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Stones alive complex (Dumorutieritein in Quartz)


大蛇のごとくうねる地母神の手に追いかけ回され、亜火ノ聖命の飛行機はアクロバット飛行を続けていた。

「よし!
そろそろ地母神の手の動きのパターンデーターが、解析できた頃だな!」

戦闘機のフライトAIが、ここまでの飛行履歴から最適な回避ルートを計算できてるはず。

聖命は、戦闘機のメニュー画面を開き、
オートパイロットのスイッチをオンにする。
画面に『お任せ飛行』と表示が出た。
そっと操縦桿から手を離した。
自動操縦に切り替わり、操縦桿はメトロノームのように前後左右へと動き出す。
満足気にその動作を確認した聖命は、コクピットの風防を開け放つ。
どっこいしょっと、操縦席で立ち上がった。

猛スピードで急降下、急上昇、螺旋飛行、背面飛行などを繰り返す戦闘機の外には強烈な風が吹いて、はいなかった。
夢の中に風など吹いてはいない。
吹いているはずだと思えば吹くだろう。
しかし、聖命はそうは思っていなかった。

聖命はコクピットから戦闘機の背中へ、よっこらせっと足を踏み出した。
機体は激しいキリモミで飛行している。
その背中に聖命はすっくと立った。
機体から振り落とされてしまうと思えば、振り落とされることもできる。
しかし、聖命はそうは思っていなかった。

戦闘機の後方、垂直尾翼に平将門が面白い感じのくの字に曲がり、引っかかっているのが見える。
その向こうには、追尾してくるグーチョキのパーの形に指を広げた地母神の巨大な手が見える。

戦闘機がオートパイロットで宙返りを始めた。
聖命の視界では、夢の第二層の天と地が逆さまになってゆく。

法衣の襟元を正し、懐に忍ばせてきた全球中の玉を衣の上から押える。
将門の方へ踏み出す前に、聖命は深呼吸をした。
夢の中に空気などない。
しかし、聖命はそうは思っていなかった。

夢の中ならば、森羅万象の物理や物事の成り行きはなんとでもできる。
次のストーリー展開をどうしたいか?が、思いつくならばそのとおりにできる。
しかし、作者はそうそうは思いついていなかった。
この物語の展開も、とっくに行き当たりばったりなキリモミ飛行を始めていたのだ。

(おわり)

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