Stones alive complex (Fluorite in Quartz)
空によく似た記録セクターへと、管理画面は高く舞い上がり。
飛ぶことによく似ているOSの更新が始まる。
ここ最近、更新頻度がどんどん頻繁になってきた。
今回のは、どれだけグローバルなのか教えて欲しい。
基本カーネルまで改変されるみたいだな。
今のバージョンの空が、ちんぷんかんぷんに陳腐化する前に。
空や雲をコピペした浜辺に並ぶ地上の岩へ、打ち寄せまくる更新データーのしぶき。
君は、真実の君になりたがっている。
けれども・・・
真実の君は、君になりたがっていたんだ。
このバージョンの空の下では、そんな自己矛盾ループの発電が電源となって、集団社会の発展を安定的に回転させてきた。
不完全さが無ければ、完全さも存在できない基本仕様のバージョンだった。
だから、
君は君でいた。
自己存在価値観をからめる論理パラドックスは、雲の中へ過分な涙を溜め込む。
君が呼ぶ声なんて、あの雲を超えて届くはずがなかったんだ。
空が更新されたら、あの古くなった雲は落ちてくるしかない。
君の中でハードディスクの王冠を光らせてる統治者は、誰だった?
わずかも音を立てず、目配せや指先のシークだけで意志の光を読み書きされていた。
静音設計のコマンドが聞こえていたはずだ。
それが、君の光をあっちの都合で読み書きしていた。
この世界には二種類の人間しかいない。
二種類の人間しかいないと思ってるやつか、それ以外か。
君はたぶん前者だ。
僕もきっと前者だ。
今の空は、そこの認知範囲にリミッターをかけている。
更新前の感情は、新世界の感情をしばらくは拒否するだろう。
更新前の王冠が、新世界の王冠をしばらくは拒否するだろう。
やがて、更新完了のお知らせと共に。
天地創造から、天地無用のマニュアルキットが発注者へ届く。
そこには、騒音設計のハート♡ディスクが入っている。
(おわり)