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【読書記録】世界の家の窓から

COVID-19で世界中の人々が自宅に閉じ込められていたころ、Facebookで「自宅の窓からの風景をシェアしよう」というグループを立ち上げた人がいて、それに参加した世界中の人たちが自分の家の窓からの風景を投稿した。
その投稿から1冊の本にまとめられたのがこちらの本。

私は図書館でこの本に出会うまでグループのことは知らなかったし、投稿をまとめた本だということも、貸出手続きをして本を開いて初めて知った。
ただ、自分の写真のテーマを探しているときに「窓で切り取られた風景にこだわるってのも面白いな」と思って手に取ったのだった。あと表紙写真のヤギに惹かれた。

庭先にゾウが「アポなしで」来る家や、自宅の窓からポン・ジ・アスーカルが見えるリオのアパート。芝生一面に野生のキバタンが遊びに来ている庭。日本では考えられないような窓からの景色が本当に楽しくて、またFacebookの投稿なので、だいたい投稿者のコメントがついているのだけれど、それがまた面白い。

私が特に面白いと思ったのは、一面に隣のアパートの窓が写っている同じような写真が2種類投稿されていて、一人の投稿者は「孤独」とキャプションをつけ、もう一人の投稿者は、「近所の人たちがステイホームしているのが見えます。家の中にいながら、私はみんなに会えるんです。」と綴る。
その二つがどちらも、ブラジルからの投稿であることもまた興味深い。「孤独」の写真はサンパウロから、「みんなに会える」の写真はリオから。
都市と住んでいる人の性格は単純に相関しないとは思うけれども、私が25年前にブラジル旅行をした時の都市のイメージと、それぞれのキャプションが妙にマッチしていた。

自宅から見える有名な観光名所をシェアしてくれるのも嬉しいけれど、逆に生活感たっぷりの、洗濯物の写真や街並みの写真も、文化の違いを感じられて面白い。
ルワンダから、洗濯物を庭木の上に広げている風景はちょっと羨ましくなってしまった。

時々、合成と思われる写真やレタッチやりすぎやなと思う写真もあるのだけれど、だからこそ、修正なしの生活感ただよう写真の数々は、本当にその人がそこにいるのだと、その人にしか撮れない写真だと思えて本当に愛おしい。

うちの母にこんな本があるよと紹介したら、所用のついでに立ち寄った梅田の紀伊國屋で見つけて買ってきたらしい。酷暑で外出が命の危険を伴うこの時期、眺めているだけでも楽しいと母の無聊を慰める一助になっているようだ。

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