Stones alive complex (Pietersite)
戦後日本を支えてきダイナマイトボディの名残りを備えた景気の魔女さんから、半分くらい青い石版を渡された。
「その石版の話を、よぉーく聞いときなさい!」
「聞く?」
「そうよ、聞くの!
上の方にオプション装備されてるホルスの右眼が語るから。
右眼の教えは口伝でと決まってんのよ」
魔女さんは。
東に向いてる窓から光を入れ。
オリオン座の柄杓で水をかけた。
石版が眼を開き、
まぶたで語り出した。
・・・・・・
昔、中国に孫楚(そんそ)という人がおったそうや。
孫楚は、モリカケスモウばかりしていてシリアの事なんか知りやしない今風な当時の世の中が、嫌になってな。
いっそ山に引きこもったれ!と決心し。
王済(おうさい)というマブダチには、行き先をくらいは、ほのめかしとこうと思い、
「俺は、これから。
石を枕にして寝て、
川の流れで口をすすぐような生活をするんや!」
そう、言おうとして、
言い間違えてしもうてな・・・
「俺は、これから。
川の流れを枕にして寝て、
石で口をすすぐような生活をするんや!」
って、言うてしもた。
これを聞いた王済が、ぷぷぷと笑い。
「なにを言い間違うとんねん。
石で口をすすいだり、川の流れを枕にするようなことが出来るんかいチミは?」
容赦なくこう言い返された孫楚は、屁理屈をこねよった。
「流れを枕にすんのは、耳を洗うためや!
石ですすぐんは、歯やわ!
どっちもピカピカになんで!」
そう無理くりにコジつけよった。
これを聞いた王済は。
「とんでもない屁理屈を言いよったが、
さすがに孫楚らしい上手な返しやんけ!」
と、大変感心しました。
とさ!
・・・・・・
「これは、なんの話なのだ?」
石版へ尋ねると、まぶたは言った。
『流石(さすが)の語源ですねん』
「屁理屈上手たちの時代になるという事なのかい?」
『それもありますけれども・・・』
この会話へ、戦後日本を支えてこれたもののバブル景気後は支えきれそうにないダイナマイトボディを乗り出した魔女さんが割り込み、
「自分で耳をよく洗って、遠くの声も聞こえるように。
自分の歯をよく研ぎ、言い負けないように。
そういうこれからの流れに大事な意志の話でしょ?」
『流石っ!!』
石版が景気の魔女さんの屁理屈を褒めたたえた。
(おわり)