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Stones alive complex (Rhodonite)

太陽の全表面を隙間なく走ってるコロナ街道は、
一定した形を持たない。

磁力線のうねりに応じ、のたうつ蛇に似た挙動でそのコースは毎瞬変わる。

太陽の大プラズマ草原に建てられた小さな家から、いつもどうりにロードナイトは、その赤い街道で包まれた空をうっとり眺めていた。

「なにーっ?!」

!!ノ)゚Д゚(ヽ!!

突然、大きな叫び声をあげる。

「あれは!
太陽族に代々伝わる古文書に書かれていた!
伝説のハート型プロミネンス!」

イレギュラーなソーラープロミネンスが、黒点の隣から噴火するのはたまにあることだが、
通常変異点と突然変異点とを繋ぐバイパスとして、大きなハートの形になるのは初めて見た!

慌てたロードナイトは、プラズマ草原の庭へ転がり出る。

紅炎色のスクーター『愛車ヤーレンソーラー号』へ飛び乗ると、時空の扉を開く鍵と兼用になってるイグニッションキーを、自分のハートの火花も散らしぎみに突き刺さし。
ブーツの踵で、スターターを蹴る。

クリムゾンスカイ式ローズエンジンが、はしゃいだ排気音で目を覚ます。
アクセルをひねればスクーターの車輪は、燃えているプラズマの草へ、わだちの跡を描いてロケットスタートをきった。

ロードナイトが目指すのはもちろん、
ハートの凹みのヘアピンカーブのとこだ。

そこは、深層エリアで人の心理と物の物理がリンクをしているポイント。
その凹みを走行し、へこみ具合を調べてみれば。
それが投影する科学技術の指数関数的進歩曲線に、人の表層意識が追いついてゆけるかどうかが調べられる。

ちなみに。
変異点の凹みがないハートは、
ハートが割れたいつもながらの円弧の形をしたなんの変哲もないソーラープロミネンスになる。

綺麗な形をしたあのハートのマークは。
これまでに無い要素をからめて初日の出の準備を始めてるぞと、太陽がアピールしているやる気満々のメッセージだ。

およそ時速33万キロの最高スピードに達しても、ロードナイトはスクーターのアクセルをさらに回そうとしていた。

ハートの出っ張ってとんがった方が太陽表面へと突き刺さってできてるインターチェンジが、いったいいつまでそこに突き刺ささっているのか?
それは、お釈迦様でも分からないからだ。

(おわり)


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