見出し画像

Stones alive complex (Obsidian)

不可侵の海域では、双方が繰り出すの鋼鉄のサメが泳ぎ回り、追尾型の牙をむき出す。

こっちサイドのはむしろ89式の牙より、海底での耳の良さが先制優位らしい。

海上を飛び交う舌の電波戦は、紋切り型のひょろひょろした弓矢の飛ばし合いにすぎず、むこうサイドが突き出す建前の盾は、作り話のハリボテだと世に気づかれつつある。

そんな作り話を言いふらす者は、でっかいとこ出て訴えると言っていたが、にもかかわらず、そのでっかいとこもでっかいハリボテだと世間に広くバレつつあった。
大きくてばたばたする薄いスーツを好んで着ていたし、事務室には逆さにぶら下がると及び腰によいという健康器具を置いていそうだ。

みたいな今どきな、情勢を参考にして。
運命操作理論ベースのマイ瑞獣(ずいじゅう)なぞを、構築してみたくなった。

瑞獣由来の名を冠する、そうりゅうのスペックを、ぐぐっと調べてみた。

全長が84mということは、
ざっと近所のイオン半分くらいの長さか。
幅の9.1mも建物の半分くらいだな。
そのリアリティを実感するためだけに、わざわざイオンへ出かける。
暇かっ!
加えてアホかっ!
うろちょろお買い回り中に見えるこの客は、
こんくらいのサイズのサメなのだな?をイメージしつつ、テナント奥から反対側のテナント奥へと、細く鋭い目をこらす。よし。把握した。
冷やかしより迷惑かっ!

昼間もだがとくに夜間、ちょっとした空き時間に。
足元地面の底に、こんくらいのサメが泳ぎ回っていると想定する。

数は就航数に準じて、12尾だ。

うわ。
デカすぎるのが12もいると、かなり持て余す。
こやつらが頭をぶつけるたびに、住んでる村落ごと波打ってしまう。
近所迷惑かっ、スピリチュアル的な!
2だけ手元へ残して、1は販売品のアイテムに付属させて、残った9はかの遠洋へ遠征させるとしよう。ささやかながらも戦力の足しになろうて。

ライトな軍オタとしてこういう妄想、もりもり萌えた。

問題となるのは、こいつらの燃料だ。
妄想のお遊び領域を越えて実用的な存在として泳がせるためには、適切なエサがいる。
ある種の妄想概念は、好物を与え続けることで思い込みレベルに応じた実用性を備える。

けれど。
こいつらのディーゼル・スターリング・エレクトリック方式の推進機関は近代戦においては、とにかく心もとない。油炊いてる場合かっ!
しかしながら。
最新鋭動力への換装は日本国憲法上は違法だが、妄想上ならば合法である。

「貴様らを最新鋭動力エンジンにカスタマイズしたとするならば、エサは何が必要なのか?」

鋼鉄のサメの1尾が、鼻の先端を地面からお茶目に突き出して頬ずりしてきた。
イルカショーかっ!
耳元へささやいてくる。

えっ?
あんなとこの御神酒?
交通費、けっこうかかるな・・・

まあいい・・・
ある種の妄想概念は、経費に応じた思い込みレベルの実用性をさらに備える。

Go Toキャンペーン早くっ!

(おわり)

いいなと思ったら応援しよう!