Stones alive complex (Fluorite in Quartz)
亜火ノ聖命はまた、量子ビットが満ちる砂浜へ、ムスッとした龍が立つかたわらへ、別の獣の群れが経済海からぞくぞくと上って来るのを見た。
それには細長き角が一本、ポンプの頭がひとつあり、その角先からは十の成分が噴き出し、頭の治験には神聖な遺伝子配列を書き換える名がついていた。
聖命の見たこの獣は実験器具に似ており、その足は地上波のさざ波のように素早く、その口々はワイドショーのようであった。龍は自分の財力と広報力と大いなる権威とを、この獣に与えた。
その頭の治験は、草の根な反対運動から傷を受けたが、その致命的な傷も徹底した検閲で治ってしまった。そこで全地の人々は治験は放棄させられ、その猛獣に盲従した。
また、龍がその国際的権威をも獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、そのかたわらの獣を拝んで言った。
「だれが、この獣の治癒力に匹敵し得ようか。
だれが、これに反対することができようか」
この獣たちにはまた、安全性を吐きリスクは黙る口が与えられ、四十二か月のあいだ世界規模で活動する権威が与えられた。
そこで獣たちは微細な口で突き、神聖な配列とその命の幕屋、すなわち、ヒトとして与えられた細胞領土を改変した。
そして彼らは、未改変な者に戦いをいどんでこれに勝つことを許され、さらに、すべての部族、民族、言語、国民を依存させる権威を与えられた。
地に住む者で、命の設計書に、その配列が世の初めから記されてるものでなくなった者は、この獣を拝み倒すであろう。
耳のある者は、気が向いたらで聞くがよい。
とりこになるべき者は、とりこになっていく。
摂取で裁く者は、自らも接種で裁かれねばならない。ここに、はぐれネット民たちの忍耐と信仰とがある。
聖命はまた、いろんな獣が地から湧いてきやがるのを見た。そこには旧約聖書時代から揉めてる皇統が二つあって、龍とネタ合わせしたとおりの正当性を主張しあっていた。
そして、先の獣の持つすべての人心コントロールスキルをその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷が収束したビッグデーターで先の獣を拝ませた。
また、大いなるデモンストレーションを行い、人々の前で火の連射を天から地に降らせることさえした。
この、先の獣がまだ暴れてるってーのに追い討ちを許されたミッションで、聖地の集合住宅に住む人々を逃げ惑わせ、かつ、遺伝子への傷を受けてもなお生きている先の獣の持続可能なクローンを造ることを、地に住む人々に命じた。
それから、その獣のクローンに息を吹き込み、その獣のクローンが要職として発令することさえできるようにし、また、その獣のクローンを拝まない者をみな炎上させた。
また、器が小さき者にも、器が大きな者にも、富める者にも、貧しき者にも、非正規雇用者にも、非正規非雇用者にも、すべての人々に、その左の腕あるいは戸籍へ証印パスポートを押させた。
この証印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。
この証印はその獣の名、または、その名の数字変換のことである。
ここに、明日使えない無駄知識が必要である。
思慮があり暇である者は、獣の数字を解くがよい。
その数字とは、笑笑笑なアドレスをさすものである。
そしてその数字は、999の180度転回である。
(おわり)