画でいっぱいだ。さすが50年を超えるヒーローだ。しかし、せっかく金も知名度もあって、原作への理解もあるとおもわれていた庵野秀明がこんな歪な映画を撮ってしまったのは罪作りだ。「オタクの二次創作」、「ハイレゾ同人誌」などといわれるのも無理はない。庵野監督の社会性のなさが剥き出しのようで、全体通して観るはつらいので、観るときはわるい場面を飛ばして観ることにしている。それでもフィギュアは買うぐらいには好きだったりする。
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